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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
30/45

情報の供給

遅くなり、すみませんっ!!






ゴツい体の厳つい男連中と接触する定食屋の中、俺はそこのどこかにいるであろうスカドゥエを探し歩いていた。


途中、いかにもヤンキーみたいな輩に絡まれたがそこは俺のモブスキル空気に溶け込む!を発動して周りの目線から逃げ切ることに成功する。



意外と広い店内の中をウロウロと動き回り、周りを見渡すと突然トントン、と後ろから肩を叩かれる。


いきなり叩かれた事に驚き、瞬時に後ろを振り返るとそこにいたのはスカドゥエだった。



「なんだ、スカドゥエか…。てか、いるなら声をかけてくれよ!!驚くだろ?!」



「そうなんすか??それはすいやせんね。」



ニヤニヤと笑いながら俺を見おろすその表情に、俺がここまで来るまでの一部始終を見られていた事を確信し眉をひそめる。


モブヤンキーに絡まれてオドオドしている俺をこんな風にして嘲笑っていたと知ると腹が立つが、ここまで着いてきてくれた恩があるのでそこは許す事にする。



「さっき俺を呼んでいたけど、ここら辺の人達の話を全部聞いたのか?随分と早いんだな??」



「そうっすね。あらかた聞けたっすよ。ま、ほとんどがロットの坊ちゃんの事だったっすけどね。」



ゲンナリと少し疲れた表情をしているスカドゥエの姿に聴き取ったであろう話を察して少し同情した。



ま、全てお前達が招いた結果だけど……



「それで、坊ちゃんはどんな事を聞けたんすか??随分と話し込んでいるように見えたっすけど。」



そう言ってスカドゥエは空いたであろう2人席用の木の丸いテーブルを手のひらで叩いてそこにある椅子に座るように俺を誘導する。


俺は導かれるままにスカドゥエと対面するように座った。



「そうだな……。まずは俺が得た情報を話そうか。」



コホン、と咳払いをして先ほど犠牲になった領民のお兄さんから聞いた話を簡潔に話した。


お兄さんと話していた内容を聞いた後、スカドゥエは手に顔を覆って気まずそうに口を開く。



「な、なんという偶然……というか必然なんすか??これは……。こんな所に犠牲者の身内がいるなんて……。」



犠牲者て……お前らのせいやろがい……。



と思ったが口には出さなかった。

ここで今更ぐちぐち言ったところで過去は変わらないし変えられない。



自分の手を開き、紙の束ならぬ運命の書を出す。



パラパラと紙の束が開かれて、お兄さんの弟さん(噂好きの領民)の処刑の箇所でページが止まる。



見ると簡潔に一行、書かれていた。



『トーティブ、5月1日 12時 処刑される』



このトーティブっていう人物がお兄さんの弟さんの名前なのだろう。


とても不憫な死を遂げたお兄さんの弟さん…トーティブさんに心の中で手を合わせながら手のひらにある運命の書をしばらく見つめ、ソッと閉じた。



「なるほど…、精霊の加護うんぬんは知っていたっすけど、7年前に起こったアストロ領の事件……それは知らなかったっすね……」



そう言ってスカドゥエは顎に手を当てて神妙な顔をして何かを数秒考え込む。



「それに、アストロ領の坊ちゃんの悪い噂っすか…。この辺境の領まで悪い噂が来ているって事は王都では大きく広まっているに違いないっすね。とある領主が画策っていうのもいい話じゃないっすね…。それらがアーシが聞いた噂と関連しているかどうかは分からないっすけど。」



「スカドゥエが聞いた噂?」



「だいぶ怪しい話なんすけどね。死んだ者を生き返らす呪いがあるって囁かれてるらしいっすよ。それからアスタ領とアストロ領から最近人が多く離れていってるって話を聞いたっす。」



それらを聞いて、俺はすぐに疑問に思う。



「アストロ領ってカルロス君の家の領土だよな?ロット君の家のアスタ領土なら分かるけどアストロ領もって言うのは、なにかきな臭いな…。お兄さんから聞いた話だと土地も経済も潤っているって聞いたけど…。」



アスタ領はロット君せいで2人処刑され、死人が出たので移民を願い出る人がいるのは分かる。

ついでに悪徳商売もやっていたしな……



だけどなんでアストロ領も?



「アストロ領と王都は割と近くにあるっすからね。王都にアストロ領の坊ちゃんの悪い噂が広まっているなら自領にも広まっているはずっすよ。なのでアストロ領の坊ちゃんから危害が及ぶ前に出て行きたいって言うのは別に普通の事だと思うっすけど…?」



「た、しかに……」



スカドゥエの至極真っ当な意見に思わず口を閉じる。


だがそれでも何か納得がいかずに思考を続ける。


それはそうだけれど、お兄さんに話を聞いた限りアストロ領では領民に何か不利益になるような事をしでかした、という事は聞いていない。


事実かどうか分からないたかが悪い噂だけで豊穣な土地から離れる選択をするだろうか??



スカドゥエが言っていた噂話とお兄さんが言っていた弟さんの噂話を思い返す。



「とある領主がアストロ領を貶めるためにカルロス君の悪い噂を流している……。そしてその噂を信じた領民をアストロ領から離れるよう煽動している?」


領地を経営するにはまず人がそこに住まないと経済がまわらない。


領地から人を退けてアストロ領を過疎化させていく事がどこぞの領主の目的か??



でも、一体何のために??



「アーシもそれを思ったっすけどそれだとあまりにも考え方が甘いというか……なんというか安直すぎじゃないすっか??」



考えを読まれてた……



そのうえに少し小馬鹿にしたような物言いに若干の不快感を感じながらも言葉を続ける。



「それもあるけど、俺が言いたいのは他に何か起こっているんじゃないのかって事だ。悪い噂以外の何かがアストロ領で起こっている。じゃなきゃ出て行こうなんて思わないだろ。」



「それに関しては現地に行って調べるしかないんじゃないんすか?ここじゃ調べようもないっすよ。」



「確かにそれはそうだな……。」



悪い噂の内容とアストロ領の現在の様子はまた後日調べることにして、次はスカドゥエが聞いたもう1つの噂について話を上げる。



「それと、もう一つスカドゥエが言っていた死んだ人を生き返らす呪いって言葉が引っかかっているんだけど。生き返るっていうのは普通は良いことじゃないのか??なんで呪いなんてそんな怖い言葉になるんだよ?」



そう、呪い。


生き返るという言葉に相応しいのは祝福とか奇跡とかそんな言葉になるはずなのだがそれとは真逆の熟語に疑問と同時に恐れを感じる。



「聞いた話だと生き返るには生き返るらしいんすけど異形の化け物として生き返るらしいんすよ。それ故の呪いという言葉っす。」



「い、異形の化け物……」



それは果たして生き返っているのだろうか??

むしろ化け物に生まれ変わっているように思うのだが……


某ゲームのバイ◯ハザー◯のように人から化け物に変わる様を想像してしまい、顔を青ざめる。


あんなもん目の前で起こったら普通にトラウマものだ。


確かに、それは正しく呪いという言葉に相応しい。



「でも、そんなことをしてまで死んだ人も生き返りたいなんて思わないだろ。」



顔を青くしたままうぇっとえずく真似をする。



スカドゥエはそんな俺を横目で一瞬チラリと見た後に目を伏せてポツリと呟いた。



「それでも残された人は生き返って欲しいって願うんすよ。……アーシと領主様みたいに。」



予想外の言葉にピシッと体が固まる。



ギギギ……と、首の関節のなる音が聞こえるくらいにぎこちなくゆっくりとスカドゥエの方へ顔を向けると何か気まずい顔をした後にフイ、と顔を逸らされた。



「え、まさか……?」



何かしてたの??



途端に顔を青ざめてドン引きする俺の思考を読み取ったのか慌てて釈明をしはじめた。



「アーシも領主様も生き返りの呪いの事を知らなかったんでなにもしてないっすよ!!………死体を綺麗に保存する以外はなにも。」



ポソリと最後に一言聞こえるか聞こえないか微妙な声量で話していたが、俺の耳にはしっかりとその言葉を聞き取った。



「し、死体を綺麗に保存?!」



サラッと告げられた言葉に更にショックを受ける。


ガッツリしてるじゃねぇか!!

なにが何もしていないだよっ!!



そこでまたスカドゥエの言った死体を綺麗に保存、という言葉が頭に引っかかる。


その言葉を使うにはロット君がすでに死んでいる状態でないとおかしい。



という事は……



「え、ちょっと待てよ??死体を保存って事は俺がロット君の体に入る前まで死んでたって事??!」



「そうっすね。今日が16日なんで、ロットの坊ちゃんが死んでから13日は経っているっすね。」



「ファっ?!!!」



次々と新しく出てくる情報量の多さに頭の理解が追いつかず言葉を失ってしまう。


つまり13日もあの両親は死体のロット君を見つめていたってことっ?!


きょ、狂気っ!!!



ロット君の死体を見つめる両親をリアルに想像してしまった後にハッ、と目覚めたときの事を思い出す。


医者のおじいちゃんは目覚めた俺の姿を見てまるで信じられない、という風に何度も目をぱちぱちと瞬きをして様子を伺っていた。


今までは、なんであんなに驚いているのだろうと疑問に思っていたが、確かに死んで13日も経った後に息を吹き返したらあの表情になるわ、と腑に落ちた。



それにしても、死体を保存って一体何をしたのだろう??



これまでロット君の体を使い続けて不具合は起こっていない。

体が若干重たいが、これは多分ロット君そのものの身体的特徴だろう。


何か異変がないか、体を動かして動作を確認する。


地球にあった科学的用法を用いたのか、それかこの世界の魔法をかけたのか、どっちだろう?



どちらにせよこのままロット君の体を使っていても大丈夫だろうか??



「も、もしかしてこの体の重さはロット君の特徴じゃなくてその死体保存のせい?!!」



「今もこうして元気に過ごせているのなら大丈夫っすよ!それに、領主様が死体を保存していたのはアーシに気を利かせてくれたんだと思うんす。ロットの坊ちゃんと最後に面会できるように、と。でも………」



そこまで言ってスカドゥエはチラリと俺の姿を見る。



なるほど、そこで今日に繋がるわけだ。




「死んだはずのロット君がスカドゥエを待ち伏せしていたうえに話しかけて来た、と。」



「そういう事っす。」



そうして俺たちは食堂で得た情報を互いに確認した後話し合いを終えた。



定食屋に居座っているにも関わらず、何も頼まずに出ていくわけにはいかないので話に区切りがついたところで食事を頼む。


お昼のピークが過ぎたのか、空いている席がところどころ出てきてお客も少し減っていた。



そのおかげか、店員にメニューを頼んで僅か15分あたりで食事が届き、互いに他愛ない話をしながら食事を楽しんだ。





「それにしてもスカドゥエでも知らない事があるんだな。なんでも知っているって思っていたから意外だった。」



頼んだ食事を綺麗に食べ終えた俺は持っていたフォークをテーブルに置いて、目線を空になったお皿からスカドゥエの方へと向ける。


同じように食べ終えたスカドゥエが俺のはなった言葉に少し困った顔をしながら答える。



「アーシでもって…情報屋って言ってもあくまで副業っすからそんな大層な情報は持ってないっすよ。下手したらロットの坊ちゃんも7年前の事件の事は知らないっすね……。」



「親戚なのにか?!しかもその事件でカルロス君のお母さんが死んじゃっているだぞ?!……そ、そんな連絡を取らないほど仲が悪いのか……。」



想像以上にロット君とカルロス君の家の仲の悪さに絶句する。


どうしてそこまで、と疑問に思ったがこれ以上深く考え込む事はやめた。


俺がこの件に関して思考しても意味が無いし、親戚の死まで連絡をしないと言う事はきっと俺には想像できないほどのいざこざがあったのだろう。


従兄弟の話題を出そうとすると言葉を切られるほどに……


闇が深そうな両家の関係に何とも言えない感情が芽生えた。



「まぁ、要するに大地の精霊に選ばれなかった者の嫉妬っすね。それほど精霊の加護の恩恵がすごいって言う事っす。」



が、案外拍子抜けな理由で力が抜ける。



ガクッと力が抜けて項垂れる俺に次はスカドゥエの方から話しかけてきた。



「そういえばさっき何か手のひらでショボい本が出てたっすけど、運命の書っすか??この世界の未来と現在と過去、すべてが書かれているって言う……。」



「お?そうだよ。」



「……思ったんすけど、その運命の書とやらで見れないんすか??全てが書かれてるんすよね?ここら辺に起こった異変とか、事件とかそこに書かれてないんすか?」



そう言ってもうすでに消えて何もない平凡な俺の手のひらに指をさす。



まぁ、俺もスカドゥエと同様、それを思いついて見てみた事はあるが……



「過去の事はともかく、未来の事は見れないぞ。言っただろ?この世界には未来がないんだ。実際あった未来を消してしまったからな。探している悲運の子の運命を変えない限り、この世界には未来は無い。それと……」



「それと??」



「俺が知り得ない事は読めない。」



「はぁ??」



スカドゥエが大きな口を開けて呆けながら俺を見つめてくる。


その顔はまるで本当にこいつは神の使いなのか、と言っているような表情をしていた。


そんな痛い視線を感じながら、俺は今回のスカドゥエに会う前の事を思い返す。



例の如く、前回と同じように同じ場所でスカドゥエを待っていた時に思いついた。


わざわざ街へ情報収集するよりも運命の書でこの世界の情勢を知ることが出来るのでは?と。

未来の事は知る事は出来ないが、悲運の子が死んでしまう前の事は確定されている過去だからそこで何か知ることが出来るのではないか、と。



思い立ってすぐに運命の書を出して確認する。

が、パラパラと開かれるページからは真っ白なページだらけで何も見えなかった。


いや、見える事は見えるのだが、見えたのはほんの数行の文字だけだった。



ロット君の死、スカドゥエとロット君の出会いなど、俺が前回のループで知り得たことだけ読め、それら以外は全ては理解が出来ないのだ。



つ、使えねぇ……



思った以上に役に立たない運命の書に落胆して俺はソッと運命の書を閉じた。


そんな俺を見てスカドゥエはポツリと呟く。


「つ、使えねぇ……。」



「俺が1番そう思っているよ!!」



グッと拳を作り、現実逃避をするように顔を逸らして叫ぶ。


過去も未来も書き換えができない…、一体何が出来るんだよ。これ……。



「ならその運命の書にはあまり頼れないって事っすね。地道にやるしかないのか……。」



「そうだな。俺もまだこの書についてあんまり詳しく無いし、これの使い道は模索してみるよ。何か分かったらすぐに言うわ。」



「…期待しないで待ってるっす。」



フ、とどこか呆れたような、バカにしたような顔をしながらテーブルに手をつきながら立ち上がる。



「あ、お金……」



「つけとくっすからね」



そう言ってスカドゥエは手をテーブルから離すと、そこにはもう食事の代金が置いてあった。


お金を出してくれ、と言う前にお金を出してくれるスカドゥエのイケメンさに一瞬心臓がトゥンクと高鳴った。


お金の出し方は完璧だ。

でもここで、ここはアーシの奢りっす(イケボ)って言ってくれたら完璧だったのにな……



予想を裏切らないスカドゥエの言葉に呆れ笑いをしながらオレ達は満足しながら定食屋を出た。




後をつける怪しい集団に、最後まで気づかないまま街へと歩き出した。




次の更新は未定ですっ!!

でも、今月中にはかならず更新しますっ!!


実はツムツムをやっていたなんて言えない……

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