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第一話 勘違いは始まっていく
バルコニーに立つ少女がいた。その少女は社交界に姿を見せないが故に死神令嬢と呼ばれ、ありもしない噂が囁かれている。
少女………リリア・シェイリーメルは窓の外を無心に眺めていた。
白銀の髪の毛は月に照らされキラキラと輝き、雪のように白い肌、色素の薄いアメジストの瞳もあり、とても儚く幻想的な少女であった。
今にも消えてしまいそうな少女は烟るような睫毛を伏せ、その端正な顔を顰めた。するとはぁ…と儚くため息をついて一言…
「クッソ腹が減りましたわ」
と言った。