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カシカ2 エジプトの朝  作者: 丸三角死角
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帰還

来た道を帰るのは案外容易かった。進むほどに精神的に安定したため、最初いた場所に戻るまでの道のりはとても短く感じた。あとはひたすら歩けばいいだけだ。


元の世界に戻れる確証はなかったが、信じて進んだ。歩くにつれて私を取り巻く世界はどんどん明るくなっていく。途中からは眩しさのあまり肘で目を隠して歩くほどであった。


私は足の痛みが限界に感じたある時、立ち止まった。そして肘をおろし、瞼をゆっくりと開けた。


眩しさは消えていた。私の正面にはピラミッドがそびえ立っている。あの絵に描かれていたものとそっくりだ。


ここは何処だろう。何故ここに到着したんだろう。状況を把握できない私はひとまず民家を探して救いを求めることにした。


ピラミッドから数十分歩いたところにそれはあった。一軒の民家だ。喉の渇いた私は走って民家のドアに駆け寄り、三度強くノックした。


しばらくして家主の男性が厳かな顔で出てきた。そんな近寄りにくい雰囲気も、私には愛おしく思った。こちらは藁にもすがる思いなのだ。


私は事情を説明し、水をもらい、ここはどこなのか聞いた。彼によるとここはギザらしい。カイロからは二十キロ離れている。


私が何故ここに着いたのか謎だったが、ここ最近謎だらけだったため格別気にはしなかった。


私はその男性に頼んで警察に連絡してもらい、しばらくして私のいる民家に訪ねてきた警官に保護された。同時にジャスティンとレイラにも連絡してもらった。


警察署で三人はおちあうことになった。


あれから何日経ったのだろう。私は疑問に思ってカレンダーを眺めた。あれから五日が経っていた。体感ではもっと長く感じる。


普段は気にもしなかった時間の経過。五日間存在が消えるだけで、自分がいない間の状況の変化にこんなにも不安になるものなのか。


ジャスティンはこのことを私の両親にどう説明したのだろう。様々なことが気になった。


私は早く皆に会いたくていてもたってもいられず、警察署の前まで出た。


約十分後、パトカーに乗ったジャスティンとレイラの姿が見えた。私はその時、嬉しさのあまり涙をこぼした。この瞬間をずっと待ちわびていた。


私は停車したパトカーに勢いよく駆け寄った。ジャスティンもその様子を見て急いでドアを開け、すぐに私の元へ走った。


二人は警官が見守る中、激しく抱き合い長いキスをした。やっと彼に触ることができた。私はひたすら愛してると言い続けた。彼は私の変わり様に驚いた様子だったが、しばらくして僕も愛してるよ、と言った。


私は彼の肩の力がふっと抜けたのが分かった。

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