19 お宿
「お世話になります、ご主人っ」
モノカさんの上機嫌な御挨拶の後、
案内されたのは、二階の奥にある堅固な扉の立派な御部屋。
なのですが、早速問題に気付いてしまった、俺。
御主人、出来ればもう一部屋、御用意の程、お願いしたく……
「後ほど受け付けの方へお越しください」
御主人からのこっそり耳打ちに、俺、ひと安心。
男風呂にて温泉を、ゆったりと堪能。
宿御自慢の豪勢な夕食を、まったりと堪能。
実に快適至極、
流石は『マクラのお宿』
看板に偽り無し。
そして、後は寝るのみ。
マクラさんは父上コルノさんの御部屋へ。
水入らずにて、積もる話しを咲かせて下さい。
モノカさんたちは、三つ並べたベッドの上に、四人がぴたりと寄り添い合って、正に密。
これが噂のガールズトークスタンバイモードこと女子会準備状態。
男子禁制にも程がある。
アレなことになる前に、速攻で脱出を。
「では、俺はこれにて失礼」
無事に、逃げ出せました。
受け付けにて案内されるは、階段脇の小部屋。
何故か落ち着く間取りと狭さに、寝床に入るや否や眠気襲来。
これぞ、旅の醍醐味。
朝までぐっすり夢の中、でした。




