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「分岐」6.5話

お疲れ様です^^ 来てくださりありがとうございます!読んでみてくださいね(*^^*)


 穏やかで、優しい声だ。その声は心に浸透するような錯覚さえ覚える。


 座っていたのは女性だった、茶髪の髪を後ろに伸ばし、黒いスーツに身を包んでいた。

 しっかりした身だしなみなのに、一切の警戒心をよさせない。警戒心どころか、安心するほど優しい空気感が、何故かその人には感じられる。


「何度見ても貴方は貴方ですね 例え別人であろうと。」


 そう言い、寂しそうな笑みを彼女は残した、まだ、俺は何も追いついていないのに、その笑みに傷付かずにいられなかった。

 微笑に刺された心をたたせ、今やることに思考を巡らす。


「困惑していますよね 座って下さい」


 今の心中を言い当て、ふふ、と小さく笑い座れと促す。正常な判断力なんて元からないが、今は特にないのか、彼女の声に安心し椅子へと腰を下していく、腰を下ろしていくのがスローに感じる、そのままゆっくりと椅子に座り、木製の椅子に、身体の力が抜けていく感覚が全身に染みる、その時にやっと疑問に思った。


「べつのおれってどういうことですか?」


「貴方は貴方であり、この世界軸とは別の世界線を選択した 貴方です 別人と言ってしまったので誤解を招いてしまいましたね そうではなく 違う選択をした貴方 なんですよ」


 ん?なんだって。べつのせかいをえらんだおれ?


 情報の整理が追いつかない、何の話をしているんだっけか。何を聞いたのか、すら、曖昧になる。

 自分の頭が悪いのだろう。正直言ってる意味が俺には分からない。


 そんな戸惑いを見抜いた彼女は、また微笑を浮かべて、優しく語りかけてくる。


「安心して下さい、私は貴方に危害を加えるつもりは全くないんですよ まだ信用できなくて当然です。いきなり世界線のお話をしても分からないのは普通ですよ」


 俺がまだ彼女に恐怖を抱いているのを見抜かれている、安心するたびにその恐怖で、警戒心を無理やりたてているが、それも相手には通じないらしい。


「大丈夫です。安心して。嫌な考え方はせずに今は私の話を聞くことに意識を向けて、深呼吸です 良いですか あなたは大丈夫」


「落ち着きましたか」と微笑みそう語りかけてくる。俺はまた感情に流されてしまう、彼女のペースにもってかれそうになる、もうもってかれてんのかな。

 もうこのまま流されても。

 死んでもいいんじゃないかな。


 窓から太陽光が木製の天井を照らす、その明るさは、静かな場所にそっと優しく、混沌で満たされた感情を平安へと、連れて行ってくれる。


「はぁ……」


 今日で何度目かのため息をする。最後に天井を見上げ、そっと視線を下ろし彼女と顔を合わせる。


「ありがとうございます。少し落ち着きました。少し要点が掴めません。まずは此処は何処ですか?此処に来る前老人と一緒にいたんです。また此処とは違う場所で霧に包まれて、そこから此処にいた感じなんですが」



「落ち着いて大丈夫ですからね ええ。知っていますよ。ですが、その問いに答えるには、少し話が複雑になります。実は今日此処に貴方を連れてきたのは私なんです」


「え?そうなんですか?」


 彼女は自分の持っている黒い鞄から四角形の何かと細長い何かを取り出した。それは見覚えのあるものだった。


「ええ あなたと一緒にいたのはこの老人ではないでしょうか この機械も持っていたはずです」


 そう言ってテーブルに並べられたものは、老人の写真と老人がスイッチを押したペン状の機械だった。結局これは何なんだろうか。

 これをあの老人は持って、


「スイッチを押したら霧が….出てきたような気が……」


「合ってますよ!そうですね この人があなたを別の点に移動させたんです」


「点?移動させた…?」


 移動させた…俺は此処に移動させられたのだろうか。彼女はそんな、俺の疑問を分かってますよとばかりに、話し続ける。


「先程もお伝えした通り私がここにつれてきました この世界に一時的に移動させたんですが、予め 点について説明しますね。」


「お願いします。」


 そう言うと、彼女はまた寂しそうな微笑を浮かべてこちらを見た。


「それにしてもこんなふうに繋がれたんですね」


 彼女は小さくそう呟き、話し始めた。


「点というのは、選ぶ世界線の一つ一つの事です。この世界は点として機能していて、それを私たちは選んで世界を体験しています。イメージ的には、パラパラ漫画のような物がこの現実です。静止している一枚の紙が重なり、動かすと動いてるように見える、それが、今の体験している現実です。」


「つまり?1秒だった場合1秒の世界が、ん?」


「時間で考えると混乱しますよ。かりに言えば1秒後の世界は点として存在していて、その点を意識が体験してる感じです。分かり安く言えば点は静止している世界です。」


 理解できていないが、パラパラ漫画の一枚が静止してる世界、と言う感じで良いのだろうか。


「点って言うのは、一枚の紙って思えばいいですか?静止している世界はパラパラ漫画の紙。」


「そうですね!だいたいあっています。その点が無数に存在していて、うねりながら重なり、繋がった一つの流れができました。これが私たちの呼ぶ時代、未来 過去 現在 と言ったものです。」


「なるほど よく分からないな。無数にある静止した世界が点と呼ばれていて それが、無数にできて、たまたま、繋がった点があると?それが時代?ってことは未来はもう決まっているって事ですか?」


 そうだとすると、虚しい気持ちもあり、努力とかそんなものは不足してるんじゃくて運命だからしょうがないなんて思ったり。


 さっきまでは、怯えてた俺が調子乗ってきてる。マジで終わってるな。


 なんとか落ち着いてきてる自分に呆れながら、とりあえず理解に努める自分が出てくる。なんだか逃げてる感じがしてならない。


 それでも誤魔化しながら俺は生きてくのか運命もやってくるじゃないか。


「いいえ、点の件に関しての理解は概ねそのような理解で大丈夫ですが、未来が定まっているとは言えません。選択できる点は束になって存在しています。何でも叶うわけではありませんが、好きな方へと移動できるすべはあるんですよ。」


 まぁ自分のせいだよな。運命のせいにはさせてくれない。


「なるほど……」


「もう一つ大事な事は、時間は存在しません、共通認識の直線に進む時間はありません。全て今存在しているんです。未来も過去今存在しています。いる点が違うだけなんです。ですので、先程のお話ししたことに繋がってきます。貴方は此処にもいますが、あの人の所にもいるんです。」


 いまいち感覚が掴めないなんだそれは、時間が存在しない。頭では理解しても正直違和感だらけだ。



「は…はあ…なるほど?」


「パラパラ漫画です。私たちからしたらパラパラ漫画は未来も過去もないですよね。キャラからしたら矢のように進んでいるように感じますが、私たちの視点で言うとそのキャラの未来も過去も同時に存在しているでしょう。」


 なんとなく掴めてきたが、やっぱり理解しきれない。感覚が違いすぎる。


 でも俺は彼女に勝手に信頼を置いているだけだ、騙されてるのかも知れないが、もうそれで良いと思っただけなのだ。


 でも、そうか。同時に存在している。か


 少し放心状態に違い状態で、考えていた時彼女の顔が、ふと、真剣な顔になっているの気づく。


「点については概ね理解はできています。今は確かに感覚が違いすぎて、飲み込みにくいと思います。ですが、直ぐに分かります。あなたはこれに関わらなければいけない。そのためにこの世界に呼ばれたんです。私は…私は…止めたかった…いいえ…やめましょうか!」


「……大丈夫ですか?」


 なんてことを言うのか、大丈夫なわけない。もっとかける言葉があっだろう。

 失態だ。と思ったが。


「ふふふ、良いんですよ。あなたに……そうですね。ま!話を戻しましょう 言いましたように、あなたはこの世界に呼ばれたんです」



「……へ?呼ばれた?」



 一瞬彼女の雰囲気になんとも言えない寂しさを感じて見惚れていた。

 寂しさと虚しさが感じられる。

 きっと彼女が此処を選んだのは、寂しいからなんだろうな。明るくて落ち着く、そのまま、眠りにつきたいそんな場所だからだろう。


 だから素っ頓狂な声を出した俺には失望のダメージが大きい。そしてまた、痛みを避けるように思考に専念する。


 呼ばれたか、だったら、俺はどこから来たのだろうか。


「あなたは大きく分岐した、便宜上世界線と呼ばせてください。その世界線に生まれました。」


 彼女が話し始め、それに耳を澄ませようと考えた、その時だった




 すいません少し長くなるお話しです

 でもこれはあなたにとって必要なことなんです

 今は受け入れなくても良いですから

 記憶に残していて下さい

 これは私からのお願いです。


 ルノン……ルノン……いいえ


 決めたんです



       これ以上……



 彼女の声が聞こえた。



今から彼女から語られる話は彼にとって受け入れがたい話になるのだが。


           6.5


本当にありがとうございます!

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