プロローグ
新しい小説になります。
眼を開けてみると、笑顔を浮かべるしわくちゃのおばあさん。
綺麗とは言い難い布で自分の身体を拭かれていく。この時点、自分は訳がわからないと思っていた。
声を出そうとしても、泣き声しか出ず、オギャーオギャーと狭い部屋の中で響き渡るだけだった。
「おやぁ、元気があるね! エリジャ、元気のある男の子だよ!」
ここの部屋にはおばあさんと20代前半の女性、エリジャの二人だけで、おばあさんから赤ん坊を受け取るエリジャは元気良く泣き続ける赤ん坊に笑顔を浮かべていた。
「あぁ、元気に生まれてくれたのね――――あら、髪の毛が黒いわね?」
「ありゃ、本当だね」
赤ん坊になっていたことに気付き、どうしてこうなったんだ? と疑問にぐるぐると混乱していたが、不穏な声が聞こえて泣き声が止まる。
「黒色の髪だね。何処から見ても」
「えぇ、そうね……。魔族の色だったわね。黒色は」
えぇっ!? と叫びたい赤ん坊だったが、魔族と言う言葉で呆気に取られていた。まさか、ここは日本どころか、地球ではないことに衝撃を受けた。
いや、それよりも魔族の色と言うのが気になった。
「でも、それは迷信だと聞いているから大丈夫さ!! そんな迷信を信じている奴はこの村にはいないさ!!」
「そうね、少し驚いたけど元気に生まれて嬉しいわ」
どうやら、黒い髪は不幸な象徴とされていたようだ。しかし、迷信だとわかっており、危険な赤ん坊だと認定されることは無くなったようだ。そのことに内心で安堵するのだった。
「私の可愛い子供。名前はレイクよ」
母親らしきの女性は自分をレイクと名付け、ニッコリと笑顔を向けていた。訳が分からないことがあり過ぎて、逆に落ち着いてきたレイク。
ここから考えられることは、一つしかない。自分は赤ん坊になっており、魔族がいる世界と来ている。つまり――――
自分は異世界へ転生したようだ。