インナー・シュピーゲル 発生 「研究者の記憶」
続けて投稿いたします!
短めですがお読みいただければ嬉しいです^^
風が頬を通り抜ける
浅い眠りの中その心地よさに、身を任せ
眠りも深くなってゆく、こうしていると
研究のアイデアが、ポン、と出てくる、だからやめる訳にはいかない。
こうしていつもアイデアが出る事はなく深い眠りにつくのが、いつものオチだ、分かってはいるが、やめられないしアイデアが出やすいのは割とほんとなので続けている。
「まぁ、結局、それも言い訳か」
自分の怠惰さに呆れる気持ちはあるが、自分に打ち勝った事は一度もない。
「相手が強すぎるんだよな」
それとも自分が弱いのか、でも今は心地良いから、めんどい事は後でいいか
「それにしても」
ぐっと背を伸ばし、木の根元から見える、風に靡く麦畑の景色に心を持っていかれる。
「はぁ キレイだなぁ……実家がここなのは母さんの褒めれるところだ あと父さんもか」
少しセンスが心配な両親に、ここは感謝しなければ、この場所選んでくれたのだから。
「またねてるね」と声をかけてきたのは、最近知り合った女性だ、同い年で話してても楽しく僕から積極的に交流していて、彼女からも良く話しかけてくるように近頃なってきていた。
「エルちゃんも、横になってみるといい事あるかもよ?」
「アイデア?が思い浮かぶっていってたよね 研究者だったけ?すごいよね 私にもなにか思い浮かぶかな。」
とても穏やかな口調で話す彼女。容姿も可憐で常に微笑を浮かべている。無理に表情を作らなくても大丈夫なんだけど、何だか僕自身が気を遣われてるようで、ちょっと傷つく、ゆっくりと近づいてきてる彼女を見ながらそう思う、いやいや、なんか気持ち悪いな、今の自分を見てるとイヤになる。
「おとなり良いですか? よしょぉ」
「許可取らずに座ってるやないですか、ダメですよ、一応聞いてんですから」
「へへへ ごめーんね」
可愛いらしく舌を出し笑顔で、となりに座り込んできた、いつも通りの白いワンピースと、明るく、夕日に照らされたこの麦畑の景色のように、柔らかな明るい黄色の髪が風になびく、横顔も微笑んだ表情が切なくて、消えてしまいそうだ。
「ん……どうしたの?」と言いすぐに何かに気づいたかのようなしぐさをした。感じた事がない感情を彼女は僕にさせる、逆だろうか。
「あっ!髪キレイだった?」
実に言いにくく、自分でも消えたくなるような言葉が浮かぶ、考えすぎなのかな、こんな言葉が浮かぶのは彼女に僕は慣れすぎたのかな。
「キレイですね 何だか凄くやさしい感じがした」
「そう?そんなこと初めていわれたなー」
彼女は少し笑いながら短い言葉でそう言ったけれど、作り笑いに見えたのは気にしすぎなのかな、返事が短く感じたのは………ちょっと自分落ち着こう、明らかにヤバイ、本当に今死んでしまいたい、今隕石でも飛んでこないだろうか、もう良いって、自分が自分でありたくない。
というよりもやさしい感じってなんだよ。どこかの変質者でもそんなこと言わない気がする。「あーめっちゃ気持ち悪いよな」耐えきれず口だけ動かす。「はぁ……」
今も続いている沈黙にやっちまった感が、胸いっぱいに広がる。なんの理由もないけれど、心の行き場がなく彼女の顔を見た、夕日に照らされる彼女。可憐な顔に微笑がうつる、この微笑みを見ると辛さより、いつもの感覚に引き込まれる。
「小麦畑が、夕日にてらされて、ちょっとだけ明るくなる。その色が気に入っています。何処かさみしくて心の傷を癒してくれるんです。」
「……」
景色を見て彼女の髪の色とよく似ているのに気づいた。
「私の髪の色もその色と同じ黄色なんです。少しでも近づけたくて、手入れをかかさずしてて、でも生まれ持った髪の色が、この色でちょっとだけだけど、自分で誇らしいんです。」
僕に笑いかけながらそういう彼女、その笑顔にも誇ってほしい。
「そうか、だから切なく感じるのかな」
「ふふっ…何か言いましたか?」
「え?いや!ちょっとした独り言だよ!」
「んふふっ」
バレてないよな、祈るぞ、僕は……
聞こえていないことを祈る自分をみてるとなんだか情けなく思う
ご苦労様です^^
本当にありがとうございます!




