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彼は云った。


 「例えば…。こういった話がある。1988年に、とあるバレエダンサーが心臓と肺臓の移植手術を行った。そして、その直後から心身の不可解な変化を経験する…。そのバレエダンサーは職業柄、アルコール類は飲まず、ジャンクフードも食べず、刺激の強いスパイス類も口にせず、軽蔑感さえ抱いていた。だけど、移植手術を受けた直後から、嗜好が一変し、そう云ったモノに対する【理解しがたい程の食欲】に悩まされる様になったんだよ…。その後、そのバレエダンサーは、心肺移植のドナー男性の遺族である両親と面会した。その時、ある事実を告げられる。ドナーは不慮の事故死を遂げた若い自転車競技のプロレーサーで、移植手術以来、彼女が無性に欲した飲み物や食べ物は、全て、生前のドナーの大好物だったと知る…。」


 彼は淡々と、そう云った。


 「記憶が転移する。そう云った事例があるんだよ。臓器には記憶が宿っている。そう考えても何ら不思議では無いんだ…。」


 あっ。そうだ。


 と彼は間を開けた。


 「人間の肉体の水分量は60〜70%なんだよ。要するに半分以上は水分で構成されている。もし、その水分にも記憶が宿っているとしたら…。」


 そう云ってから、彼は…。


 眼の前にあったペットボトルの水を…。

 美味しそうに飲み干した。

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