33 内緒
和やかな滞在の日々も過ぎ、
そして、出立の時。
ロイ家一同によるお見送り。
「何かあったら、いつでも連絡ください」
ロイさんの御気遣い、誠に感激至極。
「落ち着いたら、ぜひ一緒に冒険など」
望むところです。
がっしりと、握手。
「あちらの皆さんにもよろしくです」
ロイさん御家族一同、礼。
チームモノカ一同とお供の俺も、礼。
この既視感は、モノカさんと御仲間たち皆に共通する、暖かさの証し。
全ての出会いに、俺、感謝。
そしてシブマ1号は、エルサニア王都の我が家を目指す。
いつも通り指定席は、御者のモノカさんの隣。
「今のシナギさんはとても充実した表情なのですが、ロイさんのお宅で、なにか特別な収穫でも」
流石はモノカさん、鋭い御指摘。
しかし、我が胸の内の秘め事、決して悟られてはならぬ。
実はですね、こっそりとですね、アリシエラさんのあのネコミミを堪能させて頂きまして。
「内緒ですよっ」
と、恥じらうアリシエラさんの表情がまた、格別。
もちろん、ネコしっぽに手出しするような破廉恥漢では無いのです。
でもやはり、想像以上に良いものでしたよ、ネコミミ。
『アリシエラママからいろいろ聞いちゃってるけど、シジミは秘密を守れる良い娘になるって誓ったから、内緒、なの』
…………
俺、いつまで、居候暮らし、出来るやら。




