第四百七十二話 由比右近の記憶
誰か貰ってくれるかな?
あ…そぉですか…はい解りました…
オレの問い掛けに反応してくれたヤツは誰も居なかった…
「おいおい、長秀殿?確か未婚だろ?」
オレが問いに、長秀殿は
「あのねぇ…オレはメンド臭いからコトの将軍にすらならなかったんですけど?」
うん、メンド臭いのか…となると…
「間宮殿は?」
「お断りします。私は吉良の殿をお支えしますので、国を離れるワケには参りません。」
キッパリ即答された…え〜!?あの美人を娶って国一つ手中に収めるのと、アイツとを天秤にかけて、アイツを取るのか…マヂかよ!?かなり人望有るんだな…
「そぉですか…となると…各国の要職の誰かを候補に…」
と、オレが言うと、
「こりゃ小僧、ちと良いか?」
「ん?なんだ?」
「ココからはラナーの問題ぢゃぞ?頼るで無い。勿論、主上陛下にもな。」
とか言い出しやがった…
「えっ!?ちょっ!?ソレ難しくね?そんな都合の良い人財とか…あれ?人財…」
大岡金四郎にでも任せてみるか…
「ほれみろ!!誰かおるのぢゃろ?羨ましいのぉ…どぉやって人財を発掘しとるのか…」
「いや…別に…埋もれてた人財の掘り起こしを考えただけだよ…コッチに送るにしてもその後釜が必要なんだよなぁ…そこをなんとかするまでひと月はかかるぞ?」
「その程度で何とかなる所がスゴいのぢゃがな…」
と、じじぃは心底羨ましそぉだった。
そりゃそぉか…もぉ引退してても良いんだけど、後釜が居ないんだもんな…オレは…うん、今すぐ勘兵衛に後釜を譲っても大丈夫だな。戦力はガクっと落ちるけど…
「ま、ソレはソレで良いや、あと…クイ・サホンの処遇なんだが…どぉするのが良いと思う?」
この問いに応えたのは右近だ。
「それこそ私の知った事では無いですね。今回は連合としての付き合いで来ただけですしね。」
「付き合いって…こんな死ぬかも知れない所に来る理由がそんなんで良いのか?バカぢゃねぇのか!?」
「売られたケンカを全部最高値で買う、どこかのバカには言われたく無いですな。」
「あれぇ?由比殿はそのバカにケンカを売ってるのかなぁ?」
ちょっとだけカチンと来ちゃった。
「おやおや…そぉ聞こえたのですね?好戦的な野蛮人にしては良い耳をしてらっしゃる…」
「ふむふむ…手加減無しで良いよな?元鬼なんだから…」
「はい…コチラも手加減は不要ですよね?連合最強の雷神なんですから…」
バチバチバチとオレと右近の間に火花が…そんな演出が入りそぉかな?
と、そんな感じになった瞬間、ずざざざざ…と、会議用の机と、みんなが座ってた椅子がずらされ、その場はさながらボクシングのりんぐの様相を呈して来た。
こりゃ、引くに引けないかな?
「旦那様ぁ〜負けるなぁ!!由比さんも頑張れぇ〜!!」
って、椿が声援を送って来る。右近にまで声援を送るとは今夜はお仕置きだな!!
「良し、では互いに礼!!」
ってじじぃが審判するのか?
言われた通り、礼をして…
「はじめ!!」
って、じじぃの号令と同時にオレが動いた。
まずは右のジャブ連打だ!!
手打ちの速いだけで軽い顔面へのパンチだ。
元鬼とは云え、中々に目が良いな…全部弾かれましたけど?でも、大丈夫!!左のボディーブロー!!
どすっ!!ってコレは決まった!!悶絶しやがれ!!…あれ?悶絶は?…もんぜ…
ごすっ!!なんだ!?左の頭!?殴られた?まぢか?ボディ打たせてのカウンターこんなの聞いた事ねぇぞ!?
「甘いですぞ、鑑連様、元鬼にそんな軽い拳では当たっても蚊ほども感じませんよ?」
「にゃろぉ…ならココからは戸次流の業でやってやる!!」
とは言ったモノの…三人も居やがるし、左右に動いてるし…油断してやがらねぇな…暗歩とか使ってんのか!?
「ふん!!そのくらいで勝てると思うなよ?」
オレはすり足でゆっくり三人になった右近に近付く。
三人の右近は左の拳を振り上げる。そんな見え見えの攻撃を…あれ?
「はぁ!!」
気合い一閃!!右近の左フックがオレの顔面目がけて飛んで来た!?躱せ無い?なんでだ!?
オレは咄嗟に腕でガードして、防御技の[浮葉]で受け流す…そして、着地したハズが、目の前には床が…まさかだけど…さっきのカウンターの一発で足に来てるのか!?
ヤバくね?脳も揺れただろ!?
「旦那様!?大丈夫!?」
椿の声が響いた。それだけで元気百倍だ。
頭を自分で叩いて起き上がる。
「ふぅ…久々に効いたなぁ…なんか楽しくなって来たぞ!?」
オレの呟きは誰にも聞かれて無かった。
前を直視すると、右近は一人に戻っていた。
「さて、仕切り直しだな。」
オレはまた右近にゆっくり近付く。右近も今度は警戒してくれている様だ。
鬼をナメているって事は無い、九尾の村では死にかけた事も有るんだから…ただ…右近をナメていた…上背も有るし、ちゃんと鍛えているのも解る…ただ…ナメていた…それだけだ。
「どぉした?さっきまでの余裕の表情が無くなってるぞ?」
「鑑連様の雰囲気が変わりましたから…」
「そぉか?」
もぉ一歩で間合いが詰まる。
右近は右手を引き、拳を握る。そしてオレが一歩を踏み出すと、
「はぁ!!」
拳が一瞬でオレの顔面を…捉えずに空を切る。その手首を左手で掴み、自分に引き寄せ、
がすっ!!
オレは右肘を、右近のコメカミに打ち込み、掴んだ右腕を巻き込み回転し、払い腰の要領で投げを撃ち、そのまま倒れた右近の顔…頭に肘を当てたまま全体重をかける!![楔落とし]って業だ。普通の人が相手なら間違い無く死ねるけど…元鬼なんだから大丈夫だろ?
「それまで!!ぢゃな…由比よ?生きておるか?」
と、じじぃが寝そべる右近に近付いて行くと、
「はい、かなり痛いですが、それだけです。」
と、返事が返って来たので一安心だな…
しかし、元鬼の頑丈さはスゴいね。
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お時間がありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」も合わせてお読みください。




