第五百五十八話 蹴られた記憶
歴史の教科書の完成はまだまだ先みたいですね。
平和な日々は突如終わる事もあるんだなぁ…
アレから数ヶ月、兼光の研修も終わり、エミに帰っていた。
そして、オレを題材とした、近代史の教科書と云う名のラノベが完成した。内容は…まぁ、事実だよ?脚色もほぼ無く、上々の仕上がりだった…ただ…
「…なぁ…コレホントにオレがして来た事なのか?」
「はい。吉良様や、遠山様や、子安様、江見様、由比様、将軍や帝にも確認を取りました。事実に相違有りません。ただ…日付け等に多少のズレは有りますが…」
島田先生は夫婦三人で、色んな所に新婚旅行と云う名の取材旅行をして来たらしい…
そんな中で、各国でのオレの評価やして来た事等、重箱の隅をつつく様に、事実のみを掬い上げ、今に至る…
事実っちゃ事実なんだろぉけど…
「改めて読み返してみましたが、ホント、呆れるくらいにラノベの主人公ですよね…今までに何度死にかけて、生還してるんですか?」
島田先生に呆れられてしまった。
「まぁ…その…アレだ。オレは平穏に、平和に、穏便に生きていたいんだけどなぁ…」
「ソレは最早叶わぬ夢物語ですよ。」
島田先生にトドメを刺されたよ…
そんな昼下がり、静かなお屋敷が突如騒ぎ立て出した。
「殿!!一大事ですぞ!!お早くこちらに!!」
道雪の慌てた声が響いた。
「どぉした!?」
オレは、雷震刀を手に立ち上がり、道雪の声のする方に走った。島田先生も一緒だ。
「あ!!殿!!コチラです!!」
「解った!!」
三人で連れ合って、お屋敷の奥、医療室の向かいの部屋に案内された?
「なぁ…一大事なんぢゃ無いのか?」
「はい!!コトの…コト連合の一大事です!!」
腑に落ちないオレに、至って真面目な表情で道雪は答えた。
「高木殿、何がそんなに大事なのてすかな?」
島田先生が落ち着いた口調で道雪に訊ねていた。因みに、道雪と島田先生は同じ立場になったから、お互いに呼び方が殿に落ち着いたみたいだ。
「主上陛下が産気付きました!!」
へぇ〜…紅葉が産気付いたんだ…って事は…赤ちゃんが産まれるのか…
「そりゃ目出度いな!!そっかぁ…主上陛下の跡取りが…」
あれ?なんか違うぞ?紅葉が赤ちゃんを産むとなると…その子供の父親は?
「…アレ?それって…まさか…オレの?」
「そぉです!!呆けてる場合では有りませぬぞ!!殿のお子がお産まれになるのです!!」
道雪のあまりの迫力に気圧されてしまうけど、オレの子か!?
「うおい!!紅葉は!?紅葉は大丈夫なのか!?」
今度はオレが慌ててしまった。
居ても立っても居られず、治療室の前に行き、
「紅葉!!大丈夫か!?おい!!大丈夫なのか!?」
と、大声を上げていた。その時、戸が開き、腹黒女官さんが出て来て、がすっ!!
「少し落ち着いて下さいまし?」
って、あきつらくんを蹴らないで!!そして、蹲るオレの頭を踏み付けながら、そんな事を言っていた。
「殿方は黙って事の経緯をお待ち下さいね?」
「は…はい…」
頭を踏み付けられながら、そぉ言うのがやっとだった。
「殿?大丈夫ですか?」
「いや、流石にコレは無理でしょ…」
道雪と島田先生はそんな会話をしながら、オレを向かいの部屋に運んでくれた。
「うぅ…コレは流石に何も出来んくなるな…」
オレは、情けなく股間を抑え、蹲るしか出来ないでいる。そんなオレの腰を道雪が叩いてくれていた。
「この一件も近代史に書くべきか…」
「ですな…殿の人間らしい姿もしっかりと後世に伝えるべきでしょぉ…」
「お願いだから書かないで…」
島田先生と道雪はそんな冗談を言っている。誰一人として、腹黒女官さんを責める者は居ない…誰か一人だけでも居て良いとは思うんだけど…
と、その時、部屋に椿と楓も入って来た。
「まだ産まれて無いみたいだね。」
「旦那様?蹲ってどぉしたの?」
椿はまだ産まれて無い事に言及し、楓はオレの事が目に入ったみたいだ。
道雪が、オレが蹲っている理由を説明している。
「まぁ、旦那様にしても初めての子供だからね…」
「旦那様も取り乱す事が有るんだね…でも、波津お姉さんも大事な所を蹴るとか…」
「ソレは仕方なく無い?旦那様を黙らせるにはソレが一番手っ取り早いと思うけど?」
「えっ!?」
「ソレに、波津さんには逆らわない方が良いわよ?」
「確かに…うん!!騒いだ旦那様が悪い!!」
って、椿も楓もそぉなのか!?
あきつらくんもやっと回復して来たみたいで、オレも椅子に座る。
「ふぅ…なんとか落ち着いたよ…」
まだズキズキするけど…
「うぎぁ〜〜〜!!」
一際大きな奇声が響き渡って、部屋に居た全員がビクっと身震いした。
「い…今のって…」
オレの呟きに、
「多分紅葉お姉様ぢゃない?大丈夫かなぁ?」
と、椿が返事をしてくれた。
「だ…大丈夫なのか!?」
「…解ん無いよ…でも、出産は痛いって聞くから…」
オレは部屋を飛び出して治療室に行こぉとした所を、道雪と島田先生に押し倒された…
「離せぇ〜!!紅葉ぃ〜!!」
オレは悲鳴に近い声を上げていた。
「…うわぁ…旦那様…そんな状態になるんだ…うん…そりゃぁ蹴られるわ…」
「軽くドン引くわね…」
と、椿と楓に辛辣な言葉を投げかけられる。そして数分後…
「ああぁ〜!!」
と、また紅葉の奇声が響き、続いて…
「ほぎゃぁ〜!!んぎゃぁ〜!!」
と、甲高い声が聞こえた。そして…
「産まれましたよ!!」
と、治療室の向かいに、朔夜が来た。見ないと思ったらそっちに居たのか…
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お時間がありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」も合わせてお読みください。




