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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
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悪徳商人と別れと始まり2

タイトル悩みますねぇ





「え、そっち?!!答えが斜め上すぎて叫んじゃったよっ!!」


「そっちもなにもそれしかないっす。このまま踏み倒して逃げるなんて許さないっすよ!!」


そう言って、さぁ!さぁ!と手のひらを俺の前に差し出してお金を請求してくる。


「さ、さっきまで贖罪だのなんだの言ってたのにっ」


「贖罪は前回で果たしたっす。もう解決した事っすよ!」


「切り替え早〜」


いや、俺も「イブキの坊ちゃんについて行くためにここに来ました!!」なんて言葉を期待してなかったわけではないけどここまで俺を眼中に入れない答えが返ってくるとは思わなかった……


スカドゥエの言葉に少なからずショックを受けている俺を見て、プププ、と手を口で抑えてバカにしたように笑う。


「え、まさか「イブキの坊ちゃんについて行くために来たっす!」っなんて言葉を言うと思ってたんすか?残念だったすねっ!!」


は、腹立つ!!


「別にそんな事思ってないしっ!!意外だなって思ったんだよっ!スカドゥエはロット君とその両親に忠義を誓ってるっぽかったしっ!!」


「あ〜…まぁ…、素性の分からないアーシを一応は受け入れてくれたっすからそれなりの恩義はあったっすよ。」


「……………なんだその過去形は。」


「別に深い意味はないっす。アーシが忠義を誓っていたのはロットの坊ちゃんだけって事っすよ。だからロットの坊ちゃんがいなくなった今、ぶっちゃけもうイブキの坊ちゃんに貸したお金以外この家に固執する理由がないというか……」


なるほど、ロット君の両親に恩義はあるけど忠義はないってことか。


確かに、前回のループで初めてスカドゥエと両親の対面した姿を見たけれどとても友好的とは思えなかった。

両親は明らかにスカドゥエを見下していたし、雰囲気も上司と部下というにはあまりにも空気が重かった。


責任としての贖罪は前回で果たした上に、当のロット君もいないとなるとこの家にはもう未練はない、と言うことか。


と、1人で納得していると目の前に手を差し出される。


早くお金を渡して欲しいのか、ほらほら、とスカドゥエがニンマリした顔をしながらお金を催促してくる。



「あんまりここにいると殺られるっすから早くくれないっすか??」


「あ〜、はいはい。ちょっと待て、え〜と、25500シギーだったよな?」


「……………チッ、覚えてたか……」


「…………お前、俺が覚えてなかったら請求額かさ増ししてただろ…。」


「え?そんな事ないっすよ〜!」


テヘヘ、と舌を出し誤魔化しているスカドゥエに呆れ、ため息を吐く。

でも、街まで送ってくれ、服も情報もくれた上に危険な目に合いながらも自分を守ってくれた。

それなら金額も多めにあげてもいいかな、と思いながら踵を返す。


「ちょっと待ってろ。部屋からお金持ってくる。」


「了解っす〜」


機嫌良く手のひらをヒラヒラと振るスカドゥエから目線を外しロット君の部屋がある方向へと向かう。


さて、ロット君はどれだけお金を持っていたっけ?


部屋の構造はこの世界に来た初日に把握したのでどこにお金があるかは覚えている。

クローゼットの中にある隠し収納の中にあった。


初めて見つけた時はおったまげたもんだ。

なんでこんな所にお金が?と思ったが、多分あの中にあるお金が街でぼったくって稼いだお金なのだろう。


きちんと数えてないからいくらあるかは詳しく知らないが、重さから考えるに25500シギー以上はある。


前回も前々回もお世話になった事だしその分多めに渡そう。


ロット君の部屋に着き、ドアを開ける。


お金が隠してあるクローゼットを開け、その中にある隠し収納をさらにひらきお金が入っている袋を取り出す。

かなり入っており、その袋はずっしりと重い。


スカドゥエに渡す分のお金を別の袋に入れ、残ったお金はそのまま隠し収納へ入れる。



「よし、5万シギーもあれば満足だろ。」



お金の入った袋を見る。


これでスカドゥエとはお別れと思うと少し名残惜しいと感じてしまう。


出会って通算2日も満たないが今までの濃い思い出が脳裏を駆け巡る。


そう思い出に浸っていると、コンコンと窓から音が鳴る。


誰かはもう分かっている。

玄関で大人しく待っていれば良いのに、苦笑しながら窓へ向かうと思った通り、窓枠を掴んで空中に浮かんでいるスカドゥエがいた。

足場なんてないのにどうやってここまで来たんだよ。


「お前は大人しく待つことが出来ないのかな?」


少しは皮肉めいた言葉を放ちながら窓を開ける。

瞬間、待ってました、と言わんばかりにすぐさま部屋に入ってきた。


「あのまま玄関に居続けるのも危険と判断したんっすよ。さっきは運良くイブキの坊ちゃんが出てくれたから良かったものの下手したらもうここに居ないっすからね。」


「あ〜、そういうことね」


なら最初からここに来れば良かったのに、と思ったがここは2階でしかもベランダがない。

部屋にずっといるわけではない俺をずっと待ち続ける事も不可能か。

その前に警備に見つかる可能性もあるしな。


「ほら、お目当てのお金だ。前回と前々回分合わせて多めにいれて置いたから。」


「あ、ありがとうございます…?」


ほい、とお金の入った袋を投げ渡す。

ガシャン、とお金を見事キャッチしたスカドゥエが何故か首を傾げ不思議そうにおれに礼を言う。


「??……なんで疑問系なんだよ?」


「いや、結構あっさりしてるんっすね。街へ行くときはめちゃくちゃしつこかったのに。」


「……いや、そりゃ出来ればこれからも協力はして欲しいってのが本音だけど…。」


「けど?」


街へ行った時の事を思い出し、言い淀む。


「………俺に巻き込まれて死ぬスカドゥエは見たくないって思ったんだよ。スカドゥエも、死ぬのは怖かっただろ?」


「……………そうっすね。思っていた以上に怖かったっすね。自分の鼓動がなくなって、体が冷えるあの感覚と苦しさは出来れば2度と味わいたくないっす。」


その時の事を思い出したのか、少し表情が固くなる。

同じ体の痛みでも怪我を負う痛みと死ぬ痛みではだいぶ違う事を身に染みたのだろう。


これで、スカドゥエは自ら死にに行くような事はしない。

出会った時間は短いとしても自分と深く関わった人が死ぬ所は見たくない。


それに、スカドゥエはまだ若い。未来もある。




――――――――――――――――――――――



『それよりアイツ死にそうになってるっすけどいいんすか?人の生死の書き換えは禁忌って言ってなかったっすか??』


『………あ〜、ま、大丈夫だろ。これでもし死んだとしてもそれが運命だったって事だ。どうせ俺がここで見逃してもどこかで死ぬって事だろ。コイツの未来はもう決まっている。』



――――――――――――――――――――――



ここで、ふと自分が言った言葉を思い出す。


医者の腕を切り落とした、と書き換えた時の事だ。

何か、見落としてる気がする。


「それじゃ、アーシはもう行くっすね。」


「え、あぁ……。気をつけて。」


「はいはい。そんな寂しそうな顔しないでも次も覚えてたら巻き戻った際また催促しに来るっすから。」


「ちょっと待て!!なんだ、その今回も失敗する、みたいな言い方は!!もしかしたらカルロス君を救えるかもしれないだろ!!」


「いや、何言ってるんすか。こんな何も知らない分からない状態でカルロス君を助けられるわけないっすよ。居場所すら分からないのに。」


「うぐっ!!」


見事な正論に何も言う事ができずに呻き声を出す。


「ま、せいぜい頑張るっすね〜。それじゃ!」


「っあ!!スカドゥエっ!!」


窓から急激に風が吹き、思わず目を閉じる。


バサバサ、とカーテンが激しく揺れ終わった後、目を開けるとそこにはもう誰もいなかった。



「…………まぁ、しょうがないか。出会って2日も満たないのに逆に干渉してくる方がおかしいよな…。」



よし、切り替えよう。


少し、干渉気味になってしまったがすぐにこれからのことを考える。


まずはカルロス君の居場所を教えてもらう。

両親は本家の事を口にしようものならすぐに話題を変えようとするが、これを上手く説得できれば馬もお金も借りる事ができる。

なんだかんだロット君には優しい親だ。

わがままを言えば叶えてくれるだろう。

そして、居場所が分かったらすぐにでもここを出て…早くて1ヶ月以内には接触する事を目指そう。


よし、と奮起するように声を出し、俺は執務室へと向かった。


案外となんとかなるかもしれない、と軽く考えていた。

その考えが甘いと思い知らされる事になるとは知らずに。




―――――――――――――――――――――



「案外なんとかなりそうって思っていた自分を殴ってやりたい……。」


「いいっすね、アーシも手伝うっすよ。」


「やめて、死んじゃう。」


肩をブンブン回して殴る準備をしているスカドゥエから遠ざかり、身を守る。


あの後……スカドゥエと別れたすぐ後に執務室に向かったが、執務室のある廊下に辿り着いた直後に使用人に止められた。

ここから先へは坊ちゃんでも立ち入りは許可されません、と。

どれだけ説得しても、脅しても効果がなかった。

その後、両親とはかろうじて会えるものの会話は極端に少なく、しつこく言い寄ったら部屋に監禁された。


そうして何も出来ないまま、また巻き戻ってしまった。そして、これをもうかれこれ3回繰り返し、今は14回目のやり直しだ。



「………………曲げそう。」


「アーシもっす。」


「ほんとごめんやで。」


「なんすか、そのふざけた語尾は。」



心なしかスカドゥエの機嫌がすこぶる悪い気がする。

ここに来るまでは特に何も無いはずだし、気を悪くするような事も言ってな…………さっきの謝罪が気に障ったのか??


それにしても、スカドゥエの顔色が悪いような気がする。


「いや、ほんとごめん。俺もあれこれ試しているんどどれも上手くいかなくって……。」


「あ……いや、アーシも、申し訳ないっす…。イブキの坊ちゃんに苛立ちをぶつけちゃって…。」


眉間に皺を寄せて腕を組んでるスカドゥエに真面目に謝罪をする。

俺の謝罪を聞いて、ハッと目を開いた後、落ち着きを取り戻したのか逆に謝ってきた。


「スカドゥエが謝る必要はないよ。俺がもっと上手く立ち回ればいいだけの話なのに同じ事を繰り返して、スカドゥエが怒るのも当然だ。」


「…いや、違うんすよ。それをいうならアーシにも言える事なんで…。」


「………どういう事だ?」


意味がわからずに聞き返す。


スカドゥエにも言える事?

お金を受け取った後、スカドゥエはもう自由だ。

立ち回りも何も無い。


わけが分からず首を傾げていると少しの沈黙の後、声を絞り出すように俺の疑問に答えた。


「……………イブキの坊ちゃんと別れた後、必ずアーシは死ぬんっすよ。1回目はただ運が悪かったって思ってたんすけど、2回目3回目と続くともう参っちゃって…。」


「!!なんで………っあ……」


そういえば元々スカドゥエの未来はロット君の両親に殺される未来だった。

それが運命だった。

11回目の時、たとえ両親と会わずに死ぬ未来を逃れたとしてもスカドゥエの運命は変わらない。


そうか、スカドゥエと別れる時に何か見落としている気がしていたが、これのことだったんだ。


「スカドゥエは、元々死ぬ運命だった。例えロット君の両親からの処刑を逃れたとしても、遠からずなんらかの理由で命を落とす……。」


「…………それが運命って事っすか??なんだそれ。ならアーシはイブキの坊ちゃんがカルロス君を救うまで死に続ければいけないってことっすか?」


乾いた笑い声をあげ、その場に座り込む。


スカドゥエの顔色が悪い理由は死に続けている事に対しての精神的疲労なのだろう。

無理もない。死ぬ苦しみを4回も繰り返しているのだから。


そこで、ふと初めてスカドゥエと会った時の事を思い出す。10回目と11回目の世界での出来事だ。


そこではスカドゥエは俺と共に行動していた。

俺と行動を別にするまでスカドゥエは、生きていた。


「………なぁ、これから俺と行動しないか??」


「突然何言ってるんすか…。」


伏せていた顔を上げ、俺を見上げる。

顔色は悪いまま、声は掠れている。


「スカドゥエ、いつも俺と別れた後どれくらいで死んでるか覚えているか?」


「は?そんなの……割と直ぐに……。同じ死に方ではないにしろあまり時間差はないっすよ。それが何っすか?」


「それじゃ、11回目の世界の事も覚えているよな?自分が死んだ時間のこと。」


「そりゃ……、あの夜イブキの坊ちゃんと別れた後に………、そういう事っすか……??」


「そういう事だ。」


俺というイレギュラー的存在が近くにいると、周りの運命も狂う。

ある意味スカドゥエの死の運命を変えてしまっているが書き換えている訳ではないから禁忌にはならない。………そういう事にしておいてほしい。


「俺と行動すれば死ぬ未来を変えられるかもしれないぞ。どうだ?」


「…………はぁ〜〜、何をバカな事を…。」


深く息を吐いた後呆れたように、声を絞り出す。

そして数分、沈黙した後自傷気味に笑いながら手を差し出してきた。


「…………でもそんなバカな事を信じてついて行くアーシももっとバカっすね。」


「………あ、ありがとう…っ!!」


差し出された手を取り、スカドゥエはそのまま立ち上がる。


「これからよろしく頼むっす、イブキの坊ちゃん。」


「あぁ、こちらこそ。」



こうして俺はこの世界で初めて共に行動をする仲間ができた。





〜♬スカドゥエが仲間になった!!

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