それでも、起きない
30年程たった。
コウモリだった青年、エルドルドは、毎日、魔力切れ直前迄、紫石の台座の何かに魔法をぶつけ、石を投げつけ、拳で殴り、たまに毒薬を調合して、ぶっかけたり。
必死に起こそうとしている。この30年。
(もうちょっとでまた冬だ。)
そう思いながら、外に出る。
鷲さんの家の近くに小さな小屋を作り、のんびり暮らしている。
魔王城で宰相していたときより、気持ち楽だが、このままいくことはできない。
(私は魔王様の忠実な部下だ!頑張って、今日こそ、起きて貰おう。)
チュドーン。
ドカーン。
エルドルドは、最大魔法を使いながら、そう思った。
鷲さんから、
「うっさいから、少し自重しろ!」
と言われたので、台座の周りを結界で封じてから、中で攻撃を始めた。
少し音が漏れているが、このくらいは大丈夫にして貰えた。
最近、魔王様も使っていたドラグスアマと言う魔法を使える様になった。
ドラグスアマとは、国一つ滅ぼせるほどの空間と闇の魔法だ。
今使っている結界は、人類最高の賢者(自称)から教えてもらった結界術。
ちなみに賢者(自称)はこの前、ハッスルし過ぎて、130年の生涯を終えた。
(誕生日に娼館で130人と出来るかな?ごっこってなんだよ!金は私が全部持ったが。
そして、腹上死とかあり得ん!恥ずかしい。)
性格はさておき、術は素晴らしいので、現在、絶賛使用中。
(鷲)「今日も頑張るね。」
紫石の首飾りをした鷲がそう言った。
ちなみに私が首飾りにした。
「ああ、鷲さん。今日こそ起きて貰いますよ!」
(鷲)「まぁ、無理すんなよ!」
そして、紫の台座の主は、今日もまた、起きなかった。