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カシカ2 エジプトの朝  作者: 丸三角死角
16/20

再会

どれくらい経っただろうか。この時の苦痛は数時間に感じた。しかし、しばらくするとその苦痛はすっと消えた。


私は強烈な眩しさを感じながらも瞼を緩めて目を開けた。そこは、まさに夢で見た場所であった。真っ白の部屋に目の前には小さな女の子。


でも、あの時よりもはるかに現実味が増している。私はこれが夢ではないことを確信した。多分、絵の中に入ったのだ。


女の子がすすり泣く声が聞こえる。私は心配そうに声をかけた。


「大丈夫?」


すると女の子は所々つまりながら言った。


「会いたかったよ。カシカ...っていうのね、お母さん」


私は一瞬驚いたが、この子は私の心に侵入したのだ、名前を知っていてもおかしくはない。


「そうよ、あなたの名前は何て言うの?」


「まだ無いの...」


すすり泣く声は大きくなり聞き取りにくくなったが、必死に耳をすました。


「...ねぇ、一緒にお家に帰ろう?」


私は胸が痛くなった。こんな純粋そうな子を突き放さなければいけないのだ。


「ごめんね、それはできないの。だって、だって...あなたはもう死んでるの」


「死んでる...?」


「そう、あなたはもうこの世にいてはいけないの!」


女の子は震え始めた。


「そんな...ひどい。ひどいよ!何でそういうこと言うの!」


そう言うと女の子は大粒の涙を流した。同時に、部屋の床から水が湧き出てきた。


「本当にごめんね、お願いだから泣かないで!」


それでも水は収まるどころか、どんどん満ちていく。


「お願い...!!」


私は混乱した。どうすればいいんだろう。でもこのまま何もしなかったら、二人とも溺れてしまう。


私は女の子の方へ向かって、膝の高さになった水の中を強引に進んだ。そして、女の子を抱きかかえた。


「ごめんね...あ、そうだ、この花。見て、この花、あなたのために持ってきたんだよ。綺麗でしょ?」


女の子が小さく頷いたのを確認してから、私は続けた。


「...苦しかったね。でももう大丈夫だよ。私がついてるから...もう大丈夫」


その時、女の子の口が動いた。声は聞こえなかったが、「ありがとう」って言ったのが私には分かった。


そして水位が一気にあがり、二人は水に包まれた。私は女の子を離さないようにしっかり抱きしめた。


すると、その子の感情がすごい勢いで断片的に伝わってきた。とても悲しい気持ち。でも今度は彼女の言葉がはっきりと、脳に直接的に聞こえた。


「大好きだよ」

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