第五十七話 総大将の記憶
何日も経ってるから…
そりゃぁそぉなるよなぁ…
陣に戻ると鑑鎮が出迎えてくれた。
「ささっ、鑑連様、道雪殿、こちらへ。」
陣の奥、上座の横に案内される。
「なぁ、鑑鎮…オレ達、腹減ってんだけど…喰い物ある?」
小声で聞いてみた。
「まだ兵糧が残ってるとは思いますが…冷めてますぞ?」
「構わんよ。」
「すぐ用意します。」
暫くすると喰い物を運んで来てくれた。
オレと道雪はがっついてしまった。
「いただきまぁす!!」
味?そんなのより腹を膨らます事が大事だ!!
ふう…人心地付けたな。
「ご馳走様でした。」
どんな時でも、食への感謝は大事だ!!
周りを見ると…女の人多いな…
「なぁ、鑑鎮?やけに女の人多くね?幕軍ってそんなもんなの?」
「今は女性の比率が多くて男が少なく…致し方ないのですよ…本心は女性を戦場になど連れて来たくは無いのですがね…」
「あぁ…何かそんな事聞いたな…」
ラナーに入ってから女性をほとんど見ていないって事もあって忘れてたわ…
「あきつら!!戻ったかや!!」
「旦那様!!お怪我はありませんか!?」
「師匠!!ご無事でしたか!!」
その場にそぐわない美少女が二人抱き着いて…直前で止まる。
何か鼻摘んでるけど…何で?
あ…まぁ…でも抱き着いたり、抱擁したり、そんな事する場ぢゃ無いわな…軍議の場だし…
つか、久清も元気になってる!?
「あきつら…?」
「ん?」
「旦那様…かなり臭う…」
「やよ!!」
あ〜!!何日も風呂に入らず汗だくになったりしてたから…それで鼻摘んで立ち止まったのか…
お願い…嫌わないでね?
「何日も二人だけで行動してたから、仕方ないとは云え…わっちの愛もソレは受け入れられないやよ…」
「わ…ワタシは大丈夫ですよ、ご主人様。」
「なぁ椿?そんな言葉は紅葉の後ろに隠れて言っても、説得力皆無だからな?逆にすっげぇ傷付くんだからな!?」
オレ達の夫婦漫才を観て周りの空気が緩む…堪らず吹き出すヤツまで居る…いい具合に緊張は解れたかな?
「ん、んんっ!!」
オレは咳払いをして空気を戻す。
「まぁ臭いのには鼻を摘んで貰って…先ずは情報だ。」
オレの声に緩んだ空気が少しだけ締まる、少しだけ、だけね…
「道雪、オレ達のコレまでの行動と、ラナーの同行の説明を。」
「畏まりました。」
ソレから語られた内容は…めっちゃファンタジーな内容だった…
みんなぽっかぁ〜んだ。そりゃそぉだよね?
だった二人の戦果としては、アホみたいな内容だもん…信じられないよね…
アレ?何か女性陣のオレ達を見る目が座ってる?獲物を狩るケモノじみてコワいんですけど!?
「…以上が、コレまでの戦果です。そして、ラナー王都から約二万の軍勢が出立、恐らく明日の昼には接敵となる事でしょう、その中にラナー国王も居ると思われます。」
説明を終え道雪も席に座る。
「俄には信じられない内容ですが…此処まで見て来た内容とも合致してますから…事実でしょうな…しかし、たった二人で万を超える軍を殲滅とは…」
「ほぼ殿の力ですがね。」
鑑鎮の呆れた言葉に道雪が応えた。
「あきつら!?無茶はするなと云ったはずやよ?」
「旦那様の身に何かあったら、私の損失です!!」
何か二人に叱られてる…解せぬ!!
「でも、ラナー国王が出陣して来るなら願っても無いやよ!!引っ捕えてラナー王都で打首やよ!!」
「生け捕りなの?かなり難しい注文なんだけど…」
「不可能かや?」
「不可能ぢゃ無いけど…難易度爆上がりなんだが?」
「ソレをなんとかするのがこの軍の総大将の役目やよ!!」
オレは鑑鎮に憐れみの視線を送る。
「なんですか!?鑑連様?」
「将軍や他の家老は?」
「ラナー側の関所にて待機してますが?」
ぽんぽん
オレは鑑鎮の肩を叩き、
「頑張れ総大将!!」
「はっ?」
「何を言うかや?総大将はあきつらやよ?」
「へっ?」
「あきつら達と合流出来たら、総大将はあきつらだと決まったやよ?」
「んな!?なんでだよ!?」
「わっちの夫になる男が、ただの一兵卒だと風聞が悪いやよ!!」
「んぐっ…まぁ確かに…」
「この戦で成果を上げる!!コレが最低条件になったやよ!!」
「オレの了承無しに決まったのか!?」
「そぉやよ!!」
あ…押し切られた…
「わっち等九尾の狐様の一族の戦やよ?攻め手の総大将が幕府の家老だと体裁も悪いやよ…あきつらがわっちを愛して無いなら無理強いはしないやよ…」
あ…泣きそぉになってる…
周りも見てみる…
「殿、逃げ場は御座いませんぞ?」
小声で道雪が止めを刺す。
「解った、解ったから泣かないでくれ…」
「ホントかや?」
「この軍の総大将、オレが引き受ける。」
「なら良いやよ!!」
あ…さっきのウソ泣きだ!!
策士め!!
「軍師は道雪やよ?」
「はい?」
「わっちの近衛と結婚するならそのくらいには居てもらわねば風聞が悪いやよ?」
「諦めろ…」
オレは小声で道雪に止めを刺した。
「はい…承りました…」
道雪も力無く頷いた。
二人共疲れてるんだから労って欲しいんだけどなぁ…
「さて、引き受けた以上オレがココからは仕切るけど良いかな?」
周りを見渡すと皆頷いた。
「先ず、幕軍から死者を出す事を禁ずる!!今回幕軍は援軍だ!!ソコに死者を出したとなれば我等、狐人族末代までの恥!!コレは絶対だ!!」
「はっ!!」
オレの言葉に皆頭を下げて従う意志を示した。
「第一撃は主上陛下にして狐人族の長紅葉様にして頂く、盛大な口上の後半数程を排除して頂きたい。」
「解ったやよ。」
「その後は支援でお願いします。」
「了承したやよ。」
「次いでオレが斬り込む!!法術を最大限に放出するから余り近付かないで欲しい。」
「畏まりました。」
道雪が頷く。
「ソレからは…道雪、久清を筆頭に斬り込み、法術に因る援護と弓の一斉射撃にて敵兵を殲滅する!!幕軍には討ち漏らしの追撃をお願いしたい。
コレは、策とも云えぬ力押しだが…やって出来ない事も無いと考えているが如何に?」
「我等一同総大将に従いまする。」
鑑鎮が皆を代表して意見を述べ、皆が頭を下げた。
「ならば明日に向けて英気を養ってくれ!!」
「はっ!!」
皆んなの返事で軍議は一応終わった。
こんなんで良いのか?と思わなくも無いんだが…
ソレからオレと道雪は湯を貰い身体を拭き、着替えを貰った。
その日は励まず、紅葉と椿の温もりに包まれ久々の安眠を貪った。
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お時間ありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」もお読みください。




