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プロローグ
その日、街には雪が降っていた。
量は多いが吹雪いてはいない。まさにシンシンと降っているという表現がぴったりの降雪だった。
そんな雪を窓越しに見つめる少年が一人。
「ねぇお母さん。今夜サンタさん来てくれるかなぁ?」
少年は母親に問いかける。
今日は十二月二四日、クリスマスイブ。街では色鮮やかなランプが所狭しと並び街を鮮やかに彩り、道を 横行する人はみな笑顔でにぎやかな雰囲気を醸し出している。
少年の問いかけに対して母親は
「駄目よそんなの期待しちゃ。勝手に家に入られるなんて気味が悪いわ」
完全に否定的な意見である。
「えー? でもぼくプレゼント欲しーよー」
「プレゼントならお父さんが買ってきてくれますよ。さ、お皿配るの手伝ってちょうだい」
「はーい」
少年はキッチンで料理をしている母親のもとに行って手伝いを始めた。
クリスマスでの代名詞にしてメインイベント。
少年少女が夢見てやまない一人の男。
その日の夜に家に訪れ枕元にこっそりとプレゼントを置いてくれる存在。
赤い服でおなじみのサンタクロースは今どこで何をしているかというと……