ロット君と商人6
長くなるので二つに分けます(゜ロ゜; 三 ;゜ロ゜)
コイツらいつになったら街に着くんでしょうね?笑
俺の正体を信じてくれていたと思っていたらまさかのずっと疑われていた件について、
いや怖いんだけど…
こいつ、今までどう言う気持ちで俺と一緒にいたの??
ビクビクと震えている俺の前で、糸目の行商人兼情報屋兼暗殺者のスカドゥエがケロっとした顔で俺を見つめている。
その顔はまるで、何をそんなに驚いてるの?と言っているかのような、そんな表情をしていた。
そんな不思議そうにしているスカドゥエとは裏腹に、俺は内心ショックを受けていた。
打ち解けたと思っていたのは俺だけで、心の中では警戒していたって事?!
つまり、なんか妙な事をしたら容赦なくぬっころす⭐︎とか思ってたって事だよな?!
と、ここでふと数分前までの自分の状況を思い出した。
中身がロット君じゃない俺に容赦なく顔に突き出されたナイフに、本気の胴体蹴り。
いまだにズグズグと痛む横腹にそっと手を添える。
あぁ、そういえば俺、こいつに殺されかけたんだった。
あ〜…と遠い目をしながら空を見上げる。
チラリ、とスカドゥエをみてから少し距離を取るように離れる。
「え?!ちょ、なんで離れるんすか?!」
「あ、イエ、オキヅカイナク……」
「何もしないって言ったっすよね?!」
そんな俺の行動を見て、心外だ!というようにスカドゥエが慌てて言い訳をはじめた。
「いやいやいや、よく考えてみてくださいっす!普通信じないっすよね??自分の親しくしていた知人の死体を勝手に使って操って、挙句の果てには自分は神の使いだ〜なんていう奴の戯言なんか誰がしんじるんっすか?!怪しさプンプンからの何が目的なのか分からなすぎて思考が停止したっすよ!!逆に聞くっすけどアンタは信じるんっすか?!」
「え、そりゃまぁ……」
そう、言われて想像する。
俺がスカドゥエと同じ立場で考えてみる。
「………信じないな………。」
「でしょう?!」
ズイッと自分の顔を俺の顔まで近づける。
そんなに、食い気味にこなくても……
近距離まで近づいてきてスカドゥエを手で押しのけてから、再び思惟する
確かに、他人の目線から見ると怪しすぎる自分の行動にスカドゥエの意見に同意した。
俺も同じ立場だったら間違いなく警戒するし、信用なんかもってのほかできない。
俺がそう、同意したのを皮切りに今まで溜め込んでいたのか、堰をきるように俺への不信感を隠す様子もなく、叫び出した。
「本当に神の使いかってくらいに死にかけのボロボロだし!」
「だから、それはお前のせいな?」
「驚くほど弱いし!!」
「だから、それも元の身体の持ち主の運動能力が比例してるって言っただろ。」
「どんな力使うのか聞いてもはぐらかされたし!!」
「ぐっ!!!!」
1番痛いところをつかれてギクッと、肩があがる。
俺の力、加護の力はどのような力なのかはわかるが、実際、どのように使うのかが分からないから説明のしようがない。
運命を書き換える力がある!と言ったとしても、使い方が分からず、書き換える力を行使ができない。
そんな俺の姿をみて、やっぱり嘘をつかれたと思われ、ますますスカドゥエとの心の距離が開いて行くのが目に見える。
どう言えばいいか迷っているとスカドゥエがあの、と控えめに手を挙げ、口を開く。
「とりあえず、嘘はやめてもらっていいっすか??」
「それも俺のセリフな??」
盛大な特大ブーメランにお前が言うな!!!と思わず叫びそうになったが、グッと留めてと心の中で叫んぶ。
「言っとくけどな、俺がお前に言った嘘は自分がロット君だって言ったことだけだ!!他に嘘なんてついてない!!」
実際には自分がロット君だ、とは言ってないがロット君のように振る舞ったから、スカドゥエにとっては騙しているのと同じだろう。
それに、と言葉を続けてビシッとスカドゥエの方に指を差して告げる。
「さっきから嘘をついてるのは、お前の方だ。」
と、俺の言葉に不快を感じたのか、眉がピクリと動いた。
「スカドゥエの、本職とか、そういう素性は本当の事だと思う。だけど、嘘をついてるっていうのはそういう事を言っているんじゃない。」
そう言って、自分の手を見る。
緊張しているのか、俺の発言に怒りを感じ警戒している目の前の相手に恐怖しているのか自分でも分からないが、若干震えている。
フゥ、といったん深呼吸をし、緊張して強張っているであろう己の顔をほぐすように自分で自分の顔を叩く。
いきなりの俺の奇行に驚き、顰めていた眉が一瞬元の形に戻った。
「スカドゥエの本心が知りたいんだ。嘘じゃない、取り繕った言葉じゃない本当にスカドゥエが思っている言葉を俺は聞きたい。」
そう言ってスカドゥエを見る。
俺とスカドゥエの目があい、一瞬で目を逸らされた。
目があったのは一瞬だったが、スカドゥエの目は、困ったような迷いのある目をしているのが見えた。
やっぱりこの言葉だけではスカドゥエに信じてもらうには難しいだろう。
どうしたらいいか、考える。
そして
「俺の名前は赤井 伊吹。最初の人生は日本という世界で生きていて、カラスが持っていた鉄製の定規が頭に刺さって16歳で死んだ。」
「………………は?」
俺は話せずにいた自分の素性を正直にぶちまける事にした。
「俺はロット君の体に入ってくるまでに7回死んで、今回で8回目の人生だ。歳はこれまでの人生合わせて157歳だ。」
「え、ちょっ」
「だから、俺はお前より大分年上だってことは覚えておけよ!!そんで、今までの転生してきた世界の話をするとクソ長くなるから省くな。知りたかったら後日話す。」
「いや、だからまっ…」
「お前が1番知りたい事は、俺の力だろ?」
困惑しているスカドゥエの事を無視しつつ、俺は話しを続ける。
「俺の力は、世界の決められた運命を書き換える力……の1部を扱う事ができる…ハズ……。」
「なんっすか…1部の力を扱えるはずって…。」
困惑したままの表情で俺の話しを聞き、呆れるように言葉を吐く。
「その力を使ったことないからな。」
「はぁ??」
「使い方を教えてもらってないんだよ。でも、実際この目で世界の運命を書き換える所は見た事あるし、俺も使えるって言われたから使えることは使えるんだろう。」
アーカイブ(仮)がやっていたように、手のひらをグッパッと広げたり閉じたりしてみたが、やはり何も反応しないし、何か反応する気配もない。
「…………それ、アンタの妄想って可能性はないんすか??」
「……そう言われると思ったからこれを言うのを躊躇ったんだよ。」
ハァ、と深いため息を吐き、スカドゥエを見る。
「だから、証明しろって言われても証明できないんだよ。」
ほら、と言いながら手のひらをスカドゥエに向ける。
「俺をこの世界に送ったくそったれな神はこういう風に手のひらを広げたら本が出てきて…」
「??なんか出てきたっすよ?」
「え?」
スカドゥエに言われて自分の手のひらを見る。
すると、確かに何かが手のひらに浮いていた。
「こ、これは………」
みると、本……………ではなくて紙の束が一本の紐で纏められている物が俺の手のひらの上に浮いていた。
薄さで言えば、学校で配られる修学旅行のしおり並みの薄さだ。
「え、もしかしてそれがアンタの力?なんすか??」
しょっぼ……と聞こえた気がするが、スルーする。
「え、分からん…。神が出してたやつはもっと分厚い本だったんだけど……。」
そう言って紙の束を手に取る。
パラパラとめくると、そこには文字が書いてあった。
「っ!!3日の15時……ロット・フォン・アスタが死ぬ……、こんな人の死がざっくり書かれてんのか??」
「3日、15時……、ロットの坊ちゃんが死んだ日と時間…。」
スカドゥエが何かに気づいたように、ハッとして俺の顔をみて、肩を掴む。
「そういえば、アンタ、言ってたっすよね?!アンタの力は運命を書き換える力って!なら、ロットの坊ちゃんの死んじゃう運命を変えることだって…!!」
キラキラとした、期待した目を向けて話すスカドゥエの姿とは正反対に俺の心と目線は下がって行く。
あぁ、言うと思った。
この後どんな風にいえばスカドゥエが納得するだろうか?そう考えると頭が痛くなった。
ありがとうございました!
今年も更新続けて行く予定ですのでよろしくお願いします!!




