02 勘弁
朝の鍛錬も一息ついて、今は縁側にてお茶を一服。
この家を建てる際に、俺が少しでも安らげるようにと故郷の建物を模して建造してくれました。
モノカさんとアリシエラさんの、深い御心遣いに、感謝。
この御恩に報いるには、用心棒として今以上に安心・安全を感じていただけるよう、ただひたすらに修練あるのみ。
どれ、そろそろ稽古を再開せねばと腰を上げようとした矢先、ふと気配が。
視線を感じて目線を向けると、
「お疲れさまです」
モノカさん、来宅。
なのですが、少しお困りの様子。
どうやら、かねてから度々話題となっていた、チームモノカぶらり旅再開の件のようです。
そして、ぶらり旅行く先選定兼メンバー選抜会議、俺もモノカ邸にお呼ばれされました。
チームモノカの代名詞、天下無双の世直しぶらり旅。
ところが最近は、いろいろあって長旅は御無沙汰だったとのこと。
本格再始動のための計画が練られていたそうなのですが、
「ごめんモノカ。 僕たちのチームは、今度の旅への同行は無理みたいだ」
カミスさん、とても残念そう。
カミスさんのチームは、エルサニア・クルゼスの両国トップからの要望で、中立の街ジオーネに責任者(仮)としてしばらく滞在する事となったそうです。
「両国で正式な責任者が選抜されるまでの間、ジオーネの街を見守っていてほしいって、ツァイシャ女王様たちからお願いされちゃって……」
エルサニア・クルゼスの両国共に、あの戦争屋たちと関わりのあったお偉いさんや大商人たちが大勢お縄になったせいで、人材不足でえらいことになっているとか。
で、今回の騒ぎを収めた面々の中でも特に信頼のおけるチームとして、当事国ではない第三国の元王女を有するチームカミスに白羽の矢、だそうです。
「御領主修行、頑張ってね、カミス」
「勘弁してよ、モノカ」
おふたりのらぶらぶっぷりこそが、独り者には目の毒ゆえ、御勘弁。