表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
37/45

御家騒動1



スカドゥエと正式に行動を共にすると決まり、早速作戦会議を始める。


まずは


「これからどうするか決めよう!」


「決めるも何も領主様の所に押しかける一択じゃないっすか。」


はーいと手を軽くあげ、意見を言うスカドゥエを遠い目で見ながらこれまで失敗してきた過去を思い出す。


脳筋野郎め、それを俺がやってないわけがないだろう。


「それをやった結果が監禁なんだよ。」


「その運命の書で書き換えはできなかったんすか?監禁なんて無かった、という事に。」


「できなかったな。」


「う〜ん、無能。」


「辛辣っ!!!」


監禁が無かった事になると、もちろん現在の監禁もなかった事になる。

そうなると現在の事象の大幅な改変になるから書き換えができない、という事だろうか?


「それにしても執務室にも行けないってどうしてなんだろうな?一応、俺は1人息子なのに。」


「それはアーシも思ってたっす。領主様達は頑なにロットの坊ちゃんを執務室に入れなかったし、近づくことすらも禁じてたっす。」


「うぁ〜〜、絶対何かあるよ〜それ〜怪しさプンプンじゃん〜匂いまくりじゃん〜」


「そんなめんどくさいみたいな態度……」


頭を両手でガシガシ掻きながら顔を歪ませると、スカドゥエがジト目で俺を見つめる。

実際ほんとうに面倒臭いから変な言い訳はしない。


「だって、カルロス君の件があるのにこんな家のゴタゴタに付き合ってる暇なんてないんだよ……。」


「でも、そのカルロス君の居場所を聞くためには領主様達に聞くしかないんじゃないっすか??」


「それのことなんだけど、まともに本家と交流がない両親がカルロス君の居場所を知っていると思うか??って今更ながら疑問に思って……」


「つまり、聞きに行かなくて別によかったって事っすか??」


「結論、そうだな。」


「なんだそれ。」


そうだ。俺の言葉を聞く気も本家の事を言う気もない輩に付き合っている暇など無い。

幸い、スカドゥエが仲間になった事で移動する手段も手に入った。

もう両親に固執する理由はない。


「スカドゥエ、カルロス君の領地はどこか知っているか?」


「え?確か王都の隣の領地だった気が……」


「道のりは分かるか?」


「あ、はい。そりゃ……」


なるほど、そこが分かれば十分だ。


「よし、きまりだ。今からアストロ領のカルロス君の親に会いに行こう。」


「えっ?!アストロ領の領主様に?!今からっすか?!ここからだと大分距離があるっすよ?!」


「物資は途中街で調達すれば良い話だし、お金はロット君のヘソクリあるから大丈夫だ。」


「それにしてもまた急っすね…まぁ、イブキの坊ちゃんがそう決めたならアーシは従うしかないっすけど…。」


ブツクサとかなり不満げな顔をしながらも立ち上がりガソゴソと部屋を物色し始める。


「ひとまず、ここから王都だと2週間はかかるっすからその分のお金と…服は…頑丈な物を2、3着あれば大丈夫っすね……。食料は街に行って調達すればいいから……」


クローゼットからリュックのようなカバンを取り出しその中にお金やら服やらを詰めこんでそれらを俺に渡してきた。

その手慣れた作業を目にし、関心する。


「流石に慣れてるな〜」


「見てないでイブキの坊ちゃんも準備するっすよ!!というかアンタの準備なんっすけど?!」


「俺の?スカドゥエの準備はいいのか??」


「アーシのは馬車に全部詰め込んでいるんで大丈夫っすよ!全く、ロットの坊ちゃんといい、アンタといい全部アーシに準備させるんっすから……」


ドッと疲れた顔をしながらまたもクローゼットを漁り服を投げ出す。


投げ出された服は質素で所々傷があり、ゴワゴワとした硬い生地の服だった。


「これは?」


「その服に着替えるっすよ、今の格好じゃまんまお貴族様っすからね。あ、そうだ。アスタ領の領主様に会うための正装も持っていかないと……。」


「いやぁ〜、すまんな〜、何もかもやってもらって……」


「………もう慣れてるっすから。」


そう言うスカドゥエの顔を見ると、遠い目をしながら哀愁を漂わせていた。


まさかロットの坊ちゃんが死んだ後もお世話する事になるとは思いもしなかったっすよ…、なんてボソボソと呟く声も聞こえたが、全くもって不本意である。


「い、言っとくけど、旅なら何度も経験しているんだからなっ!!この世界の地形と生き物の生態さえ分かれば自分で準備くらいできるっての!!」


「つまり今は何もできないって事っすね。いいっすよ、そんなのいちいち宣告しなくても。分かってるっすから。」


「なんも分かってねぇっ!!」


と、文句を言いつつ用意してもらった服を着る。

ゴワゴワの生地が肌を擦り、若干着心地が悪いが気分は先ほど着ていた豪華な服よりかは幾分かは落ち着く。根が庶民だからだろうか?


「着替えたっすか?それじゃ、アーシは窓から出るんで後で合流しましょう。」


「おう、また後で。」


パッと手を上げ、スカドゥエが窓から出て行ったのを見送ってから窓を閉める。


「さて、俺も行きますか。」


荷物を背負ってドアの方へと向かう。

ドアノブに手を伸ばし、触れようとした、その時



「あら?ロット、どうしたの?その格好。それとその荷物も?」


「はっ……母上…」



目の前には母親がいた。



「庶民の格好して、まるであの男と街へ行く時の姿ね。もしかしてまた街へ行くつもり??あんな事があったのにあなたってば……」


あの男とは多分スカドゥエの事だろう。

困ったように眉を下げて、フゥ、とため息を吐かされる。


いきなりの母親の登場に心臓の鼓動がバクバクと激しく動く。


「い、いや別に街へは行きませんよ。それに、ここにはスカドゥエもいません。街へ行こうにも行けません。それよりもどうです?似合いますか??クローゼット漁ってたら出てきたんです。」


ニッと笑いながら両手を広げて自身の姿を見せる。

チラリと盗み見るように母親の表情を確認すると、やはり俺の行動を怪しく思っているのか、怪訝な顔をしてジッと見つめてくる。


い、言い訳が苦しかったか?


母親の視線に耐えきれず、咄嗟に話題を逸らそうと口を開く。


「それより、母上はどうして俺の部屋に?何か用事がおありで?」


「使用人があなたが部屋で1人で喋っているって報告が来たのよ。それで?いきなり私が来たらダメだったかしら?なにか不都合なことでも??」


「いえ、そういう訳ではないんですが……」


チラリとドアの外にいる使用人を見る。

いつからそこにいたのかは不明だが、多分医者を連れて行った後ずっといたのだろう。

気がつかなかった。


報告したであろう使用人をジッと見つめていると目が合う。

気まずいのか、目が合った瞬間にサッと顔を背けられ、目を逸らされた。


まったく、実に命令に忠実な使用人だ。


まぁ、それもそうか。一つ失敗したら即クビ、下手したらリアルに首が飛ぶような家だもんな。

きっと少しの異変でも報告するように言われていたのだろう。


「それよりロット?本当の事を言ってちょうだい。あなたは何処へ行こうとしていたの?あの男もここへ来ているんでしょう?今すぐここへ呼んできなさい。」


「本当のことしか言ってませんよ。スカドゥエもここにはいないので呼びようがありません。」


「ロット、私達はあなたに意地悪をしているわけではないのよ?あなたがただ心配なだけ。あなたが大切だからこそ、不安要素は潰しておかないといけないのよ」


分かってちょうだい、と言いながら両手を俺の肩へ置き顔を覗き込んでくる。


心配そうに俺を見つめてくるその顔は決して嘘偽りのない、愛情のこもっている瞳をしている。


だけど、だからと言ってそれを理由に監禁なんて納得も理解もできない。


「心配?不安?そう言ってあなた達は俺を閉じ込めて一体何がしたいんです?」


「ロット…?」


いや、正確には何もさせたくない、か?


「本当の事を言ってくれ?それは俺の台詞ですよ。大切に大切に仕舞い込むだけが愛情だと思ったら大間違いだ。」


「一体どうしたの?ロット?落ち着いて?」


俺の突然の反抗に驚いたのか、目を見開き俺から距離を置くように離れていく。


「俺は落ち着いてますよ。ただ、アンタ達の態度に腹が立っているだけだ。」


俺がロット君の身体に初めて憑依した時、初めて会ったこの両親をいい親だと思っていた。実際、子供を大切に想う良い親なのだろう。だが、


ロット君の親に対する反抗的な態度も思春期だからって思っていたけど…


「教えろ。アンタ達は何を隠している?俺を監視してまで何を知られるのを恐れている??」


「…………別に何もないわ。それに、前にも言ったでしょう?あなたには関係ないことよ。聞き入れてちょうだい?」


まるで駄々をこねる幼子をあやすかのようなその振る舞いが、たまらなく不快で不愉快で気持ちが悪い。


なるほど、これがロット君がこの親に反抗していた1番の要因か。

俺でさえこんなに不快な気分になるんだ。ロット君はもっと気分が悪かっただろうな。


きっと幼い頃からこんな腫れ物のような扱いされ、家の事も蚊帳の外にされていたのだろう。そりゃ、腹も立つ。

だけど自分を大切に想ってくれている事は確かに感じているからこそ、その憤りをどこにぶつけていいか分からず、結果、その溜飲を下げるための行動が街へのぼったくり商売ということか。


コイツらの行動が全部裏目に出てるじゃねーか。


「ほら、そう言って俺には何も教えてくれない。そんなに俺は役立たず?………あぁ、そっか。確かに魔法も使えないし力も体力もないこんな奴、足手纏いにしかならないか。」


「っロット!!」


煽るようにハッと鼻で笑い、悪態をつく。

俺のその煽るような言動に、一瞬固まった後すぐに顔が赤くなり、目も釣り上がる。


その瞬間、右手が勢いよく上がりビュッと鋭い音と共に振り下ろされ、バチンッと激しい音が部屋に鳴り響いた。


左の頬がジクジクと痛む。

どれだけ激しく叩いたのか、唇が切れ、そこから血が垂れる。


「………………しばらく部屋からは出さないわ。私達の許可があるまで大人しくしておきなさい。そこのあなた、もしロットが入浴とお手洗い以外部屋から出た場合、分かっているわね?あなたの命は無いものと考えなさい。」


「は、はいっ!!!」


そう、使用人に告げた後母親はこちらを見向きもせずにカツカツとハイヒールの音を立てながら部屋から出ていく。


気まずそうな使用人と目が合ったのを最後にパタン、と扉が閉じられた。



「ーーーーーーだぁっ!!!腹立つぅ!!!あんのババアーーーー!!!!なぁ〜にが大切な子供♡だよ!!」


母親が部屋から出た事を確認し、数分たった所で溜まっていた不満を爆発させる。

使用人がドアの外で聞いているが関係ない。

というかこんな事を報告しても使用人にとってもまずいだろう。きっと聞いてないフリをしているはずだ。

 


「………何をやってるんすか、何を。」



そう、1人でブツクサ文句を垂れていると、窓の方から呆れたような声が聞こえてきた。

外で待っているはずのスカドゥエが窓枠に座っていた。


「スカっ……スカドゥエ…」


「あぁ、普通に喋って大丈夫っすよ。防音の魔法かけておいたんで外には聞こえないはずっす。」


「あ、そう…?つくづくスカドゥエは有能だな」


「え?今更っすか??」


ニヤッとニヤけるその笑顔がいつもなら不快だが、今は落ち着く。


「そんな事より、どうするんっすか??今外の庭にも監視が置かれてるっすよ。意地でも坊ちゃんを外に出さない気っすよ、領主様達。」


「あ〜……いつものパターンかぁ〜……」


「いつもの〜じゃないっすよ。この家のゴタゴタに付き合ってる暇はないって言ってなかったっすか?」


「いや、そうなんだけど、あまりにも腹がたって……というかどこからどこまで聞いてた?」


「最後らへんっすね。1回荷馬車へ行ったんっすけどこの屋敷の使用人にすでに取り押さえられてたんですぐにここに戻って来たって感じっす。そしたら、坊ちゃんが奥方様にバッチーン!!って殴られてたのを見て……驚いたっすよ。」


「あの時かぁ〜……じゃあどういう会話をしたのかは聞いてないのか。」


殴られた左頬をポリポリと掻く。

切れた唇から出ていた血はすでに止まっているが、いまだにジワジワと痛みが響いている。


「聞いてないっすけど、大体は察するっすよ。ロットの坊ちゃんも同じように奥方様を怒らせて監禁されたっすからね。どうせ、自分は役立たずだなんだと言ったんじゃないっすか?」


「お、おう。合ってる…。」


「ロットの坊ちゃんはそれで3ヶ月くらい部屋から出られなかったっす。部屋から出られたのはトイレくらいっすね。」


「じゃあおれはこれから3ヶ月は監禁されるって事か?!そんな時間無駄に出来ねぇよ!?」


「知らないっすよ〜、イブキの坊ちゃんが奥方様の話を流していれば良かっただけの話じゃないっすか〜イブキの坊ちゃんと奥方様は所詮他人なんっすから。」


「う、ぅうん……」


正論すぎて返す言葉も出ず、その場にしゃがみ込む。


「まぁ、ここでイブキの坊ちゃんを攻めてもしょうがないっすから対策を立てるっすよ。どうするんっすか?多分、荷馬車はもうダメっすよ。押収されてるはずなんで。」


「どうする、か。」


逃走ルートは全て塞がれている。

荷馬車も押さえられて使えない。


「ならもう1つしか方法はないだろ。」


「?なんっすか??」


「両親に会いにいく。強行突破だ。」


そっちが何も話してくれないなら俺は無理矢理にでも口を開かせる。

大人しく良い子で監禁を受け入れたりしてやらない。


俺はロット君のように親にとってのいい子ではないからね。







ところで今日誕生日なんですよ〜

誰も祝ってくれなくてまじ悲C〜

ハッピーバースデ〜ミィ〜トゥ〜 なんつて笑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ