家族
「そうだ【毒】ちゃん、結城と一緒に帰りますか?」
結城は帰る場所があるのかと思いそう質問した。
その質問に対して【毒】は否定した。
「ボクがついていくことによって鈴子さんが変な目で見られてしまうかもしれないだろう?やめておくよ」
「気にしないでください!それに【毒】ちゃんはもうお友達ですし、人間に見えますから!きっと両親も驚かないですよ!それと、さっきは一緒に帰りますかって聞きましたけど、ほんとは結城が一緒に帰ってほしいんです!!いきましょ~」
【毒】の手を引き結城は歩く。
彼女自身が【毒】と帰りたいからという理由。きっと変な目で見られるはずないから、と。もう自分の友人なのだから遠慮はしないでほしいと、彼女は歩きながら言う。
そんな彼女の言葉に【毒】は口には出さないが喜んでいた。
友人という初めての響きに対して喜んでいたのだ。【毒】にとってその言葉がこれからの戦いにおいて強くなるための引き金となる。それが分かるのはまだ先のことだが。
「よーし、つきましたよ!ただいま帰りました!!」
結城は一軒家の戸を全開にして入っていった。
彼女たちが歩いている間に少しづつ日は登っていたためもう起きているだろうと判断して大声で入っていったのだ。
「おかえり~あらあ、そのこだあれ?」
結城鈴子の母親だろう女性が玄関まで向かってきた。
身長は鈴子よりも低く顔も童顔。髪の毛は肩まであり全体的にふわふわしている。
「お母さんおはよう!この子はね、友達!今日からここに住んでもらうね」
「あらそうなのねえよろしく~ならまずは朝ごはん一緒に食べましょ~」
「は、はい、おじゃまします......」
「あらあら、おじゃましますじゃなくてただいまでしょお?」
母親は笑顔で【毒】を見ている。
今日からこの家に住むのならただいまと言ってほしい、と。
【毒】はそれに戸惑いながらも
「た、ただいま?」
と言った。
母親はその言葉を聞いて満足そうに微笑んだ。
「ふふ~そうよお。もう一人の娘ができたみたいで嬉しいわね~そうだわ、今日はとびっきりごちそうにしましょう!」
「もうお母さんはしゃぎすぎだよ!」
「だってす~ちゃんが連れてきてくれた縁でしょ?大事にしたいじゃない」
「私だって大事にしたいって思ってるからね!あっ、そうだこの子の名前はね……」
「ボクはスズランといいます」
【毒】は二人の会話を聞いていたが、名乗るのは自分からだと思い名前を言った。
「あなたもす〜ちゃんなのねえ。うーん、そうだ、ランちゃんって呼ぶわ〜よろしくね!」
「ランちゃん……はい、お願いします」
「よーし、すぐに準備するわね〜」
母親はキッチンへと向かった。
その間に鈴子が【毒】に近づき
「ね、大丈夫だったでしょ?」
と、得意げに笑う。
「そうだね、全然疑問も持たれなかった」
「うちのお母さんなら絶対大丈夫だって思ったんです!今日から【毒】ちゃんも家族ですよ〜」
「家族、か……」
【毒】は自分に家族という存在ができるなど思っていなかった。
だが、彼女は笑っている。
「はい!結城たちの大事な家族です!」
結城鈴子はそんな彼女の表情を見て更に言葉を重ねるのであった。




