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14 宴
ふたり連れ立って野営地に戻ると、
辺り一面に漂う、何とも言えない美味そうな香り。
そして、焚き火の前の面々から、睨まれました。
「お母さん、おそーい」
「遅刻は許しませんよっ、モノカッ」
「うどんに謝るべきねっ、モノカッ」
「食べ盛り乙女たちの胃袋はお預け禁止なのっ、モノカッ」
「なにゆえ私だけ集中砲火……」
モノカさんからの、訴えるような、切実なまなざし。
了解です、リーダー。
このシナギ、乙女のピンチは見過ごせぬ。
今の俺に出来ることは、
「うどん、大好物なのです……」
本心からの、ひと言。
「いただきますっ」×6
宴開始のハーモニーに導いたのは、俺のうどんへの熱い想い、かも。
焚き火を囲んで肉野菜炒め乗せうどんを無心に頬張る、
乙女五人とお供がひとり。
ひとり旅も良いものですが、
皆との旅もまた、格別。




