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第十九話 関所の記憶

あっさりと鬼退治終わっちゃったよ…

初めてのお出かけだなぁ…



久清が紅葉さんに報告をしていた。

なんでも鬼の首の塩漬けが終わったらしい。

何の為なんだか?


「なら早速明日朝から出発やよ。しっかり準備するんやよ?」


報告が終わった久清に紅葉さんが紙を渡しながらそぉ言った。

紅葉さんはオレに向き直り…


「道中は今の服でも問題無いけど、ちゃんと正装も持って行くんやよ?」


オレも何処かに連れて行かれるらしい。

正装って裃みたいなヤツ?公家みたいなヤツ?

女官さん達に聞いたら両方だそぉだ。

朝廷に行く時は公家っぽい方で、幕府の方に行く時が裃みたいな方となるらしい。

今回、オレは、狐人族の一員として紅葉さんの護衛件付き人みたいな感じで、久清と共に行くらしい…

共周りや女官さんも数人行くからソコソコの人数になるのだとか…

村長ってのも大変だなぁ…と思ったら、やはり九尾の狐の子孫ってのがかなり影響しているらしぃ。

名門一族なんだろぉ。詳しくは京で解るらしいが…


オレには尻尾も狐耳も無いが大丈夫かなぁ?案ずるより産むが易しって何処かかな?


その後去年の鬼襲来の時の様な紅葉さんのお話しがあったりした。

オレは力尽きるまで法力の練習だ。

かなり総量も増えた。肉体強化は思ったより効果的だった。次は法術も勉強してみよぉか…

そんな事を考えながら法力を使い果たすまで訓練した。


翌日、みやこに向かい出立した。京までは、今回の旅路は全体で大体三日らしい。

この歩くよりは速く、走るより遅い馬も牛も使わない車は法力が原動力らしい。

かなりの出力が必要だろぉが、日頃から法力石ほうりきせきなる石にためた法力を使用するらしく、代わり番こ…と云う事は無いらしい。

法力石の大きさは人の頭くらい有るが重さは女官さんが待てるくらいらしい。

法力残量等は色で解るらしく、白で満タン、黒で空。満タンなら十日間程車を走らせても平気らしい。エコだなぁ…

法力石は、人の近くに在ればかってに充填出来るが余り距離が離れるとダメらしい、せいぜい二間(役三メートル六十センチ)が限度らしい。

あのお屋敷の椅子の下に置かれてたのが法力石らしい。

昔は戦の戦略級法術の核だったのが今は平和利用されてるとは…

何処も同じなんだなぁ…


さぁ気を取り直して、周りをしっかり見張らなきゃ!!

鬼が出るか蛇が出るか…ココだとホントに鬼が出るかもだからなぁ…


暫く、道中は平和だった…車が襲われる事はほぼ無いんだと…

武装してるのが前提だかららしいし、鬼自体、の年に一匹かソコらしか出ないんだとか…

去年三匹、今年五匹は異常だったんだなぁ…


「長閑だねぇ…」


車に揺られながら気を抜いてぼ〜っとする。


問題はえてしてこんな時に起きるのだが…

今回に限ってはその限りぢゃ無かった様だ。関所まで何も無く行けた。

関所では人員と積み荷があらためられるが九尾の狐様の一族で更に紅葉さんが居るので余り厳しくはされず、形だけみたいだ。

検兵さんの一人がオレを見咎め…


「九尾の狐様の一行に何故人が居る!!」


と、声を張り上げ…


「偽者だぁ!!」


等と、騒ぎ出した!!

実際、村長や女官さんや兵士が同行してて間者が紛れ込む余地は無いのだが…

やはり九尾の狐様の一行にヒトが紛れているのは有り得ない事なのだろぉ。

オレは検兵に引き摺られるに任せて狼藉者扱いを受け入れた。

だって…後が面白そぉだもん!!


「貴様!!師範に何をするかぁ!!」


検兵に同行者の兵が喰ってかかる!!


「九尾の狐様の一行にヒトが居る等今までに無い事!!検めるのは当然である!!」


ご最もである。今回は急ぎだったのも有り先触れも無かったから尚更なんだろぉ…

まぁ探られて痛い腹は無いので構わないが…他の面々からしたら面白くは無いだろぉな…

オレは喰ってかかった相手を手で制し、問題無いと意思表示した。


「オレがこの一団に居ると何か不都合がありますか?」


検兵さんに毅然とした態度で問うた。


「開き直るのが更に怪しい!!腰の物を預かる!!寄越せ!!


随分乱暴である。まぁ、オレの腰の千鳥は普通には持てないとの事だったが…


「落とすなよ?コレは九尾の狐様の御神刀の一振りぞ?落としでもしたら、貴様の首程度では済まさんからな?」


少し大袈裟に喧伝してみた。


「ふん!!下らぬ戯言を!!」


言うが早いか検兵はオレから千鳥を掻っ攫い…カラ〜ン!!見事に取り落したのだった!!

ココまで静観をしていた紅葉さんが女官さんを引き連れ、車から降りて来た。

オレも喰って掛かった者も片膝を着いて、頭を下げた。


「ぬしゃぁ、何ぢゃ?わっちの護衛に在らぬ疑いを掛け、その上九尾の狐様の一族の御神刀に泥を付けるかや?

帝と将軍にしっかり報告させて貰うが、良いのかや?」


紅葉さんの殺気混じりの法力の漏れに、その場の皆が調べるまでも無く本物の紅葉さんと認識したのだった。

紅葉さんの殺気は半端無かった。


「姫島の紅葉陛下!!何事ですか!?」


紅葉さんの殺気に気付きお偉いさんっぽい人が慌てて駆け寄り両膝を着き見事な星座をした。


「おぉ、義鎮よししげ殿かや?久しいのぉ。

して、わっちに喧嘩を売る様な真似を配下にさせるとは、如何なる所存かや?」

「んなぁ!?誠に有りますか!?」

「何ぢゃ?義鎮殿はわっちを嘘吐き呼ばわりするかや?

なるほどなるほど…コレはわっち等に対する宣戦布告と受け取っても良いのであろぉな?」

「あいや暫く!!」


義鎮は慌てて事の真偽を確かめた。

確かに一行に対し在らぬ疑いを掛けた事実がある。但し、急用だった為先触れが無かったのも事実だが、明らかに、行き過ぎた、越権行為であった。

何故か?

九尾の狐様の一族は、将軍よりも、帝よりも、神に近しい一族と、されており、紅葉が京に行く事は有り難き事となっているからだ。

オレがその事を知ったのは翌日、帝と謁見した時だった。

落とし前はどぉ着くんだろぉ…

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