18 穏やか
和気あいあいと皆で囲む昼食、正に御馳走。
エルサニアに来てから食が進みすぎて、お腹まわりが少々心配な、俺。
今まで以上のさらなる研鑽が必要と、密やかな誓い。
などと私ごとを考えている間に、いつの間にやら出立の時間に。
「何かあったら、いつでも連絡ください」
アランさんの御気遣い、誠に感激至極。
「落ち着いたら、ぜひ一緒に冒険など」
望むところです。
がっしりと、握手。
「ロイさんたちにもよろしくです」
アランさん御家族一同、礼。
チームモノカ一同とお供の俺も、礼。
そしてシブマ1号は、マクラさんのお宿を目指す。
「皆さん、相変わらずのらぶらぶ家族でした」
御者のモノカさん、感慨深げ。
「シナギさんも、あのような感じでたくさんの愛に囲まれた生活をお望みですか」
どうでしょう、あのらぶらぶ生活はアランさんだからこそ、かと。
もちろん、カミスさんも、ですよ。
「次に伺うロイさんのご家庭も、ぜひ参考になさって下さい」
モノカさんの憧れの男性ロイさん、早くお会いしたいです。
「まずは長旅に備えて、マクラのお宿で英気を養いましょう」
とても楽しみです。
ちなみに『マクラのお宿』というのは比喩では無く、正式な名称なのだそうです。
チームモノカとして大冒険を繰り広げた結果、いつの間にかメンバーのマクラさんもすっかり有名人に。
最年少ながらも頑張るその姿は、同年代の子供たちからお孫さん感覚で応援する年配の方々までの、幅広い層から愛されているとか。
いつしかマクラさんの生家として有名になったお宿は、
皆から『マクラのお宿』と呼ばれるようになり、
宿の御主人にしてマクラさんの父上コルノさんの承諾により、
正式名称となったそうです。
不思議なことに、宿を訪れるお客様は皆、"良い人"ばかり。
どんなに繁盛しても、"悪い人"は来ないのだとか。
宿の方々はもちろん、マクラさんの人徳、ですね。
「ちょっと恥ずかしいな」
マクラさん、照れ照れ。
これもまた、有名税なのでしょうか。
穏やかな旅を経て、『マクラのお宿』に到着。




