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知られない【最後】の話
彼女は彼を見た。あぁ、解放だと気付く。少し寂しい。彼女は私と共に居たのだ。少しだけ、離れがたい。
彼は彼女を見た。それは些細な事に他ならない。だが、何かに気付いた。あぁ、解き放たれたのだ。
やっと、自由になった女神は二人を少しの間だけ眺めた。だが、直ぐに興味を失ったようにそこから消え去った。女神は二人に情は感じなかったのである。情があったのは、始まりの彼女だけ。それを後の人間達が知る必要は無い。
ただ、一言だけは贈っておこう。女神は振り向いて微笑むとぽつりと呟く。
「然様なら」
それは女神だけが知っている話。
これで「とある怪異に纏わる人々の記」は完結です。




