11 雑談
エルサニア城を出て、目指すはチームアランの住まう町。
特使公爵アランさんは、モノカさんと同郷にして頼れる兄貴分的存在の殿方。
四人の奥方との仲睦まじい暮らし、全くもって羨ましい。
「もしかして、シナギさんも奥さまがたくさん欲しい殿方なのですかっ」
えーと、それに関しては黙秘、という事でお願いします、ノルシェさん。
否定も肯定も、俺の未来の可能性が狭まりそうなので。
『むぅ、『誠実な無自覚プレイボーイモンスター』の三人目発見、なの』
御者席脇にある板状の魔導具から、シジミさんの声が。
乙女に秘密があるように、男にもあれやこれやがあるのですよ、シジミさん。
あと、そのなんちゃらモンスターって何の事でしょう。
「シナギさんが羨ましいって言ってるのは、『四人の奥方』の方じゃなくて『仲睦まじい』ってことですよねっ」
流石はアイネさん、御気遣いに感謝。
俺の故郷の東方では、お偉い方々以外は一夫一妻でしたよ。
「アランさんだけじゃなくカミスもあんな感じだし、シナギさんも……」
モノカさんが、複雑そうな表情。
とりあえず、野営のテントは持参しておりますので、アレな方向に関しては問題無しかと。
「ちっちゃなテントでも、マクラなら平気だよっ」
俺が平気じゃないのです、マクラさん。
長旅では、安眠出来る環境の確保は大切なのです。
などと雑談してる間に、今日の野営予定地に到着。




