第五百二十一話 勝ち誇った記憶
どんな訓練になるんでしょぉか?
そんな事するのかぁ…
「みんなよく集まってくれた。みんながわだかまりを捨ててるとは思わないが、この時間内だけで良い、割り切ってくれると助かる!!」
と、オレは頭を下げて、戦力増強を願った。すると、その気持ちが通じたのか、
「「「「「はぃ!!」」」」」
と、元気な返事が返って来た。
ソコからは完全に陸牙に丸投げして、オレはオレで横目でチラ見しながら鍛練を始めた。
内容は至って単純で、基礎出力の上昇が先決みたいだ。楓だけは陸牙より法力量が多かったから、ソコは免除で、いきなり術を見せ合っている。
「はぁ!!」
楓の気合いと共に大量の礫が飛び、陸牙の作った壁を破壊する。
「…えっ!?まぢで!?ウソだろ…オレの鉄壁とまで謂われた壁があっさり…」
陸牙は最初開いた口が塞がらない様だった。ま、コレが基礎の差なんだよな。
「アレで鉄壁なんだ…ぢゃぁ私も壁を作ってみる!!どぉやって作ってるの?」
そぉ、この九尾の村で、土の法術士達の役割は、礫を飛ばしたり、食器を作ったり、鋳物の型を作ったり、水路を固めてみたりと結構用途が限られていたりする。
オレはソレをぶち壊したかったんだよな…陸牙が加わる事で、その思い込みを壊し、法術の幅を広げたかったんだよね。その一つがあの壁だ。弓矢を防ぐには持って来いだもんな。
陸牙は楓の質問に懇切丁寧に教えている。そして、一度の説明で理解したのか、壁を制作してみせた。
「旦那様ぁ〜!!これ、壊せるぅ?」
と、オレに挑戦して来るのかよ!?
「ん?コレか?どぉだろな?」
オレは新たに作った[振動刀]で、壁を切り付けたが、斬れたのはほんのわずか三ミリ程度の深さまでだった。
「おぉ〜!!旦那様の斬撃が全く通じ無いや!!」
楓の驚く声がオレの対抗心に火を点けた。
「ソレならもぉ一発。」
「何発でも良いよぉ!!」
そぉ、オレには秘策が有る!!前の戦で、じじぃと右近の刀はタダの[雷刀]だった。ソレに[振動刀]を足した刀を使っていたんだけど、道雪より多くの鬼を斬れてたのを見ている。と、なると、[雷刀]と[振動刀]を一緒に使えばどぉなるか…ソレは…こぉなる!!
「うおぉ〜!!」
オレの裂孔の気合いと共に振り下ろされた一閃は、楓の渾身の壁を紙でも斬るかの様に、真っ二つに切り裂いた。
やっぱりだ!!コレでまた一つ、切り札が出来た事になるな。
「うがっ!?コレでも旦那様には通じなかったの!?」
「はっはっは!!オレを超えよぉなんざ十年早いわ!!」
大人気なく勝ち誇ってしまったら、
「うぅ…旦那様のばあかぁ〜!!」
って泣きながら屋敷に走って帰ってしまった。
あちゃ〜…コレはやっちまったかなぁ?怒って無きゃ良いけど…間違い無くヘソは曲がるだろな…後で謝らなきゃ…
「…アレをあぁもあっさりと…オレが敵わなかったワケだ…」
なんて言ってやがる…コレが出来たのは、お前等のせいなんだけどな…っと、ソレより楓だな!!
「おい!!陸牙!!オレは席を外すけど、みんなに手を出すなよ!!もし何かしやがったら八つ裂き百回の刑だからな!!」
オレはそぉ言い置き、急ぎ楓を追いかけた。
探すまでも無く、紅葉の執務室から声が聞こえて来た。
「…って、旦那様が勝ち誇って笑うんだよ!!」
と、紅葉…と腹黒女官さんにソッコーで言い付けていた。
「まったく…旦那様もまだまだ子供やよね…仕方無い人やよ…」
「子供と言うより、負けず嫌いな方なのでしょぉね…大目に見てやっては如何ですか?」
と、珍しく腹黒女官さんがオレの肩を持っている。なんでだ?
「ん?なんや波津ちゃんにしては、珍しく旦那様の肩を持つやよね?」
「あら?そぉですか?ま、殿方とはそぉ云った生き物でしょ?」
「ん?波津お姉さん、引っかかる言い方するね…あっ!!まさか道雪おじさんも!?」
紅葉の質問に答える腹黒女官さんに、楓が鋭いツッコミをしていた。
「あら?バレましたか?ウチの旦那も極度の負けず嫌いでして、たまに荒れる事が有るんですよ。戦の後とか、ウショに行った時なんか、自分を守る為に鑑連殿が大怪我をされたとかで、帰ってから大荒れで、稽古時間が普段よりかなり長かったのですよ。八つ当たりでは無く、稽古をしているとか可愛いでしょ?」
あぁ、あの時か…あの時は思わず身体が動いたんだよなぁ…
「道雪らしいと云えばらしいやよね…ま、波津ちゃんが旦那様の肩を持つ理由も解った所で…旦那様。立ち聞きはお行儀悪いやよ?」
んが!?バレバレだったか!?あ、気配殺すの忘れてた…
オレは諦めて、紅葉の執務室に入る。
「…で、旦那様はなんでココに来てるのかや?」
「あ…えっと…その…楓、御免なさい。調子に乗りました。」
と、みんなに責められるより先に楓に頭を下げて謝ってみる。
頼む!!許してくれぇ!!
「むぅ…」
楓は唇を尖らせてブーブー言いた気だが、
「…仕方無いなぁ…今回だけだかんね!!」
「はい…」
ここは素直に従っておくのが吉だな。
「まったく、良い格好ですわね。ラナーの皆さんに見せたい姿ですわね。」
見せてたまるか!!くそぉ…腹黒女官さんにまた一つ、弱みを握られたか…
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お時間がありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」も合わせてお読みください。




