第七話 地獄の食事会
リリアside。
とうとう地獄の食事会が始まってしまいましたわ。
ニッコニコのお父様、微笑むお母様とお兄様、私が居るのを知って不機嫌な妹。
「リリア、今日は調子がいいのかい?」
お兄様が私に聞いてくる。
調子…あぁ、花粉症のことですか。
「えぇ、いつもより元気ですわ。」
「そう、良かったよ。無理はしないようにね。」
お兄様は相変わらず優しいですわね。
こんなぐうたらな妹のことも気遣ってくださりますわ。
それに比べてアイラはずっとわたくしを睨みつけてきますわ。
そんなに嫌悪しなくてもいいじゃない。
どうせわたくしは何もしていない怠け者なのですから。
「お姉様、お久しぶりですわね。わたくし、お姉様がいない間も変わりなく生活しておりましたわ。それにしても…あまり長居するとお体に悪いんじゃありませんこと?」
訳→あんたがいてもいなくても変わらないわよ。目障りだから早く自分の部屋に帰ってくれない?
「ふふっ、心配ありがとう。アイラは変わりなさそうでよかったわ。」
訳→心配してもらわなくても結構。その性格の悪さは変わってないのね。
女の戦い勃発である。
嫌味には嫌味で返さなければなりませんわ!
目には目を歯には歯をといいますしね。
それにしても…このスープ美味しいですわね。
何故かいっつもわたくしの分だけ量が少なくて何だか健康重視?って感じなんですわ…。
もしかして嫌がらせかしら?
けど嫌がらせだったら、こんな健康に良さそうなもの与えませんわね。
あら、急にお父様が立ち上がりましたわ。
「今日は重大な発表がある。…といっても何処からか噂が流れているがな。」
ん…今気づいたのですけど、このスープわたくしの分しかありませんこと…?
こんなに美味しいのになぜですの…?
「我がシェイリーメル家に王太子殿下から婚約の申し込みが来ている。」
あー、確かアイラが言ってましたわね。
「きゃあ!噂は本当だったんですわね!!」
アイラが興奮したように立ち上がる。
水!水を倒してますわ!
あーあ、床まで濡れてしまいました。
アイラは興奮しっぱなしで全然気づいていませんけど。
「あぁ、アリアス殿下から婚約の申し込みが…リリア、君にあったんだ。」
その瞬間、空気が凍りついた。
さっきまで騒いでいたアイラも目を見開いて固まっている。
「え…わたくし…ですの…?」
そういうわたくしも凄まじく混乱していますわ。
え、わたくし?なぜ?
わたくし未だに社交界に出ていませんのよ?
いやいやいやいや、顔も知らないじゃないですか!
ただでさえ引きこもりのぐうたら令嬢ですのに!
「あぁ、アリアス殿下が直々にリリアを指名したんだ。体の弱いリリアをこんな大変な地位にはやりたくなかったんだが……殿下直々の指名だと断りきれなくてな…。本当に済まない。」
「有り得ませんわ!どうしてお姉様ですの!?」
鬼の形相をしたアイラが金切り声をあげる。
というかそれはわたくしが1番聞きたいですわ。