(5)
これは世界のそのあとでが終わった後の話である。
「ユズー!私服作りたい!」
「いきなりどうしたのナナ。」
「みんなそろそろ新しい服欲しいって思ってるかなーって!私なら材料あれば作れるからさ、みんな喜んでくれるかなーって!」
「いいとは思うけど材料探さなきゃ……。」
「探しに行こうよー!」
「いいよ。ナナだけじゃ不安だし着いてくよ。」
そんなわけで布を探しに出かけた。
街は復興し始めているがあいにく布を売っているお店はなかったため前の街まで車で行った。
街に着くと地図を頼りに手芸用品店へ向かった。
荒廃したままの街。手付かずのものはほとんどないけれど食べられるわけでもない布はそのまま残っていた。
「あー!こんなにたくさんあるよー!ユズ!いっぱい持って帰ろ!」
「うーん、載せられる量には限りがあるから何往復かしよっか。ガソリンは貴重だけど役に立つなら仕方ないよね。」
「ユズー!ありがとう!」
そう言ってユズに抱きつくナナ。
ユズはこんなナナの行動には慣れきっているので子供時代みたいに頭を撫でる。久々に撫でたナナの髪は透き通っていてとても綺麗だった。
ユズはナナも大人になったんだなぁ……と感慨深く思った。
「じゃあまずはこの辺のものを、っと。」
「ナナそんなに長いものは載らないから棒を引っこ抜こう。」
「わかったー!えいっー!」
布を巻いている木の棒を抜く。
くっついてるのかとも思ったが案外あっさり抜けたので次々と抜いては車に積み込む。
街で使っている貨物用の大きめな車だったがすぐ車内は布でいっぱいになった。
「ナナ、とりあえず一回帰るよー!」
「あとこれだけ載せて!」
ナナはアイロンでつける装飾を両手いっぱいに持ってきた。
仕方ないからビニール袋にそれを入れるとユズの太ももに載せて出発する。
ナナの運転技術はやっぱり凄い。何度も見せられてるけれど毎回驚かされる。
いつもナナ任せなのでユズはまだ運転ができないのだった。
何往復かして全部を運び終えると、
「とうちゃーく!ユズ手伝ってくれてありがと!」
「ううん、学校休みだったから大丈夫。」
そしてナナは裁縫を始めた。
みるみる服ができていく。ナナは昔から変なところで器用なのだ。ユズたちの服がほつれた時もナナが直していたことを思い出す。
「完成〜!ユズ着てみて!」
「うん、わかった。」
着てみると若干大きいがそれ以外はフィットしている。ちゃんと測ったりしてないのに……。
「うん、これでオッケーだね!」
「凄いねナナは。」
「ユズが手伝ってくれたおかげだよー!ありがとう!」
「私なんてほとんど何にもしてないよ。ナナが頑張ったんだよ。」
「えへへ〜!ナナちゃんはやる時はやるのです!」
そうして次から次へと服を作っていき気がついたら夕方になっていた。
「よーしこれをみんなに配ろう!」
「避難所のみんなが喜んでくれるといいね。」
街は復興途中。避難所はまだ稼働していて家のない人たちはそこで暮らしている。炊き出しやお世話なんかでいつも行くのだけどみんな暖かくて本当にいい街だなと思わされる。
そこへ行ってナナが服を配り始めた。
「おーい!皆さーん!この中から好きな服取っていってくださいー!」
ナナが大声でそう言うとナナの前には列ができた。ユズが列を整理してナナが配る。配り終える頃にはすっかり陽も落ちて夜になっていた。
「いいことしたねナナ。みんな喜んでくれてたよ。」
「えへへ〜。ナナすごい?」
「うん。ナナはやっぱり凄いよ。」
「やったー!あーよかった。ダサいとか思われたらどうしようってずっと思ってたんだけどみんな喜んでくれたから作った甲斐があったよ!」
「ナナセンスいいもんね。」
「そうかな?えへへ。」
ナナはずっと上機嫌だった。
つられてユズも笑顔になる。
これは復興途中の街の小さな話。
ここからまた人類は再生していくんだ。
足りないものは補い合いながら、それぞれができることをやって、そうやって助け合いながら世界は復興し始めたのだ。




