36 お勤め
ミナモと暮らすことになった、俺。
ちゃんと、告白、出来ました。
何となく、強制感が強かった気も、なきにしもあらず。
まあ、ミナモですから。
突然の、兄との縁談、
俺が黙って消えた事、
周囲の勝手なあれこれに、
ミナモ、ついに爆発、
結局、自らも家を出ることを決意。
もちろん大騒動となり、ミナモの実家と俺の家の両方を相手に大立ち回りだった、とのこと。
親父殿、兄上、ミナモの御実家の方々へ、心からのお詫びと御見舞いの気持ちを。
婚姻については、俺が俺自身を一人前と認められるようになるまで待って欲しいと、説得。
そういう気持ちに関しては、誰よりも真っ直ぐなミナモ、もちろん了承してくれました。
チームモノカ一同、ミナモとはすっかり仲良し。
いわゆる無双乙女たちは、ミナモの薙刀使いの業前に興味津々。
なにせ俺よりも強いのです。 武術の熟達度的意味で。
ただ、あの乙女同士の猛烈な組み手修練はもう少し控えて頂きたいかと。
いわゆるたおやか乙女たちは、ミナモの料理の腕前に興味津々。
東方料理は出汁が命、と、力説するミナモ。
こちらの市場を散策する毎日。
散策中に美味いうどん屋台を見つけたとの事、
今度一緒に行ってみようかと。
俺とミナモの二人暮らし、
モノカさんたちが用事以外では滅多にこちらへ来ないのは遠慮から、かも。
そういう気の使い方、お互い気恥ずかしいので、もっと頻繁に交流希望。
「おじゃましまーす」
おや、モノカさん、久しぶりの来宅。
という事は、何やら起こりそうな予感。
「おふたりに、ぜひ、聞いていただきたいことが」
予感的中の予感。
モノカさんのお願いは、ジオーネへの旅の同行。
つまり、なかなか戻って来れないカミスさんに、通信魔導具越しの声だけでは我慢出来なくなった、と。
ぽかり
「痛っ」
「乙女心を茶化すのは許しませんよ」
ミナモ、容赦無し。
「いかがでしょうか」
了承です、モノカさん。
何せ俺は、チームモノカの用心棒。
この身の限りを尽くして、お供する所存。
「駄目ですよシナギさん。 もう自分一人のお身体では無いのです」
モノカさんが、ミナモに目配せ。
「モノカさんの大切な想い人カミスさん、早くお会いしたいです」
ミナモの言葉に、モノカさん真っ赤になって照れ照れ。
実に、良い眺め。
ぽかり
「痛っ」
「武芸者たるもの、目線には常に細心の注意を」
ミナモ、本当に、容赦無し。
そんなこんなで常在戦場
日々の暮らしが修練三昧
用心棒の居候
今日も今日とて
乙女とお勤め
真っ直ぐじゃ無いし
平坦でも無い
そんな道の途中
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。




