第三話 変だなと感じた記憶
新キャラ登場します。
此処で目醒めて日本と違うって思ったんだよなぁ…
「……知らない天井だ…」
目醒めてから周囲を見回し、最初にこぉ言うべきだと思った。一度は言ったみたい台詞の一つを呟いた。
周りを確認したが、どぉも病院ぢゃ無いっぽいんだよなぁ、古民家と言われた方がしっくり来る。寝かされてる布団も御世辞にも普通と云えない代物だし…服も脱がされてるっぽいし…何があったか順を追って思い出そぉ…
弥生といちゃらぶしながら太秦映画村を歩いてて…人目の少ない井戸の縁に座ってたらチンピラに絡まれて…弥生がキレてチンピラは逃げてったんだよなぁ…で、ご褒美がちうとか言うからしよぉとして…アイツ(弥生)に井戸に突き落とされて…そぉだよ!!いきなり井戸に突き落とすとか無いと思うなぁ!!
今度お尻ぺんぺん百叩きの刑に処したるからなぁ!!と、決意を新たにした所で、とてとてと、静かだから気付いた程小さな足音がした。部屋の前で足音が止まり障子が開いて、頭にほっかむりをし、狐風の尻尾の様な装飾品を後ろに垂らした、可愛らしい幼女が入って来た。
「あっ…お兄ぃさん、目醒めはったんやね、痛いトコとかあらへん?」
「えっ?…あっいや…」
「あ…そかそか、少し混乱してはるんかもやね?井戸の底に居ったんは憶えてはるよね?」
「ん?…あぁ…知り合いに突き落とされてねぇ…」
「えぇ〜!?知り合いに!?もしかして…いぢめとか?」
「えっ?いやいやそんな事無いよ?井戸の近くに居なかった?」
「居れへんかったよ?もし居ったらウチかて水桶そのまま投げ込まんよ?」
「ん?水桶?」
オレの反応に幼女は、しまった!!といった表情をし、その小さな両手で口を塞ぎ、目は山内泳法をしていた。
「あぁ〜、頭にコブが出来てるのはキミの所為だったのかぁ(ニヤリ)。」
「あ…イヤ…その…なんや…」
オレの意地悪な言葉に見事に狼狽える姿は小動物っぽくて可愛いさに拍車がかかる勢いである。
そしてはたと考える。
井戸には誰も居なかった、ソレが何を意味してるのか?落ちてすぐだったハズの所へこの幼女が水桶を投入、太秦の職員か、この幼女の身内がオレを引き上げ、介抱…なら現在の状況は?
医療職員や弥生や教師が居て然るべき所に見知らぬ幼女…
何かおかしい。
そんな事を思案していると、ドカドカとデカい足音が聞こえてきた。勢い良く障子が開かれ、現れたのは、如何にも江戸時代の木樵さんといった感じの、ケモ耳カチューシャに狐風尻尾の装飾品を着けた、イカツい中年のオッサンだった。
「おいっ!!浪人小僧は起きたかぁ!?」
「あっ!!おとったん!!お兄ぃさん起きたよ。」
「お?そぉかそぉか、なら早よぉかぁちゃんトコ行って夕飯の準備手伝ってきな。」
「うん!!」
言い淀んでいた最中の思わぬ助けが入り、とてとてと、部屋を出て行く幼女に代わり次はオッサンが相手をしてくれる様だ。
「さて…ウチの娘が迷惑掛けて済まなかったな。」
「こちらこそ、介抱して頂き有難う御座います。因みに…此処は何処ですか?」
オレは太秦映画村内の医療設備か何かだと思い聞いたのだが、オッサンからの反応は、殺気を含む危険な言葉だった。
「あん?小僧、本気で聞いてんのか?此処が何処か知らずに来て井戸の中に居たってか?井戸に何しやがった?」
右手を後ろに回し、何かを掴んだまでは把握出来たが、争う気が更々無いのでスルーし、オレの現状を正直に話した。
「えと…太秦映画村に修学旅行で来てて、自由時間に幼馴染みと歩いてて、井戸に腰掛けてたら、チンピラに因縁吹き掛けられて、幼馴染みが撃退して、褒美はちうが良いと言うのでしよぉとしたら、強く押されて井戸に落ちて、今に至る…って感じですが?」
オッサンは正直に話したオレの言葉が信じられないのか、殺気を強めて、更なる威嚇をしつつオレを睨め付けてくる。しかしケモ耳カチューシャオッサンからの殺気丸出し睨み付けって…絵面キツいわ…
待つ事三十秒…オッサンは…
「ふぅ…何やよぉ解らんが嘘は言うてへんみたいやなぁ?何処の間者か、何をやらかしに来たのか?井戸に何をしたのか?ってトコが聞きたかってんけどなぁ…此処まで身構える風も無く自然体のままやと、疑いまくっとるこっちが馬鹿らしなるな…」
「や…まぁ、ソコは申し訳ありません…ですがオレも殺気を向けられる意味も解らないし、理由がさっぱりなんで…」
「まぁ、そぉ云う事なら説明したるわ。此処は京の外れにある山の中腹の見たまんまの村や。」
オッサンの話しを聞き思案する。
みやこ。村。映画村とは違うのか?
等と考えていたら…
「で…小僧の言ってた何たら村ってのは何処なんだ?」
と、問われたので、コレも正直に答えた。
「京都の太秦にある映画の撮影に使われる古い時代の町並みを再現した観光地ですよ。」
「きょうと…うずまさ…えいが…かんこうち…」
オレの説明した内容を小声で復唱しつつオッサンは湯気が出そぉな程考えこむ。その時気付いた、ケモ耳カチューシャのケモ耳部分がピクピク動いていたのだ。
「うおぉ〜!?」
「どぉした小僧!?」
「あ…アンタのケモ耳カチューシャ…動くんかい!?」
「ケモ耳カチューシャ?」
「あぁ…ソレだよソレ!!」
オレはオッサンのケモ耳カチューシャを指差した。
オッサンはオレが指差した先にあるケモ耳部分を触り…
「コレか?」
と、聞いて来たので首肯して意思を伝えると…
「コレはワシの耳やぞ?」
と、自前の耳だと言い張る。
「へっ!?耳?」
かなりマヌケな表情をしたであろう事は自分でも解った。
「なんや、小僧は狐人族を見た事無いんか?」
「こじんぞく?」
「おぉそぉやぞ!!神獣様と云われる九尾の狐様と人との間に産まれた子供がワシ等の先祖っちゅう話や!!」
かなりの自慢なんだろぉ、胸を大きく張っていた。
此処で一つの結論に辿り着いた。
ソレは、此処が日本とは違う場所だと…
しかし、この話の中の誰も個人名が出て来ない…
自己紹介って言葉をみんな知らないんだろぉなぁ…




