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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
33/45

目的

2ヶ月?更新?ストップ??





「おやおや、坊ちゃん。もうお目覚めで?」



「お前…!!」



錆びついたドアから現れたのは、両親と一緒にいたあの医者のおじいちゃんだった。


最初に会った時とは打って変わって下品な笑みを浮かべながら部屋に入ってきたのを見るに、屋敷にいた時は気弱な老人を演じていたのだろう。



「ご両親から坊ちゃんの事を聞いていましたが、いやはや。話を鵜呑みにしてはいけませんでしたな。まさかそこまで考える頭があったとは……」



コツコツと俺の方へ近づき、自分の手を俺の頭に乗せて大きく撫で回す。


他人に頭を撫で回される感触と揺れる視界に何とも言えない気持ち悪さと不快感に医者の手が頭から離れるように頭を乱暴に振って医者を睨みつける。



「おっ〜と、怖い怖い。そんなに睨まれたらワシは怖くて怖くて震えてしまうよ。」



と、サッと俺から数歩距離を置き、両手で肩をさすり、困った顔をする。

言葉では「怖い」と言いながら一向にそれらしさを感じないふざけた言葉使いと態度に苛立つ。



絶対思ってないだろ、このクソジジイ!どこまでもふざけやがって…っ!!!



頭が怒りで埋め尽くされそうになったが、冷静を取り戻すために一旦深呼吸をして落ち着く。


まずはジジイと武装集団の目的、俺を生かしている理由、そしてそこにカルロス君に関係しているのかを聞き出す。



「お前の目的は何だ??俺を使って何をしようとしてる?」



落ち着いて聞き出す俺を意外に思ったのか、医者が驚いたように目を見開く。


「おや?この状況でなおワシの目的を聞こうとするんで??坊ちゃん、意外と肝が座ってますな。」



「どうせお前らは俺を生かすつもり無いんだろ?俺に魔法は使えないし、ここで癇癪起こしても、足掻いても意味がない。ならせめて何で死ぬくらいかは教えてもらってもいいだろ?」


ここで体の力を抜き、相手に生きる事を諦めたような態度を取る。


このジジイはまだ俺を取るに足らない何も出来ないクソガキだと思っているだろうから少しでも諦めた態度を取ればポロッと情報を流してくれるはずだ。



ダラ〜、と力を抜いた俺の姿を見て、医者はぁ、と納得したような顔をし数秒、何かを考え込む。



「……………ふむ。それもそうですな。何も知らぬまま死ぬのも可哀想だから教えてあげましょう。」


「…………おい、じいさん。俺らはお前に雇われた者だからしつこくは言わないが余計な事はあまり言わない方がいいぞ。」


「なぁに、ワシもそこまでバカではないわ。言われずとも分かっとる。」


「……………………。」


途中で武装男Aが忠告してきた事に冷や汗をかいたが、医者が話に乗ってくれた事に安堵し、ホッと一息を吐く。


一息おいて、医者が口を開いた。


「お主はカルロス・フォン・アストロ君をご存知かな?」


「……っ!!カルロス君…??ロッ……俺の母の兄の子供か……??」


「そうそう、所謂君の従兄弟君だ。」


「……存在は知っている。会った事はないが……。」


「ふむふむ、両家の仲が悪いという噂は本当のようだな。では、もう一つ、君は知っているかな??」


「?何を??」


「大地の精霊の加護の事だよ。アストロ家と契約している偉大なる精霊様の事だ。精霊の加護を受けし当主はどんな呪いも病もかからない。そして、当主の持つ大地を豊かにし、繁栄させる。君はその事を知っていたかい??」


「呪いも病もかからない……??」


食堂で出会ったお兄さんから聞いた、アストロ家が契約しているという大地の精霊が医者の口から出た事に疑問に思ったが、それよりも新たに聞く精霊の加護の効力に驚く。


大地を豊かに繁栄させる、という事は知っていたが、更に病や呪いまでも跳ね除ける力があるとは知らなかった。


そこまでの恩恵があるのならば、ロット君やアスタ家がアストロ家を敬遠し、疎遠している理由がわかった。


血のつながりがあるのに大地の精霊には見入られず、領地の力の差が開くばかりでは嫉妬しない方が難しい。


ロット君の両親が頑なにアストロ家を避けてた事を思い出し、複雑な気分になる。



「精霊の加護を受けし者はあらゆる厄災から守られる。と、言っても自然災害は範囲外らしいが。そこで、あるお方は疑問に思った。大地の精霊の加護を受けている当主は呪いや病を受けない。だが、血族はどうか?例えば当主の息子、その兄弟、従兄弟、そう、君とか、ね。」


「……俺?」


ニィ、と医者は気味の悪い笑みを浮かべて服のポケットを弄る。


するとそこから注射器と謎の緑の液体の入った小さな瓶を取り出し、俺の目の前に持ってくる。


「これが何か知っているかい??君も聞いた事はあるだろう?」


ユラユラと緑の液体が入った小瓶を揺らしながら楽しげに笑う医者を見て、嫌な予感が募る。


まさか………



「その顔、知っていようだね??そう、これは『生き返りの薬』だ。本当は君の死体で実験しようと思っていたんだがな。想定外の事に、君は生き返ってしまった!本当に驚いた!これも大地の精霊の加護なのかい??」


そこまで聞いて、気づかない訳がない。

つまり



「大地の精霊の加護を受けている血族に、その薬が効くかどうかを試そうとしているのか。」



「その通りだよ!!最初の計画ではまずは君の死体に、次に生きたままの状態で君の母親で実験をしようと思っていたんだ。」


嬉々として狂った計画を話す医者を姿を見て唖然とする。

医者の狂気に圧倒され、体が固まってしまったが、何とか口を動かす。


「……何故??死体ならともかく何故生きたまま薬を投与する必要があるんだ??それに、お前も知らない訳ないだろ?その『生き返り薬』は別称『生き返りの呪い』と言われている事を。それを投与した者は異形の化け物に変わる事を。」


そういうと、医者はキョトンと目を丸くし、怪訝な面持ちをしながら俺を見つめて話を続けた。


「何を当たり前の事を。知らない訳がないだろう?それに、ワシの目的はソレだよ。」



「は?」



「精霊の加護を持つ血族に、この『生き返りの呪い 』が効くかどうかを実験する事がワシの今の目的だ。精霊の加護を受けた血族に生きた状態で投与するとどうなるか?死んだ状態でやると?その実験を君ら親子で試す。そして、予想通りになったのならば、次は本命のカルロス・フォン・アストロに投与する。」



「!!!」



つまり、ロット君はカルロス君に投与する前の実験体。

薬は初めからロット君を生き返らすつもりで投与するわけではなく、化け物になるかを試すためか…!!



「意味がわからないっ!!一体何のためにそんな事を!??」


「そんな事、ワシに分かるわけないだろ?ワシはただ、血族に薬を投与するだけで良いって言われただけだ。」


「投与するだけだ良いって……、一体誰に……」


「おっと、それ以上はいくらこれから死ぬ坊ちゃんの前で言うわけにはいけませんなぁ。それに、部外者もいる。」


チラリと医者は武装男集団を見る。

武装男たちは、自分たちは無関係だと言わんばかりに俺たちから目を逸らし、医者の話に興味がないのかあくびまでしていた。



「さて、楽しいおしゃべりもここまでにしましょうか。坊ちゃんの死ぬ理由も分かった事だし、心残りはないでしょう??」


そう、言い終わるや否や医者は俺の首筋に注射器を近づかせる。


針を刺しやすくするためか、空いている手で俺の顔を掴み、首筋を伸ばす。



「ぐっ……!!!」




もうダメだ……っ!!!




首筋に冷たく鋭い針の感触を感じ、絶望と恐怖で現実から目を背けるように目をキツく閉じ、痛みに備える。



「がっ?!!!」


「ぎゃあっ?!!!」



「?!!」



が、薬を投与される前に聞こえた医者と武装男達の悲鳴で思わず閉じていた目を開ける。


開けた目の前に広がる景色に、言葉を失った。


医者は倒れ、武装男Aは心臓をナイフで刺され絶命しており、武装男Cの首筋にはスッパリと横一直線の切り傷があり、こちらもすでに息をしていないのか、瞳孔を開いたままピクリとも動かず地面に伏せっていた。


そして、その中で唯一、立っているのは武装男Bだった。



先ほどまで俺を嘲笑った顔とは打って変わり、表情が抜け落ち、自らが殺した仲間を汚物のように見下し、死体を踏みつける武装男Bの奇行を見て体が固まる。



「な、にを……」



俺の声に反応したのか、視線を俺の方へと向け、ユラリと体を緩慢に動かし血濡れたナイフを振り払いながらコツコツと近づいてくる。


俺と武装男Bの距離が手の届くぐらいまで近づいた時、ゆっくりと上へナイフを振り上げ、そしてーーーーーーーー









「………ぶっ!!っははははははははっ!!!!なんって顔してんすか?!」



「………………え…………?」




聞き覚えのある声


憎らしい程のイケメンボイス



でも、その声は



「し、死んだんじゃ……??」



「アーシを誰だと思ってるんすか?あの程度対策できなくちゃ暗殺者なんてやってらんないっすよ」



ニヤ、と笑いながら手を自分の顔に覆い隠したつぎの瞬間、武装男Bの顔からいつものスカドゥエの顔になっていた。



「ス、スカドゥエェェェっ??!!!」



「うぅっわっ!!ブッサイクっ??!!」



見慣れた胡散臭い顔にイケメンボイスに安心して涙腺が決壊したように涙が溢れ出る。


失礼な物言いが聞こえたがせっかく再会できたのでスルーすることにする。



「お、ぉまえぇ〜っ!!無事だったんだなっ?!というか何で?!いつから?!どうやって?!」


「おうおうおう、疑問が絶えないっすねぇ…ま、とにかく落ち着くっすよ。」


と、言いつつ縛られていた縄をナイフで切る。


縄から解放された両手と身体にホッと胸を撫で下ろす。


「それで、スカドゥエはどうやって助かったんだ??思いっきり心臓刺されてただろ?」


鼻水と涙で汚れた顔を服で拭き、疑問だったことをスカドゥエへ投げかける。


最後に見たスカドゥエの姿、胸からナイフが突き出し、スカドゥエの目が虚に変わるあの姿は軽くトラウマものだ。


その光景を思い出してしまい、ウッ、と吐きそうになった。


「あぁ、あれは身代わりの魔法っすよ。自分の攻撃を対象者に移す魔法っす。」


「そ、そんな物騒な魔法があるのか…?」


「かなり高度で珍しい魔法っすからね。世間一般では出回ってないっすよ。」


「……そんな高度で珍しい魔法を何でスカドゥエが使えるかすっごく疑問だけど助けられたから深くは追求はしない。」


「そうっすよ〜、深追いは自身を追い込むことになるんでそれが正解っす!それに、イブキの坊ちゃんが知りたい事はそんな事じゃないっすよね??」


「ま、まぁ…。」


つまりはこれ以上は聞いてくるな、という事だな。


糸目からうっすら見える瞳の暗さに追求してくるな、と言っているようで口を紡ぐ。


そこまで追求を拒むとは逆に、気になってくるぞ…



「それで、その武装男Bの姿も魔法なのか??」


「だれっすか?武装男Bって??」


「スカドゥエが変装していた男だよ。名前知らんから武装男A、B、Cって名付けてた。」


「ブッっ!!こんな状況で何してんすかっ!!」


「仕方ねぇだろ!!その状況を整理するために必要な事だったんだよっ!!」


ヒィヒィとお腹を抱えて笑い、名付けの資質がないっすねぇっ!と爆笑するスカドゥエに腹立ちながらも事情の説明をする。


「それで、俺の名付けセンスは置いといてどうやって変装してコイツらの中に潜り込んだんだよ?」


チラリ、と血溜まりの中に倒れ込んで動かなくなった武装男集団を見る。


完全に事が切れたか、肌は白く、薄く開かれた瞳は光が宿っていない。


ちょっと視界に入るのが嫌なんで、燃やすっすねぇ〜、と言いながらスカドゥエは死体を一瞬で灰と化した。


「え〜と、なんでしたっけ??あ、アーシがやられた後の事っすよね?あいつ……、イブキの坊ちゃんの言う武装男A?がイブキの坊ちゃんを捕まえに行った隙にコイツ…武装男Bをアーシの姿にして入れ替わったんすよ。姿に関しては分身の魔法の応用っすね。アーシの姿を武装男Bに、武装男Bの姿をアーシにしたんす。」


そして、俺が気を失ってからの事を話してくれた。


俺が武装男Aに捕まり、気を失っている間、武装男Bに変装したスカドゥエは武装男Cと共にAと合流。


共にこのアジト?に来たらしい。


何かコイツらについての手がかりや情報がないかを探りたかったがAがスカドゥエの行動を怪しみ、断念したようだ。


そうこうしていると、俺の目が覚めたことに気づき今に至る、と。



「Aはだいぶやり手っすね。少しの違和感でアーシを疑うし、隙がないし、ここで殺れたのは本当に幸運っすよ。」


「まぁ、確かにアイツは俺が何かしないように最後まで警戒していたし、素人目の俺から見ても出来るやつって分かったよ。」



結局、俺に与えられた力…事象を書き換える力を使う事なく物事が解決した。


それは良いことなのだが、このままではいけない事は分かっている。


わからない事を分からないままで進むのは良くない。

今回の件で痛いほど痛感した。



「これからの課題は俺の力について使い方を理解する事、それと……」


目線をいまだに倒れて気絶している医者に向ける。



「コイツの依頼主を吐かせることだな。」


「そっすねぇ〜。とりあえず、縛るっす。」


スカドゥエがどこからか出したのか、長いロープを手に持ち、医者が身動きが取れないようにグルグル巻きにする。


さて、


「スカドゥエ、ちょ〜っと手伝ってくれるか??」


「?何をっすか??」


「これの使い方について」



手を広げて、『運命の書』を出す。



パラパラと自動的に紙がページが開かれて、ある一定のページまで来るとピタリと動作が止まった。



「今からこれの使い方をマスターする。」






ちょくちょく見てくれている方、ありがとうございますっ!!

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