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水
あっ。そうそう。瑞葉さん。この天然水が美味しいんですよ。とマンションの隣人である二十歳程の女性、二三さんが私に話しかけてきた。右の手にはペットボトルを持っている。それから私が見える様に、ペットボトルのラベルを此方へと向けたのだった。
そのラベルには…。
【胎天水】の文字が描かれている。
「何でも、霊力のある山の湧き水なんだとかで…。」
と、二三さんは貼り付けた様な笑顔を私に向けた。
「大丈夫です。家には浄水器がありますので…。」
と私は返答する。
「あら?残念です。もし飲みたくなったのでしたら、声をかけて下さいね。」
と、また貼り付けた様な笑顔を魅せた。




