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15 エルシニア


 大満足の夕食、


 片付けも済んで、


 今、焚き火の前には、


 夜番のふたり、


 ノルシェさんと、俺。



「夜番、お疲れ様です」


「アリシエラさんの防犯結界を信用していないわけでは無いのです」

「ただ、安全への備えをおろそかにすれば必ずやしっぺ返しが降りかかってくる、というのが、チームモノカの経験則なのです」


 ノルシェさん、小声で力説。



「そういえば、カミスさん宅にて気になった事がひとつ、あるのですが」


 エルミナさんの涙の理由、聞いてみました。




 エルミナさんの故国はエルシニア王国。


 実は、国の名前がエルシニアに変わったのは、つい最近。


 エルミナさんの姉姫たちのわがまま、だそうです。


 エルミナさんは元第七王女。


 姉姫たちとはあまり良い関係では無かったとのこと。


 そして問題は、その姉姫たち。


 姉姫たちの、大国エルサニアへの度を超した憧れは止まる事を知らず、


 王の甘やかしの元で、ついには歯止めが効かなくなってしまい、


 生活様式や儀礼・風習などの文化の模倣から、


 突然の国名変更を経て、


 ついにはエルサニアですら禁忌とされた異世界人召喚にまで事が及んでしまったとか。


 クリシア王妃を筆頭とする良識派の声は、


 わがまま姉姫たちを上手いこと操りたい重鎮たちの台頭でかき消されて、


 王と姉姫たちの暴走は、


 今では周辺諸国との軋轢を生むほどに。



「エルミナさん、悲しいでしょうね」


「周辺諸国との戦さと、奮起した民による内乱と、どちらが先か、というほどの状況なのだそうです」

「せめてクリシア王妃様だけでもお救いできればと、ツァイシャ女王様が各国に働きかけていらっしゃるとか」


「えーと、そのような重要な情報を俺なんかが知っちゃっても……」


「もちろん、チームモノカと愉快な用心棒は、何があっても一蓮托生、ですよねっ」


 ノルシェさん、にっこり。




 その後、ノルシェさんが熱く語るリリシアさん伝説をたっぷりと聞かされていたら、いつの間にやら朝を迎えておりました。


『王国騎士団の純白の無双華』ことリリシアさんは、アランさんの奥方。


 ただ、あまりにも情報過多となってしまって、お会いするのが怖いほど、なのです。



 美味しい朝食が済んだら、撤収作業をしていざ出発。


 幌馬車シブマ1号、目指すはアランさん御一家の暮らす町。




 はい、到着。


 道中、何事も無し。


 シブマ1号の幌に描かれたネコさんマークは、悪党にとっては忌避すべき目印。


 エルサニア王都近郊では、手出ししてくる者は皆無。


 それでも警戒を怠らぬのが、一流の証し、ですね。



 衛兵さんと和やかに御挨拶して、町に入りました。


 では、いざアランさん宅へ。



 と、その前に、


 この町に着いたら必ず寄るべき大事な場所が。


 チームモノカの定宿にしてマクラさんの御実家に、到着。



「ただいま戻りました、ご主人っ」


 モノカさんが元気に御挨拶なさったのが、この宿の御主人にしてマクラさんの父上、コルノさん。


 ちょっとだけ照れた様子のマクラさんが、父上の胸に飛び込みましたよ。


 俺、少し、泣きそう。



 そして、抱き合う親子を優しく見守っている素敵な女性は、ヘリヤさん。


 コルノさんと共にこの宿を支える素晴らしい女性、とのこと。


 もちろんコルノさんをも支え続けてきた訳で、つまりは、そういう事なのでしょう。


 ふたりに、幸あれ。



「先にアランさん宅にご挨拶に伺ってきますが、戻ってきたら今晩一晩、よろしくお願いします、ご主人っ」


「お待ちしております」


 コルノさんとヘリヤさん、深々と礼。


 息ぴったり、ですね。



 そして、シブマ1号、アラン邸へ出発。


 おや、マクラさんも幌馬車に乗り込んでおりますが。



「早くユイお姉さんたちに会いたいですっ」


 うむ、父上には、今晩一晩がっつり甘えちゃってください。



 幌馬車シブマ、目指すはアラン邸。



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