第四百二十八話 葬送の記憶
葬儀ってどんな感じなんだろ…
そんな感じなのか…
アイラさんの恋愛話を聞いてからしばらくして葬儀が始まった。
村人みんなで木を持ち寄り、そこに火を放ち、みんなで祈りを捧げるそぉだ。
「本来なら遺体をあの火で燃やすやよ。」
と、紅葉が教えてくれる。
「それだけ?」
「ソレだけやよ。」
だ、そぉだ。お経や祝詞とかは無いらしい…
そんな話をしてたら、組み木が出来上がった。
「それではみなさん、亡くなられた英雄達が九尾の狐様の身許に迷わず登れる様、祈りを!!」
と、腹黒女官さんが組み木に火を放って貰い祈りを捧げ出す。遺族さん達が故人の愛用品等をその火に焼べる。
今日は無風…焚き火の煙は真っ直ぐ空に向かっていた。
鬼に喰い殺される…どれ程の恐怖と苦痛だったろぉか…彼女達の冥福を祈る。
火が消える頃に、
「みなさんの祈りが九尾の狐様に届きます様に…」
と、腹黒女官さんが言い、みんなも一層祈りを強めた。その時、天に何かが昇る気配を感じる。
ま、法力なんて不思議な力が有るんだ…魂の気配を感じても不思議は無いか…みんなの今後が幸せであります様に…
そぉ思った瞬間身体から法力が抜ける感覚に囚われる…なんだこりや?
黙祷を捧げ約二分、
「みなさん、祈りをありがとぉ御座います。」
と、腹黒女官さんが言った事で、村での葬儀は終わり、さらに、
「ソレでは、次は水晶教団に依る葬送の儀が執り行われます。どぉぞ、水晶の前に。」
と、みんなを水晶の所に行く様に誘導した。
水晶の前に行くと、椿と楓、蒲江さん、ソレに三吉も、葬儀の準備をしていた。
「うん!!こんなもんでしょ!!」
と、いつもの様な派手な事は無く、椿と楓は黒っぽい紫色の巫女服を着ていた。なんかいつもと違うなぁ…
椿は階段を上がって来たオレ達に向き直り、一礼する。
「コレより水晶教団に依る葬送の儀を執り行います。皆様静粛に願います。」
そぉ言うと、水晶に向き直り、一礼し、左側にある小さな護摩木に火が点けられた。
ソレと同時に、大幣を左にばさり。
「かしこみぃ〜」
右にばさり。
「かしこみぃ〜」
真ん中でばさり。
「かしこみ申すぅ〜」
そぉ言うと、椿に黄金の狐耳と九本の尻尾が生えてきた!?目の錯覚ぢゃ無い!!あ!!あんなにゃろ…幻で作りやがったな!!
「今日コレより送りますは…」
そこから椿は亡くなった全員の名前と死因を涙を流しながら語って行った。
「…この者達の御霊に安らぎを…かしこみ、かしこみ、かしこみ申す…」
と、祝詞を終え、左、右真ん中と大幣を振り水晶に礼をし、こちらに向き直り、一礼し、オレ達から見て、右にばさり、
「払え給えぇ〜」
左にばさり、
「浄め給えぇ〜」
真ん中にばさりとし、オレ達に一礼し、水晶に向き直り、大幣を真ん中に構えたまま、水晶に一礼し、大幣を火に焼べて、また水晶に向き直り、柏手を二回、そして一礼。
またこちらに向き直り、
「これにて、水晶教団の葬送の儀を終わります。」
と、オレ達に一礼して、終わった。その時、椿に現れていた黄金の狐耳と九本の尻尾も、すぅ〜…と消えていく。村の葬儀もすぐに終わったし、教団の葬儀も思ったより簡素で厳かに終わった。
椿なのにまともに終わって、安心するやらガッカリするやら複雑な心境になった、その時、教団関係者全員で、大幣が燃え尽きるまでその場に留まり、祈りを捧げている様に見える。
うおい!!そこまで真面目にするのか!!
オレと紅葉と腹黒女官さんとアイラさんもソレを眺めながら待つ事にした。
大幣が燃え尽きたのを見計らい、椿は、
「九尾の狐様に故人の幸せを願い奉ります。」
と言い、柏手を二回打ち、一礼する。ソレに合わせて教団関係者も一礼し、燃え残ったモノを片付け、いつの間に作ったのか、水晶から少し離れた所にある簡素な建物の中にソレを捨てた。覗いて見たけど、建物の中はかなり深い穴が空いていた。建物の鍵を閉め、
「みなさん、本日はお疲れ様でした。」
「「「「「お疲れ様でした。」」」」」
「ハッキリ言って、こんな儀式で故人が幸せかって言われると全くそんな事は無く、生きてる人達の心慰める為の儀式です。生きてる人達が次に向かって歩ける様にする儀式です。悲しみは私達が背負って大幣と一緒に天に上げれば良いのです。」
「「「「「はい!!」」」」」
「解散!!」
「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」
と、教団関係者も解散した。
ソレを見て、オレは声をかけ…られなかった…
楓はオレ達に気付いていて、近寄って来たけど、椿はその場に座り込んで泣き出した。
オレはしばらく椿が泣き止むのを待つ、
「ごめんなさいぃ〜!!私がもっと強かったら…私がもっとしっかりしてたら助けられたかも知れないのにぃ〜!!」
と、天を仰ぎ泣き出した。オレは堪らず、椿に近付こぉとしたけど、またいつの間にか黄金の耳と九本の尻尾が生えていて、近付き難い雰囲気を醸し出していた。
「旦那様、しばらくそっとしておいてやるやよ。」
「だな…」
「ソレに雰囲気…法力の質が変わってるやよ…普通は無い事やよ。多分水晶を通して九尾の狐様の一部が憑依した…そんな感じやよ。」
「んな!?まさか…」
「そんな感じやよ…」
紅葉に断言されたら疑う余地なんか無いよな…
「椿が真摯に水晶に向き合ってるって事?」
オレの質問には楓が答えてくれた。
「うん、みんなは知らないと思うけど、椿お姉様、毎日水晶を磨いてるんだよね…その時に耳と尻尾が生えるんだよ。」
「なに!?って事は…」
「うん、村の誰よりも九尾の狐様に近くなっちゃってるのかも…」
鈴鹿御前の転生体にそこまで言わせるとは…椿!!恐ろしい娘!!
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お時間がありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」も合わせてお読みください。




