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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
35/45

悪徳商人と別れと始まり1

なかなか進まないですね……



街で起こった修羅場を潜り抜け、スカドゥエの馬車に揺られること約40分

太陽が完全に沈み、星が綺麗に見えるほど辺りが暗くなった頃、やっとの思いで屋敷へ帰って来たが……




「ロット!!!こんな時間に帰って来て!!私達がどれだけ心配したと思っているのっ?!!しかもどうしてそんなに傷ついてるのっ?!!」


「ご、ごめんなさいっ!!!」




待っていたのは鬼の形相した母親からの叱責だった。



「奇跡的に目覚めたかと思ったらいきなり起き上がって……件の街へ行ったですって?!しかもこんっなボロボロになって帰ってくるなんて……!!」


頭を抱えてふらつく母親を周りの従者が慌てて支える。

そんなオーバーリアクションに若干引きつつ、言い訳もとい反論をする。



「ボロボロにって…、街にはちょっと用事があったんだよ……、しかもこれくらいの擦り傷が出来たくらいで大袈裟……」


「大袈裟っ?!少しの擦り傷で炎症起こして病気になる可能性があるのよっ?!!」


「ご、ごめんなさいっ!!」


が、言葉を言い終える前に反撃にこられたので反論虚しく撃沈し、反射的に謝罪の言葉を出す。


「ぼ、坊ちゃん、下手に言い訳はしないほうがいいっすよ……」


そんな俺を見かねてか、スカドゥエがボソボソ、と小声で話しかけて来た。


「あなたもっ!!あなたが付いていながらどうして止めなかったのっ?!!」


「も、申し訳ございませんっ!!」


すると、そのスカドゥエの行動をすかさず目につけた母親が視線を俺から外し、今度はスカドゥエに狙いを定めて叱りつける。


あ、あのスカドゥエが縮こまってる…!!


完全に俺のとばっちりを受けたスカドゥエには少し申し訳ないが、初めて見るドギマギしながら小さく縮こまっている姿に少しニヤけてしまう。


そんな俺の視線に気付いたのか、恨みがましそうに睨んできた。


さながら、お前のせいだぞ、とでも言っていそうだ。


「ちょっとっ!!聞いてるの?!!」


「申し訳ございませんっ!!」


おお、綺麗な45度のお辞儀!!


あまりにも綺麗なお辞儀に魅入っていると、母親の溜飲が下がったのか、フゥ、とため息をした後俺に向き直る。


「もう良いわ。こんな時間まであなたも動いて疲れたでしょう?湯船に浸かって今日はもう休みなさい。」


そう言い、俺の頬を愛おしそうに、大切そうに触れる。

先ほどの怒りはどこへいったのやら、あまりにもの態度の変化に戸惑ってしまう。


「あ、はい……。」


「坊ちゃん、こちらへ……」


使用人が俺の背へ手を置き、部屋の扉へ誘導する。


「スカドゥエは……」


「私はまだこの方と話があるの。だからあなただけ先に休みなさい。」


「坊ちゃん、行きましょう。」


「え……?」


強引に前へ足を進めさせられる。


何だ?

何でこんな引き剥がすような……


スカドゥエの方に顔を向ける。


変わらない胡散臭いキツネ面だ。



「スカドゥエ!また後でな!!」


「っ!……はい、また。」


細い目が一瞬開く。


驚いたように


だが、すぐに表情を戻して俺に返事をする。


少し違和感を感じたがそれが疑問に変わる前に扉が閉じられ、視界からスカドゥエが消えた。




このまた後で、はこのループではもう来る事は無く、約2ヶ月部屋に監禁されたのちに10回目のループが終わった。





―――――――――――――――――――








「キャァァァァァアアアアアァ!!!!あなたー!!!ロットが目を覚ましたわアアアアアアアァァァァァァアアアァァア!!!!」



「あ〜、またか〜……」


馴染みのある声で目が覚める。

これで11回目だ。

そろそろこの悲鳴も聞き慣れた。


「ま、また……??」


「………ん??」


最近聞いた目覚めの悪い声に眉をしかめる。

そして声のした方へ顔を向ける。


「……あっ!!?」


「へっ?!」


いきなり俺に指をさされ、肩をビクリと上げ驚くそいつは、あの医者だった。


そうだ、時間がここまで巻き戻ったという事はもちろん医者のコイツの死も無かった事になるっ!!


「お、お医者様がどうしたの??ロット?」


「大丈夫か?ロット?」


父親と母親がオロオロしながら心配そうに俺の方へと近づく。

医者は状況が理解できてないのかその場に突っ立って俺達の様子を大人しく見ている。


何も仕掛けてこない?

いや、仕掛けられないのか?

そういえば1回目〜8回目のループの時は何もしてこなかったな。

俺が1人になるのを狙っていたのか…?


仕掛けられないのなら好都合だ。

今のうちに排除しておこう。



「父上、母上、俺はコイツに薬と偽られて毒を飲ませられたんです!!」


「へっ?!!」


「なんだって?!!」


「本当なのっ?!!」


ロット君が死んだのは完全に自業自得だが、ちょうど良い。


「はい。消えゆく意識の中、コイツの邪悪な笑顔が見えました。はっきりと覚えています。コイツが犯人です!!」


「何を馬鹿な事をっ?!!虚言はやめてくだされっ!!どうしてワシがそんな事をっ!!」


「お前っ!!私の息子が嘘をついているというのかっ?!!」


「誰か、コイツを地下牢へ運びなさいっ!!」


「や、やめっ……!!離せっ!!!」


「あ、ついでに変な輩と繋がっているのでよく調べてください!!」


「なっ、何故それをっ?!!」


「なにっ?!!おい!!コイツを拷問でも何でもして調べ尽くせっ!!」


「はっ!!」


ギャーギャー喚きながら警備員らしきガタイの良い使用人に両腕を拘束されて連れ出される。


これで危険分子の排除は完了だ。


その内、内々で処刑が行われるだろう。


「大丈夫??怖かったでしょう??」


「お前をこんな目に遭わせたアイツはすぐに処分するからね。」


この人達を利用しておいてなんだが、俺の言葉を疑いもせずに動くこの人達に少し恐怖を感じる。


「あ、ありがとうございます……」


「怖い思いをさせてごめんなさいね…。今はまだ、ゆっくりおやすみなさい。」


「………はぃ…」


今1番恐怖を感じているのはあなた達です、という言葉は何とか飲み込み返事をする。


両親の手が俺の頭へ伸びる。優しく撫でられ、抱きしめられた後、部屋から出ていった。


「さて、」


起こしていた体をベットへ沈め、前回の、10回目のループの事を思い出す。


スカドゥエと別れた後、何が起きたのか……

いや、何も起こせなかった


監禁されている、と気付いたのは部屋に閉じ込められてから2、3日が経っていた時だった。


自分の鈍さに鈍器で己の頭を殴ってしまいたい…


それからありとあらゆる手段を用いて部屋から脱出しようとしたがことごとく失敗に陥った。


リアル脱出ゲームをしている気分だった。


それに、スカドゥエが1回も俺を訪ねてこなかった事が気になる…

まぁ、両親から会う事を止められていた、と言われたらそれまでなのだが


「う〜ん、やっぱり了承を得ずに無理やり外出したのがまずかったか……。何が何でも外に出さないって気迫を感じたな……。」


今回はキチンと説明をして許可を取って外に出るようにしよう。

前回とは違い、今は大人しくしている訳だし素直に話せば理解はしてくれるだろう。


これからどう動くか……


スー◯ーキノ◯事件を起こしたあの街には行かない。


ある程度の情報は手に入れたし、1番知りたかった事を知る事ができたからだ。前回あの医者の話を聞いて確信した。



このループ元、悲運の子はカルロス君だ。



というか、もうそうとしか思えなくなった。

これまで沢山の転生を経験した俺の感がそう言っている。これも神の使いボーナスだったりするのだろうか??


なにはともあれ悲運の子が分かったのだ。


悠長に寝ている暇はない。

一刻も早く、カルロス君に会って彼の強すぎる「死」の未来を変えなければ。



「よし、じゃあ早速両親にカルロス君の現在の居場所を聞きにいこう!!」


知っているかは分からないけど、知らなかったら知らなかったで俺が自力で調べればいい。


方針が決まり、ガバッと勢いよく上半身を起こす。

ベットから出て、ドアノブへ手を伸ばす。


ガチャ、と音と同時に扉が開かれた事に少しホッとして廊下を出る。


まずは両親を探さなければ、と2人がいるであろう執務室に向かって足を進める。


執務室はロット君の部屋から大分距離があり、1度玄関のある大広間まで行かなければならない。


ロット君に執務の邪魔されない為か、はたまた仕事はさせまいとただ単に甘やかしているだけか……


理由は分からないが、両親は頑なに仕事に関わらせてはくれなかった。

甘やかしてはくれるが、何か壁を感じる。


ロット君にはいえない何かを抱えているのだろうか…


数分、考えながら進んでいたら玄関の大広間に着いた。


高い天井には大きく豪華なシャンデリアがぶら下がっており、床には綺麗な大理石が一面に広がっている。


無駄な事にお金をかけてんなぁ〜、なんて思いながらカツカツと心地の良い足音をさせながら歩くとちょうど来訪を知らせる音が玄関から聞こえた。


周りには誰もいない。


領主の家なのに玄関に警備の1人もいないこの状況を不思議に思ったが、ふと、目覚めた時の事を思い出す。


そういえばあの医者の対応をしてるんだっけ?

なら仕方ない、俺が対応しよう


いまだに音が鳴り続ける扉の取っ手を掴んで引く。若干重い扉が音を立てて開く。



「は〜い。どちら様で……」


「あ、ご無沙汰しております、アー…じゃなくて、私は……っ?!」


「………えっ?!」



開かれた扉から出てきたのは胡散臭い顔した190センチの高身長の男


「………坊ちゃんっ?!」


「スカドゥエっ?!!」


前回、前々回と大変お世話になったスカドゥエが目の前にいた。


「な、何でここに……?あ、いや、そういえば前回、最後の面会がどうのこうのって言ってたな……?なるほど…、順当にいけば今日の今頃この屋敷に着いてたってわけか……いや、でも待てよ??じゃあ1回目の時は……?」


「え、あの……」


「あ……」


そうだ、

今回のこのスカドゥエとは初対面だ。


困った顔をしているスカドゥエの顔を見て切ない気持ちが込み上がって来る。

それと同時にまた、初めて会った時のような疑いの目をされてしまう事に恐怖を感じ、身震いしてしまう。


そうだ、今のうちに弁明をしなければ……



「ス、スカドゥエ…信じられないかもしれないけど俺は……」


「イブキの坊ちゃん…っすよね…??」


「……………………え??」


名前を呼ばれた。

ロット君ではない、俺の名前。


今はまだ知らないはずの俺の名前が出た事に驚き、スカドゥエを凝視する。


そんなスカドゥエも、何が起こっているか混乱しているようで同じように驚きながらも言葉を続ける。



「イブキの坊ちゃん…っすよね…??あ、あの、アーシ……あの時死んだはずなんすけど……気づいたら馬に乗っていて……、これ、どうなってるんすか……??」


どこまで記憶が残っているかは分からないが、前回の出来事を覚えている。

それが何故かは分からないが、その事がとても嬉しく思わず頬が緩んで涙が出そうになったが、1つ、聞き逃せない単語が出てきたことによりその涙は引っ込んだ。


「あの、1つ聞いていいか?」


「はい?」


「死んだって何?」


「え……」


「いや、あまりにもサラッと死んだって言ったから危うく聞き逃しそうになったわ……え、なに?死んだの??」


「え、はい……イブキの坊ちゃんと別れて割とすぐに……」


「はぁ〜…なるほどな〜」



……………いや、なるほどな〜じゃないっ!!!

思わず心の中でノリツッコミをしてしまった


「死んだってどういう事っ?!しかも割とすぐにっ?!!なんでそうなった?!てゆうか誰にっ?!」


「いや、誰にって……そんな事よりこれが繰り返しの世界ってやつっすか?すごいっすねぇ〜」


勢いのままスカドゥエに詰め寄るが、本人はあっけらかんとした態度で話を逸らす。


「話を逸らすなっ!!お前みたいなすごい奴が簡単にやられるなんて何かあるんだろ!?これはお前だけの問題じゃない!俺の命にも関わる話だ!すぐに死んだって事は死んだ場所はここだろ?ならこの屋敷に敵が潜んでいる可能性があるって事だ!!」


俺を実験体にしようと虎視眈々と狙っている医者もいたしなっ!!


「敵って…、少なくともアーシを殺したのはイブキの坊ちゃんの敵ではないっす。」


「なんでそう言い切れる?!」


「アーシは領主様の手で直々に処されたっすから。だからこの屋敷には敵はいないと思うっすよ。」


「………………はぁ〜?!」


なるほど、なら闇撃ちするような敵はいないな、と納得はした。

が、状況の理解が追いつかない


「意味わからないんだけど。なんでいきなりスカドゥエが処されたって話になるんだよ?」


「そりゃ、ロットの坊ちゃんが死んだ?倒れた?責任を取るためっすよ。殺してはいないっすけど、アーシがついていながら薬を飲むのを止めなかった。それだけで領主様の処罰の対象になり得るっす。」


「いや、だからって……あぁ、だからか…」


スカドゥエが死んでいい理由にはならない、と言いかけたところで前回のループでの最後の会話を思い出す。


また後で、と言った時のあの表情。

あの時のスカドゥエの顔に違和感を抱いたが、その時にはもう自分が死ぬ事を理解していたのか。


この様子だと、1回目〜8回目の時も責任を取るために屋敷に来て大人しく処されたんだろうな…。


責任感が強いんだか忠義心が厚いんだか…。

………どっちもか。


「それで、スカドゥエはどこまで記憶がある?」


「どこまで?……あっ…」


何かを思い出したのか、青ざめながら首を抑えるスカドゥエの様子を見て大体把握した。

どうやら死ぬ間際までの記憶がはっきりと覚えているらしい。


「自ら望んで首を差し出したのか?ロット君を殺してはないが死に追いやったから?」


「……これは贖罪なんすよ。止められなかったアーシの。」


「だから今回も贖罪の為に、死ぬ為にここに来たって事か?」


「っ!!……いや、違うっす……」


そういうと手を首から退けて硬く手を握り、細い目を開け俺の方へと向き直る。


「じゃあ何だ?」


俺も、まっすぐにスカドゥエの目を見る。


「………アーシは、アンタに、イブキの坊ちゃんに会いに来たんすよ。」


その目は決して死にに行く目じゃない、何か強い意志を感じる瞳だ。


スゥ、と息を吸い、吐く。

そして、俺の方へ手を差し伸ばした後、


「前回貸したお金と運賃代、きっちり払ってもらうっすよ!!!」


そう、大きな声で宣った。




「……………そっちかーーーーーーー!!!!!」



どこまでいってもブレないがめついスカドゥエ嫌いじゃないよっ!!



次の次の次くらいには展開がすすむ…かも?!

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