17 非凡
何だかいろいろありましたが、事態は無事収拾。
暴走した奥方たちも落ち着いて、今はアラン邸の居間にて歓談中。
「この度はウチの妻たちが、その、アレしちゃって、まことに申し訳ない」
アランさん、平謝り。
「なんと言いますか、会うたびにらぶらぶっぷりが増しているような」
モノカさん、それってあなたとカミスさんにも当てはまります。
「妻たちが、なんかいろいろと勘違いしちゃったみたいで」
アランさん、後学のためにも、なんかいろいろについて後程詳しく教えていただきたい。
奥方たちは四人とも、大人しくテーブルに着いておられます。
真っ赤になってうつむいている様、実に乙女。
「とても情熱的な御家族なのですね」
俺の率直な感想に、奥方たちがぷるぷる震え出しましたよ。
いかん、話しを蒸し返してしまうとは、いかに俺が朴念仁の唐変木とは言え失言にも程があろう。
「誠に申し訳ない、アランさんと奥方様たちの絆の深さを茶化してしまうとは、このシナギ、伏してお詫びを」
土下座しようとした俺を、すっと制したのはモノカさん。
「皆さん、もう少し落ち着きましょうか。 ここは大人として節度ある振る舞いを」
気付けば、お茶の用意をしてきてくれたメイドさんたちとマクラさんが、今まさに居間に入って来たところ。
流石はモノカさん、マクラさんの母上。
確かに、大人たちがこれ以上の醜態を晒しては、マクラさんの教育上よろしく無い事この上無い。
「「ありがとうございます、モノカさん」」
俺とアランさんの感謝の言葉を聞いて、
マクラさん、にっこり。
素晴らしく美味しいお茶とお茶菓子に、一同、ほっこり。
個性豊かな四人の奥方、素敵なふたりのメイドさん、
自己紹介も、滞りなく済みました。
私服姿でも凛々しさを隠せない金髪碧眼の勇姿、
乙女騎士、リリシアさん。
俺のような東方人にも親しみやすい風貌と、才を滲ませる言葉遣い、
才媛、マユリさん。
幼さの残る容姿ながらツァイシャ女王様を彷彿させる高貴さと威厳、
冒険王女、ユイさん。
纏うは溢れ出る艶やかさと不思議な安らぎ感、
魔導妻、ハルミスタさん。
小さな身体に無限の元気と絶やさぬ笑顔、
優しき魔族、ニエルさん。
個性的な家族を支え続ける知識と経験と包容力、
メイドの鏡、メリルさん。
もちろん、皆がこれほど慕うアランさんが、凡才であろうはずは無し。
初見でアランさんに普通の男性などという印象を抱いた己の見識の無さを、ただ恥じるのみ。
チームアラン、流石はモノカさんの御友人方。
皆、只者では無いのです。




