***ありがとう*** NO.5
階段を降りている途中に
皿の様な食器が割れる音がした。
木城の親がコップでも
落としたのかとでも思った。
だけどその後に怒鳴り声が聞こえた。
「あなた本当に馬鹿なんじゃないの?!」
「お前に言われたくないな!!第一子供の気持ちも分かってやれないのか!こんなだから優梨奈が家を出て行くんだ!!」
「何なのよ!!あなたは仕事やってれば良いけどこっちは子供の面倒と家事もやって地区の仕事もやらなくちゃいけないのよ!!!あなたよりも大変なのよっ!!!!」
「お前の放任のし方と世間一般の放任のし方とじゃ丸っきり違うだろ!!お前には子供への愛情がないのか?!あ??!優梨花に冷めた飯を喰わせるのが放任って言うのか?!!そう言うのを育児放棄っつんだよ!!」
夫婦喧嘩??
初めて見た。
俺の親と変わらない位の年齢だと思う。
まさか毎日こんな事やってんのか?
それを知ってて「ただいま」と声を掛けなかったのか??
関係無いけど父親の方すげー元ヤンみてぇな顔してるなぁ。
つかここら辺元ヤンの親が多いのかな(汗
取り敢えず出た方が良いな。
見つかったら不法侵入だと思われるだろ。
俺は靴を履いて玄関を出た。
玄関を出た時、ポケットでケータイがバイブで震えてるのに気付いた。
メールかと思ったら電話で、
相手は祥弥だった。
『もしもし??祥弥だけどさぁ、どうよ木城優梨花ちゃん♪』
「どうって普通じゃね??今送って来た帰りだけど特に…。」
『送ってやったんだ。何―――?
一目惚れとか無いの―?』
「ねぇよ。可愛いとは思うけど同じクラスで隣の席なのに気付かない位だし。」
『それは俺らがクラスに興味が無いからだよ。(笑』
「それも有るけど。」
『とか言ってその内あの子の事好きになると思うよ〜???璃來が。』
「あそ―――。それはお疲れ。」
『意味分かんねぇからッ!!(笑
ったく俺が休憩時間に電話してやってんのによぉ〜。』
そんなの俺の知ったこっちゃねぇよ。
バイトの休憩時間に電話して来る位ならその休憩時間の分まで働け馬鹿野郎が。
…………とは言わず、
「知るかボケ。」
と適当に流して終わった。
この時点で好きになる要素は
顔だけだった。
だからと言って好きではなかった。
てゆうか好きになれないと思った。
俺らの喧嘩を見られた張本人でもあるし、そもそも俺現時点で女に困ってないし。
『まぁでもあの子の事好きっつー男は居るよなぁ〜。確実に。』
まぁ〜…。
それは顔とあの性格からしたら…
「居るんじゃねぇの??」
『…お前いつから女に興味無くなった?』
「あ゛??あ――初めからじゃね??
男にも興味ねぇけどな。」
『あったら困んだけど…(笑』
知ってるつの。
まぁでも………
「お前の事は親友として頼れる唯一のダチだと思ってるからさ。」
『あーらあらあら!!嬉しい事言ってくれるじゃん(照』
「俺ら結構知り合いダチとか居るけど最終的には祥弥だし(笑」
ちょっと良く言い過ぎたかな。
まぁでもこれが本音って事で。
心地良く受け取ってくれ(笑
『俺もだわ。多分生涯のダチとしてたよりにしてるよ。』
段々恥ずかしくなってきた。
「さんきゅ。……祥弥バイトは??」
『あーあと5分だわ。急にTELして悪かったな。』
「全然。バイト頑張れよ。じゃぁな。」
『おぅッ!』
プーップーップーッ…
電話が終わった時俺は玄関に入っていた。