20 出立
目覚めは、実に快適。
『マクラのお宿』の癒し力に感服。
身支度を整え、一階の食堂にて皆を待っていると、ヘリヤさんがお茶を煎れてくれました。
美味い。
そこはかとなく、いつもマクラさんが煎れてくれるお茶を感じさせる風味。
その旨、伝えると、
「ありがとうございます」
ヘリヤさん、瞳を潤ませてにっこり。
「シナギさんが『モンスター』してるんですけどっ」
いつの間にやら後ろにはアイネさんが。
ですから『モンスター』とは何ぞ?
旅立ちは、一同、笑顔で。
「いつも素敵なお宿を、ありがとうございます、ご主人っ」
リーダーの元気な声に合わせて、
チームモノカ一同と俺、深々と、礼。
「旅の御無事をお祈りしております」
コルノさんとヘリヤさん、深々と、礼。
にこにこ笑顔のマクラさんと共に、一同、次の目的地のロイさん宅へ向けて、出発。
旅路を行くは幌馬車シブマ、
御者は、いつも通りのモノカさん、
この旅では、隣に座るのは、俺。
そして今日は、ふたりの間に、ちょこんと、マクラさん。
「マクラさんは、昨晩、御父上と如何様なお話しを」
「ないしょだよっ」
にこにこマクラさん。
「モノカさんは、昨晩、女子一同で如何様なお話しを」
「内緒ですっ」
にこにこモノカさん。
正に、母娘。
俺、なんだか、おじゃま虫気分。




