第五百六十話 産後の賑わいの記憶
留異沙…大分県に在るざびえる本舗さんのお菓子の名前です。
調べたら出て来ました。
まさかオレが…知らなかったなぁ…
「ほら、旦那様も瑠衣を抱っこしてみるやよ。」
紅葉に促され、瑠衣を抱っこしてみる…
「えと…どぉ抱っこしたら良いんだ?」
オレの質問に答えたのは腹黒女官さんだ。
「まず、首がしっかりしてませんので、しっかりと、頭と身体を支えて上げて下さい。赤ちゃんは簡単に死にますから気を付けて下さいね?」
「は…はい。」
オレは腹黒女官さんに指示されながらゆっくりと、紅葉から瑠衣を預かる。
最初に抱っこした感想は、軽い…だった。二キロ無いくらいかな?
紅葉のお腹の膨らみ方から考えたらやけに小さく感じるけど、お腹に居たのは瑠衣だけぢゃ無い。羊水とか胎盤とかも在ったから、お腹があんなに大きかったんだよな…
小さな身体で良く頑張ったモンだなぁ…
「紅葉は…いや、女性はスゴいな…」
オレの言葉にみんなが顔を見合わせ、
「いきなりどおしたのかや?」
紅葉が代表だと云った感じで訊いて来た。
「ん?あぁ…その…なんだ。赤ちゃんを産めるって事に驚いてさ…」
ソレにこんな大きさの赤ちゃんを産道から出すんだ…かなりの重労働だったろぉに…ソレを微塵も感じさせないとか…
もっとみんなを労らなきゃな。
「…改めてみんなを尊敬するよ。」
オレの言葉に一番面喰らった感じになっているのは、腹黒女官さんだった。
「さっき叩いた時に、当たり所が悪かったのかしら?ソレとも拾い喰いでもしましたか!?」
って…かなり失礼なんだが?
「波津さん、流石に言い過ぎですよ。」
と、椿が嗜めてくれるけど、
「いや、構わないよ。今日、改めて女性のスゴさを思い知った感じだから。波津殿も鑑雪を産んだ時、今の紅葉みたいだったんだろ?」
「そぉですわね…鑑雪の方がもっと大きかったので、もぉ少し大変でしたかしら?」
「そっか…ソレはソレでかなり驚嘆だよ。」
「あら?なんだか拍子抜けですわね?ソコまで悟った感じになるとは思いませんでしたわ。」
「そぉ?ま、今は気分が高揚してるからかもね。改めて、紅葉には感謝の念が強くなったよ。」
と、正直な感想を言う。
「皆さん!!お気を付け下さい!!天変地異の前触れかも知れませんよ!!」
腹黒女官さんがそんな事を言い出す。
「あの…そんなに変ですか?」
オレの問いに、
「はい。」
間髪入れず、ハッキリと答えられた。ソレに釣られてか、その場に居る全員が、うんうんと頷き、首肯する。
おい!!奥さん達!!お妾さん達!!部下の嫁!!オレの事、そんな風に思ってたのか!?
「なんか泣けてくるよ…」
オレは、瑠衣を抱いたまま、しょんぼりしてしまった。
「ま、普段の自信に満ちた旦那様を見ている身としては、今の発言は…うん、大雪でも降らなきゃ良いけど…」
って、椿が呟いてしまった。椿にしてもそんな風に思ってたのか…なんか悲しい…
「オレ、そんなに?」
「うん、コッチでだと、重要な立場に居るから、無意識に偉ぶってる感じだったよ?」
「まぢか!?」
「うん。日本にいる時と違って張り詰めてたよ。」
「そんな事ないよねぇ。ねぇ瑠衣。」
と、産まれたばかりの娘に救いを求めた。
「おぎゃ〜おぎゃ〜!!」
泣かれちゃったよ…
「ほらほら、瑠衣にも父上が変だと思われてるやよ。ほら、瑠衣は母上の所に来るやよ。」
と、紅葉に瑠衣が奪われた。
瑠衣は静かにおっぱいを飲み出した。
「うぅ…娘にも変だと思われたぁ…」
オレの悲しそぉな反応を見て、その場は笑いに包まれた。
「さて、私はこれから忙しいので、そろそろ失礼しますね。あとは…朔夜さん、アイラさん、お任せしますね。」
「はい。」
「オーケー、アイシー」
と腹黒女官さんは二人の返事を聞いて、治療室を後にした。
「仕事か…手伝った方が良いのかな?」
オレの呟きに、紅葉は、
「おや?出産直後のお嫁さんを放っておいて、他の女の所に行くのかや?」
「えっ?でも、一人ぢゃ大変かと思って…」
「波津ちゃんは、他人の…旦那様の手伝いが要る時はちゃんと言う娘やよ。」
「なら、気を使わ無い方が良いのかな?」
「そぉやよ。何も言わなかったって事は、旦那様はこっちで小間使いをする様にってことやよ。」
「そっか…うん。解ったよ。」
と、掃除に始まって、出産で使った布の洗濯や…アレ?ホントに小間使いしてないか?
ま、幸せだから良いか。
と、任された仕事も終わり、治療室に行くと、紅葉を中心に、椿、楓、朔夜、アイラが瑠衣を愛でていた。
うん、みんな仲良しでホントに良かったよ…
オレもその輪に加わる。
そんな平和な時間を楽しんでいたら、
「長様。夕飯のお時間ですわよ。」
と、女官さんの一人が人数分のご飯を運んで来てくれた。
道雪と島田先生はもぉ気配が無くなっている。多分腹黒女官さんに連れてかれてるな。ご愁傷様だよ。
しかし、どんな仕事させられてるんだか…
そんな事を思いながら、何故かオレはご飯を食べずに、紅葉に食べさせてあげていた。
「ほぉら、瑠衣、父上は優しいやよぉ。わっちにご飯を食べさせてくれてるやよぉ〜。願わくば、口移しが良かったやよねぇ。」
って、オレ、父上って呼ばれるのかなぁ?パパぢゃダメですか?
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お時間がありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」も合わせてお読みください。




