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カシカ2 エジプトの朝  作者: 丸三角死角
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博物館で

これは私がエジプトに行った時の話。


私はエジプトに初上陸したその日からタジン鍋ばかりに目が眩んで、観光なんてろくにしていなかった。かといって帰国するまで観光を一切しなかったわけではない。


母親に全然観光してないじゃないと言われ、私は観光し忘れていたことに気がついてちょっと落ち込んでいた。するとジャスティンがそんな私に気を遣って、博物館に行こうと誘ってくれた。


すごく幸せで、服を着てからホテルを出た。しかしその幸福感は、徒歩の移動により磨り減っていった。


どれくらい歩いただろうか。体感ではもう一時間は歩いたような気がする。疲れたことをジャスティンに告げると、彼は私が理解できない言語で何かを言っていた。


私は今、日本で話題になっている「異世界」に来てしまったのかもしれないと思い胸を踊らせた。


しかしよく考えてみれば、ジャスティンはいつも何を言っているか分からない。私はいつも通りだと認識し、一瞬でも期待してしまったことを恥じた。


博物館に着くと、私は沢山の展示品に夢中になった。落ち込んでたことも忘れて。博物館の外装は奇妙な色だが、中に入ってみると仮面や書物が醸し出す重々しい雰囲気に圧倒される。


仮面は黄金に輝き、ジャスティンは君の瞳みたいに輝いてるよ、と言ってきた。私は耳を傾けないよう首に力を入れた。


それからずっと博物館の中をメリーゴーランドみたいに周った。しばらくして、私は絵にしては素敵な一品を見つけた。


黄金に輝くもの以外には興味が無かったはずなのだけれど、何故かこれには心が引きつけられた。初めてジャスティンを見た時と同じような衝撃が私の心臓に走って、身体が熱くなるのが分かった。おそらく、脳が変な物質を出したのだろう。カルボキシヘモグロビンみたいな名前のやつだ。


私は恐る恐る近づいた。すると何だかすごく懐かしい気分になって、涙が溢れ出た。


隣にいたジャスティンは、私が泣いてるのに気づいていないようだ。


顎から滴り落ちた涙が地面に触れた頃、私激しい眠気に襲われた。


うとうとしているとそのまま倒れてしまい、私は気を失った。

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