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今日は掃除の日だ。
とは言ってもごみ収集業者なんてもうこの世界にはいない。
不法投棄と言えるだけの法律も機能していない。
非常食でも食べ続ければゴミが溜まって不衛生だし掃除機をかけないと埃が溜まって病気の元になるかもしれない。切った髪や爪もある。だからユズたちで決めた掃除の日というだけだけれど。
「ナナ高いところ届くでしょ?これでパタパタしといて。」
「はーい!パタパタしとくね!」
「ちょっと風呂掃除してくるからそれまでにその辺の高いところの埃落としといてね。」
「わかった!」
風呂といってもシェルターだからあるのはシャワーだけなのだがこまめに掃除しないと髪の毛が詰まって使えなくなってしまう。
そこで髪の毛も溶かす洗浄剤の出番だ。
掃除はまず上からというのが基本だけれどユズは高いところに手が届かないからモップで天井を擦る。次に壁とシャワーヘッド。そして床。
一通り掃除した後に洗浄剤を排水口に流す。
これで放置しておけばあとは水を流すだけだ。
さて、ナナはどうしてるかな、と見に行くと意外と真剣に掃除しているナナがいた。
「あっ、ユズ終わった?ちょっと待っててねー?ナナももうすぐ終わるから!」
「わかった。ゆっくりでいいからねー。」
「ポンポンっと。はい、終わりー!」
「ナナありがとね。」
「えへへ、ナナちゃんにかかればこれくらいのこと朝飯前なのです!」
「じゃあ掃除機かけるから生ゴミ頼んでいい?」
「いいよー!」
ナナは基本的に断らない性格だった。
普通生ゴミの処理なんか嫌がるだろうにそれでもやってくれるのがナナ。ユズは前に虫が出てきて大騒ぎになって以来生ゴミの掃除が苦手だったから本当に助かる。ユズは虫が大嫌いだけれどナナは平気だったからそのときもナナに倒してもらった。
「うわー埃いっぱい落ちてるなー。もっと掃除増やすかな?」
ユズはリビング、寝室、キッチンと一通り掃除機をかける。
その間にナナはキッチンでシンクと生ゴミの片付けをしていた。
「ねー、ユズ。」
「んー?どうしたの?」
「終わったよー。捨てに行く?」
「こっちももうすぐ終わるからそしたら捨てに行こっか。」
「わかったー!」
そして掃除機をかけ終わり風呂場で水を流し掃除が終わり虫除け剤を焚いて、二人で出たゴミを捨てに行くことにした。
「はー!やっぱ外はいいなー!」
「ナナ外の方が好きだもんね。」
「うん!やっぱり家の中にずっといるのは退屈だよー!」
「でも仕方ないからね……。ごめんね無理させて。」
「へ?無理なんてしてないよ?」
「ナナは優しいね。……ありがとう。」
「ナナえらいー?褒めて褒めてー!」
「よーしよし、偉い偉い。」
歩きながらナナの頭を撫でる。
ちょっとナナの方が背が高いから手を伸ばすのは大変だけれどユズはナナの綺麗な髪が好きだった。
そうしている間にゴミ処理場に着いた。
以前は稼働していたゴミ処理場。今はただ上から投げ込むだけしかできないけれど路上に放置するのはユズの性分が許さなかったからこうしてたまにちょっと遠いけれど歩いて捨てに行くのだ。
それに外を歩くのは気分転換にもなるし、なによりナナが喜んでくれるから一石二鳥なのだ。
「せーの、ぽいっ!」
「えいっ!」
「これでよしっと。ナナ帰ろっか。」
「ナナちゃんはもうちょっと外を歩きたいなーなんて思ってるのです!」
「そっか。ならちょっと遠回りして食糧でも探そっか。」
「わーい!お散歩お散歩ー!」
「わかったからあんまりはしゃがないの。変な人に見つかったら危ないからね。」
「うん、そうだね。わかった。」
そうして街の中まで歩いて今日も食糧を探す二人。
「これ食べられそうかなー?」
「うーん、期限ちょっとだけ切れてるけど大丈夫かな、これくらいなら。」
「じゃあ持って帰ろ!他にもあるかなー?」
「あんまり多いと持ちきれないからね?」
「わかってるって。ナナちゃんに任せなさいなのです!」
「はいはい。ナナは力持ちだもんね。いつもありがとね。」
「えへへー。」
そうして食糧を見繕い家路につく二人。
今日も平和な一日だった。
こんな日がいつまで続くのだろうか。
ユズは一日でも早く元通りの生活になればいいとは思っていたがこんな生活も悪くないかもね、なんて思い始めたのだった。




