31 お説法
ロイ家邸内の居間にて、一同歓談中。
ロイさんに甘えるアイネさん、
を、羨ましそうに見つめるモノカさん、
を、にこにこ眺めているノルシェさん。
リノアさんの抱っこでおねむのマクラさん、
に、優しいまなざしを向けるセシエリアさん。
何と言いますか、素敵な、癒し空間。
そして、
部屋の隅には床上正座待機中の、
アリシエラさんとシジミさん。
何と言いますか、過酷な、お仕置き状態。
「すみませんロイさん、そろそろふたりを解放してあげては……」
せっかくの癒し空間、出来れば皆で味わいたいのですが。
「では、今回の件の被害者代表であるシナギさんから、締めの一言を」
ハードル高いですよ、御主人。
「おふたりが魔導技術の発展に心血を注いできた事に、門外漢の俺がとやかく言うのはお門違いかも知れません」
「ただ、魔導を極めようとするその溢れんばかりの情熱を、もう少しだけ、周りに居る人々の方へと向けて頂けたら、と」
「世界のために日々御活躍の『鏡の賢者』さん、そして何より、素敵な御家族と優しい御仲間の方々の平穏な暮らしのためにも」
「御自身の行動がもたらす波紋の大きさに、今一度、想像を巡らせて頂けたら、と」
何やら、俺らしくも無い、仰々しい物言いになってしまいましたが……
正座中のおふたり、言葉も紡げぬまま、ネコミミを震わせて、落涙。
この場に居る一同、皆、眼を潤ませて、感慨深げ。
静まり返った居間にて、
俺、やり過ぎた感に、恐縮。




