13 語る
野営地から少々離れた場所にて、ひとり佇むモノカさん。
どうやら精神集中の鍛錬中。
邪魔してはならぬと、こっそり離れようとすると、
「シナギさん、ちょっと」
気付かれていました。
「実は、前々からお聞きしたかった事があるのです」
「シナギさんの人となりについてなのですが」
「もし、お嫌でしたら、このままさらりと流していただければ」
何なりと。
「シナギさんは、その、女性に対して過剰に慎重であるように見受けられるのですが」
おっしゃる通り、かと。
「何か、わけがお有りですか」
恥ずかしながら。
以下は、自分語り。
貧乏武家の三男坊の俺、
割と自由な振る舞いを許されていた。
家の事など何も気にせず、剣の修行に没頭出来る程に。
幼馴染みがひとり、
お互い異性とも意識しない間柄。
もうすぐ成人の儀となった頃、
ようやく互いの想いに気付く。
特に約束などがあったわけでは無いが、
このまま夫婦になるのだろうなと考えていた。
兄との縁談が決まったことを、
知らされたのは成人の儀の直後。
すぐに親父殿に家を出る旨、談判し、
『ぶなしめじ』を握りしめ、
誰にも会わずに飛び出した。
「お辛かったでしょう」
逃げ、ですね
「今の生活は、いかがですか」
乙女嵐にきりきりまいの毎日、です。
「チームモノカとその仲間たちは狙った獲物は逃がさないと、もっぱらの噂なのですよ」
末永く、お手柔らかに、です。
ふたり、微笑んだ。




