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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
ループする世界
26/45

俺と商人2



「え、えぇ…??おかしいなぁ…??アンタ、アーシに聞きたいことがあるって言ってませんでしたっけ??」


それが目的じゃないんすか??と困惑した目をして俺を見る。



「あぁ、そうだよ。スカドゥエに聞きたい事がある!それが目的だ!!でもそれは荷馬車の移動中でも聞けるよな??」



「街へ行くことはないっすから今言えばいいじゃないっすか!!!」



目の前でギャーギャー喚き散らしているスカドゥエを遠い目をしながら眺める。



あぁ、また説得かぁ……。

今回も骨が折れそうだ、とため息を吐き前回はどのように説得したかを思い出しながら今度はどう口説くかを考える。



前は今と違ってこんなスムーズにスカドゥエとの会話はできなかった。



前回、スカドゥエと会ったのだってマジの偶然だったからなぁ、と最初の出会いから思い返して、あぁ、そうだ、とその時の事を鮮明に思い出した。


偶然会ったスカドゥエにロット君だと偽った俺を怪しみ攻撃、そこから俺の決死の説得で和解をして、それからボロボロに怪我を負わせた責任として街まで送ってもらったんだった。



今はすでにスカドゥエとの和解?はできているから前回と同じ方法はできない。


それじゃあ、何かスカドゥエに責任を負わせてから街まで送ってもらおうか??


わざと煽って怪我をするか??


そうするとなると、どうやって煽るが問題だ。


ママパパにチクるぞ⭐︎あれはダメだ。

あれは完全にスカドゥエにとって地雷だ。

思えばあれが俺に対して敵対する引き金だった。


それに、今せっかく信頼を得ている(?)のにそれを裏切るような真似はしたくない。



煽りは無しだ。



だとしたら他の案は何かないかと、唸っていると若干引いた目をしたスカドゥエが申し訳なさげに話しかけてきた。



「あ、あの…、考え事の最中に申し訳ないんすけど、アーシもう用事があるんで行きますね……」



と、どさくさに紛れて逃げ出そうとするスカドゥエの服をすかさず掴む。



「まてまてまて、この後何も予定がない事なんて前回の繰り返しでわかってんだぞ?その言い訳は聞かない。」



「………………。勘弁してほしいっすよ……」



肩と顔を落として大人しく捕まってくれているスカドゥエに、やっぱり優しいやつだと再認識をしたところでふと閃いた。



「そうだ!!スカドゥエ!俺を殴ってくれ!!」

 


怪我がないなら作れば良いじゃな〜い!!と某女王様のような文言を思い浮かばせながら瞳をキラキラさせてスカドゥエにお願いをしてみる。



「はぁ?!!正気っすか?!!嫌っすよ!!」



俺のいきなりの発言に度肝を抜かしたのか、真っ青な顔になって俺から距離を取ろうとする。



が、俺が服を掴んでいるから投げようとも逃げ出せずにいた。


何度か服を掴んでいる俺の手を掴もうとしていたが、汚いものを触るみたいな手の形をし、腕を伸ばしたり引っ込めたりして結局掴めずにその場に留まり続けている。



まったく失礼なやつである。



そんなスカドゥエをジト目をしながら睨んでいると、俺に見られていることに気づいたのか顔をさらに青くし、叫ぶ。



「アンタ、自分が何言ってるか自覚してるっすか?!いや、自覚しててもヤバいっすよ!!そんな変態だったなんて思いもしなかったっす!!」



あまりにもの相手の必死な表情をみてふと少し我に帰り、己の発言を思い返した。




「……確かにヤバいな。今のは忘れてくれ。」



「……………ホッ……。」




耳元で叫ばれて改めて考え直す。


怪我を回避したのにまたわざわざ怪我するなんて冷静に考えたら…いや、冷静に考えなくても馬鹿な行為だ。


自覚はなかったのだが、いつ巻き戻るか分からない焦りからまともに思考が出来なくなっていたのだろう。


なら、どうすればスカドゥエを動かせるのだろうか?


うーん、と唸りながら手を顎に当ててスカドゥエの好きなものをできる限り思い浮かべる。



スカドゥエの好きなもの……ロット君、商売……商品……お金……




「…………お金」



「………?」



「お金を払う!!好きな分払う!!これでどうだ?!」



今度こそはっ!!とスカドゥエを見て反応を待つ。



俺の目を見て本気だと悟り、眉と口を歪ませてうっ、と短い唸り声を上げて腕を頭まで上げて頭を掻く。



そこから数秒経ったのち、



「………………………しょうがないっすね…!!報酬は2000シギー!往復で5000シギーで乗せてやるっす!!」



覚悟を決めたかのように俺に指を差してそう告げた。


少し、いや、1000シギーぼったくられてる気がするが、そこはスルーすることにする。



まったくスカドゥエらしいな、と思いながら感動のあまり服を掴んでいない手でスカドゥエの手を握ろうとしたが逃げられた。



「……ありがとうっ!!スカドゥエ!!やっぱりなんだかんだ言って結局スカドゥエは俺の願いを叶えてくれるんだよなぁ!!あ、ついでに通行許可証も頼む!街に入る為の変装も荷馬車の中から借りるな!!」



「……貸し出し料も取るっすからね。」




「わかってるって〜!」




呆れながら服を掴んでいた俺の腕を掴み、服から引き剥がす。


パンパン、とシワになった服を叩いて伸ばし、両腕を腰に置いてから俺を見る。



「それにしてもアンタ、随分とアーシに懐いてるっすよね??前回??でしたっけ?9回繰り返しているって事は前々回もその前もアーシと出会っていたって事っすか??」



「いいや?スカドゥエと知り合ったのも街に辿り着いたのも前回が初めてで一緒にいた時間も数時間程度だよ。」



「そうなんすか??なら割とアンタとアーシが知り合って間もないんすね。……なんでアンタがそんな全面的にアーシを信用するのかちょっと分からないんすけど……?」


眉を歪ませて俺を不思議そうに見る。


確かに今回初めましてのスカドゥエにとっては疑問なのだろう。


でも


「……まぁ、そこはスカドゥエには分からない無くなった世界の話になるからなぁ。興味があるなら話すぞ?」



「………………ないから話さなくても良いっすよ。別に。」



「遠慮しなくてもいいのに。」



からかうように膝でスカドゥエの腰をつつく。


そんな俺に不快に感じたのか、頭を軽くバシッと叩いた後、荷馬車の方へ向かった。


俺もその後に着いて行き、積荷の空いてるスペースへと座る。


しばらくした後、バシッ、と馬を叩く音が聞こえてゆっくりと荷馬車が動き出し景色も変わっていった。


ガラガラと車輪の音だけが聞こえ、気まずい空気が流れている中、俺は口を開く。


今回のスカドゥエとももしかしたら最後までいられないかもしれない。


でもだからと言ってこのまま気まずいまま終わらせたくない。



「……俺とスカドゥエの過ごした時間は短くてもさ、スカドゥエのロット君に対する強い誠実な思いは確実に俺に伝わったんだよ。それが俺がスカドゥエを信用する理由だ。」



できれば他の場面でも誠実であってほしかった、と思ったがそこは声に出さないようにして口を紡いだ。



「それがなんでアーシを信用たる理由になるかいまいち結びつかないんすけど……。」



「俺の事を信用してる奴を信用してるだけのことだよ。なんだかんだ言ってるけど少しは心を許してくれてるだろ?大切な商品の入った荷馬車に乗せてくれるくらいには。」



「うぅん…?」



なんだ、その生半可な返事は……。



そんな一抹の不安を感じながら馬車の揺れに身を任せて風景を眺めていると、ふと思い出した。


ずっと聞けずにいた本来の目的、従兄弟の名前を聞き出すこと、そしてその従兄弟がいる場所に行くことを。


体育座りで座っていた体勢を崩してスカドゥエの座っている方へ行き、早速聞き出す。



「そういえばスカドゥエ、俺の…ロット君の従兄弟の名前って知っているか??前回は聞き出す前に巻き戻ってしまって結局聞けずじまいだったんだよ。」



「え?そんな事っすか??」



「そんな事って……、家じゃ誰も教えてくれないんだよ。両親はそんな奴いないって言うし、使用人は露骨に俺を避けるしで…」



「あぁ……だからアーシっすか……」



スカドゥエはそう言うと納得したような表情をして、ため息を吐いた。



「天才的な従兄弟がいるって事は聞いたんだよ。あと、そのせいでロット君が荒れてたって事もな。……それとロット君は運動音痴の魔法が使えないって事も……。」




「それも前回のアーシが?」



「そうだよ。前回はお世話になったよ。ありがとな。」



「アーシに言われても……。」



「これからもお世話になるつもりだよっ!!商人兼情報屋兼暗殺者さん。」



「そ、そんな事まで知ってんすか?!」



バチコーン⭐︎と擬音がなるイメージでウインクをしながら舌をペロリとだしてピースをする。



そんな俺を見て呆れた後に、自分の隠していたであろう職業がバレていた事に驚きながらもショックをうけて肩を下ろす。



「前回のアーシ、すげぇゲロってるじゃないっすか……。そんな事まで喋るなんて……めちゃくちゃチョロくないっすか??それ、ほんとにアーシだったんすか?」



と、終いには俺を疑い出した。



確かに、やけに自分の情報を開け渡してくれた前回のスカドゥエと今回のあまり懐いてくれないスカドゥエの性格の差に少し違和感を感じる。



そこまで考えて、思い至った。



「……多分だけど、前回のスカドゥエが素性を明かしたのは別に俺を信用したとかじゃなくて、素性を明かしてもその後俺を処分するつもりだったんじゃないか?ほら、死人に口無しって言うだろ?これから死ぬやつに情報を渡してもその情報が流れる事はないし、逆に自分の情報を与える事で相手に情を与えて隙を作る事もできる。それじゃないか??」



スカドゥエはあの時点では俺のことをまだ信用していなかった。


きっと、完全に俺を信用したのは俺の素性を全て明かしたあの時だ。


それ以外は、いつ仕留められるように準備はしていたのだろう。


何もしない、とか言っておいてガッツリ俺の命を狙っていた事に若干腹が立ってきたが、もう過ぎた過去だしそのスカドゥエもいなくなってしまった。



「あぁ、それなら納得したっす!!確かにアーシならそうするっすね!!」



先ほどの落ち込んだ態度とは打って変わって背筋が伸びて生き生きとしだしたスカドゥエに少し不満を感じる。


予想で言った事だったが、その本人が肯定した事で予想が本当だった事に少しだが落ち込む。




「ちょっ、俺ちょっと落ち込んでるんですけどっ!!本人の前でそれを肯定するのは良いとしてそんなあからさまに喜ぶのは控えてくれない?!」



「知らないっすよ!坊ちゃんの気分なんてアーシには関係ないっすからね〜。」



ルンルンに上機嫌になったスカドゥエを横目にため息を吐く。



「……まぁ、良いか。確かに俺のことより他にやらなきゃいかないことがある。」




話がそれてしまったが俺が1番気にかけなくてはいけないのはそれじゃない。



「教えてくれないか?ロット君の従兄弟について。」



「あ、そうっすね。それが知りたいんでしたっけ??」



そう言った後、スカドゥエは親指と人差し指で輪を作り下品な笑みをしながら俺の方を向く。



「アーシは情報屋でもあるっすからねぇ。もちろん、取るっすよ?」



「あぁ、そうか…うん、分かったよ……」



ぬ、抜かりねぇ……


ちゃっかりお金を取ろうとするスカドゥエに引きながらしぶしぶ取引に応じる事にした。



「あざーすっ!!」



前回は普通にお金無しに教えてくれたのになぁ、と前のスカドゥエを懐かしくも寂しくもなりながら大人しく荷馬車に揺られ、街へと向かった。







読んでいただきありがとうございました!

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