職業決定
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視界がもとに戻っていき、やっとのことで目を開けた俺の前に広がっていたのは・・・
「す、すげ~!」
たくさんの人と、本物としか思えないヨーロッパ風の街並みだった。
これにはいつも冷静でいる俺でさえも思わず感嘆の声を上げてしまった。
「本当にこれはゲームの中なのか?」
周囲を見渡してみると、驚いているのは俺だけではなかった。皆一様に驚きと期待の入り混じったかのような表情をしている。俺も多分そのような表情をしているだろう。
「お、零矢みっけ」
「隼人か。よくこんな人の多いところでみつけられたな」
「たまたま俺も近くに転送されたんだよ」
そう言って隼人はニシシっと笑う。
「じゃあ隼人もまだ〈職業決定所〉とやらには行ってないんだな?」
「ああ、じゃあ早速行こうぜ」
俺たちは街の案内表示に従って職業決定所に向かって歩き出した。
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「ここが職業決定所か」
「ああ、そうみたいだな」
最初の広場から歩くこと5分。俺たちは職業決定所を見つけることに成功した。
「よし早速行こうぜ隼人」
「いや、ちょっと待て零矢。ここに職業決定所のルールがあるぜ」
「ん、どれどれ・・・」
俺はその説明書きを目で読み上げていく。
『一、職業はランダムで決定します
一、どんな職業になっても当社は一切責任を負いません
一、なりたい職業になれなかったとしても八つ当たりはしないでください
一、以上のことをしっかりと守ってください 』
と書いてある。
「へぇ、職業って自由じゃないんだな」
「らしいな。じゃ、俺たちもちゃっちゃと決めに行こうぜ~!」
隼人はそう言うと、俺を引っ張って職業決定所の中にズカズカと入っていく。
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「お、中は結構ひろいんだな~」
「みたいだな」
俺は隼人の発言に肯定の返事をする
職業決定所の中は思っていたよりも広く、かなり人数が入っても大丈夫なようにかなり広く作られているようだ。
俺たちは入ってすぐのところに行列があるのを見つけた。
「あそこの行列に並べばいいのか?」
「たぶんそうじゃね?ま、とりあえず並んでみるか!」
俺たちは行列の最後尾に並び、順番を待つ。
十分ほど待つと、ようやく俺たちの順番がやってきたようだ。
「いらっしゃいませ!本日は職業決定ですか?それとも転職希望ですか?」
「職業決定で」
「ではそちらの機械に手をかざしてください」
「おう!」
まずは前に並んでいた隼人が手をかざす。
「はい、出ました。お客様は槍を扱う才能があるそうです。なので、職業は〈ランサー〉ですね」
「ランサーかぁ」
隼人はまんざらではなさそうな顔をしている。
そして、次は俺の番だ。
「そちらのお客様も、同じように手をかざしてください」
俺も、隼人と同じように手をかざす。
「お客様はどうやら、剣を扱うことに秀でているようです。なので、お客様の職業は〈ナイト〉です。
ナイトか、まあまあだな。
俺はそう思いつつ、先に外に出ていた隼人に報告をする。
「俺はナイトだそうだ」
「そうすると、後方支援系の職業の人とパーティを組みたいところだな」
「ああ、そうだn・・・ッつ!」
俺は頭の中にいきなりノイズが走ったかのような妙な気持ち悪さを感じた。隣を見ると隼人も同様なものを感じているようだ。
「はやt・・・」
俺が何か言う前に、謎の浮遊感を感じた。これはチュートリアルの後に転送された時の浮遊感と同じだと気付いた時には、もう俺たちは転送されていた。