ロット君と商人4
なかなか街に行けないですね笑
「イッテテ……。」
ガタガタと揺れる荷馬車の中、俺は数十分前に負わされて怪我を負った自分の体の傷の手当をしていた。
腕や足は擦り傷だらけになっており、腕や足も転んだ際に強くぶつけたのか青いあざがポツポツできている。
チラリ、と1番痛みのする箇所を見た。
アーシ(仮)もといスカドゥエに思いっきり蹴られた横腹は青いを通り越して赤黒く、あまりジッと見ていたくないほどグロく変色していた。
よく生きてるな、とロット君の体の強さに感心しながらぐるぐると固定をするように包帯を撒く。
数分前までは息をするだけでも全身にズグズグと痛みが走っていた体だが、今では少しだけ痛みが引いている。
…………まぁ、すごく痛いのは変わりないのだが………。
ハァ、と、今生きている奇跡を噛み締めながらため息をする。
すると、
「坊ちゃん、街が見えてきたっすよ!」
「っ!!!!」
スカドゥエの声で顔を上げる。
髪の毛を整えて、頬の傷にガーゼをはり、ボロボロになった服を着替えてから荷馬車から顔を出して外を見た。
「おぉっ〜〜!!」
木と畑と野原しか見えなかった道の向こう側をジッと見てみると民家の屋根らしきものや、教会の屋根など立っているのがチラホラ見えた。
「っ!!街だぁっ!!!!!」
「っ!!うるさっ!!!ここではしゃぐのは良いっすけど、ちゃんとアーシが言ったこと、守ってくださいっすよ?!」
「わ、分かってるよ…!!」
この世界にきて初めて見る街に興奮のあまり、スカドゥエの真横で大きな声で叫んでしまい、叱責される。
危ないっすから大人しく積荷の所へ戻って座ってろっす!!と言われ、すごすごと荷馬車の中に戻り、俺は、数十分前の出来事を思い出した。
――――――――――――――――――――――
〜〜〜〜約40分〜〜〜〜
「――――と、お互いの素性が分かったところで、早速、街に向かって出発しよう!!」
パンッと手を叩き、にスカドゥエに街へ行こうと促す。
手を叩いた時に先ほどの戦闘で負ったダメージが地味に身体中に響いたが、それを誤魔化すかのように荷馬車の方へ足を進める。
が、
「いや、何回言ったら分かるんすか。行かないっすよ。」
というか、まだその話続いてたんすか?と呆れた顔をして片方の手を腰に置き、ため息を吐かれながら普通に拒否られた。
「えっ?!何で?!今行く流れだったじゃん!!」
「いや、そんな流れどこにもなかったっすけど?!」
いやいやいや、と手を顔の前に振りながら否定するスカドゥエに、えぇ〜っ!!と口を尖らせてながら、ギッと睨む。
だが、スカドゥエはそんな俺には気にもせずに頑固として俺の要求に応えてくれる事はなかった。
ここまでお互いの事を話して、こんなにも説得(?)したのに頑なに了承してくれないスカドゥエに不信感を抱く。
どうしてそこまでして拒否するのだろうか?
商人なら、領民は大切なお客様だ。
それなのに行かないのは何かの理由があるのか?
そう考えてると、あ、と1つの考えが頭に浮かんだ。
もしかして、行かないんじゃなくて、行けないと言う事か?
ロット君とスカドゥエは悪徳商業をしている、と言っていた。
売りに出している商品を通常の価格よりも倍高く売りにつけて、そうして儲けた金を2人で山分けしていた、と…
つまり、横領である。
もしかして、これから行く街にもその悪徳商業をやっていたのだろうか?
そして、それが領民にバレてしまって出禁になってしまった……。
これが理由とするならば頑なに街に行こうとしない理由も釈然とする。
なるほど、そう言う理由なのか!!
スカドゥエの方を向き、ニコ、と微笑む。
そんな俺を見たスカドゥエは気味の悪いものでも見たかのように顔をギョッとさせ、怯えた表情で俺と距離を取るように後ずさった。
「な、何すか…その不穏な笑みは……。」
「スカドゥエ、分かったよ。お前が街へどうしても行こうとしない理由。」
「わ、分かってくれたんすね…。それはそれは、ありがとうございやす。それじゃ、アーシはもう行くっすね……!!」
「ちょっと待て。」
素早く逃げようとしたスカドゥエの腕をすかさず両手で掴む。
身体中に激しい痛みが走ったが、そんな事は気にしてられず、必死にスカドゥエをその場に引き止まらせる。
「おーねーがーいー!!!おーねーがーいー!!」
「いーやーっすー!!いーやーっすー!!!」
優しくも強い日差しが降り注ぐお昼すぎ
俺は綺麗に整備されている道のど真ん中で笑顔が胡散臭い悪徳商人兼暗殺者兼情報屋のスカドゥエと
「街まで連れてって!街まで連れてって!街まで連れてって!街まで連れてって!街まで連れてってーーー!!!」
「嫌だったら嫌だったら嫌だったら嫌だっーーーー!!!! 」
2戦目となる、互いに譲れない戦いを繰り広げた。
「えぇ?!アーシの聞き間違えっすか?!アンタ、アーシが街へ行かない理由が分かったって言ってたじゃないっすか!!」
掴まれている腕を何とか引き剥がそうとして、俺の腕を掴み、引っ張る。
しかし、先ほどの戦闘で傷を負った俺の腕は血だらけになっており、腕を掴んで引っ張っろうとも手が血で滑って強く引っ張れずにいた。
「いってぇ!!何すんだよ!!俺は領主の愛息子だぞ!!こんな事しても良いと思っているのか?!!」
「しらねぇっすよ!この偽物!!!ロットの坊ちゃんの体を勝手に使いやがって!!地獄に落ちやがれ!!」
「残念でしたぁ!!俺が死んで行くところは神のいる神界でぇすっ!!!」
「ファァッ!!!?このクソガキィッ!!!」
低レベルのレスバトルを繰り返しながらも俺たちは互いの要求を押し付け合い、口論をする。
「アーシが街へ行かない理由分かったんじゃなかったっすか?!それなのに何で行かそうとするんすか!!?」
「ああ!!理由は分かった!!行けない理由も理解した!!だが行かない理由にはならねえ!!」
「何も理解してねぇ!!コイツっ!!!」
ギャーギャーと言い争いをする事、十数分。
一向に互いが互いの要求を譲らない状況が続き、終わらない話にキリをつけようと、スカドゥエが切り出す。
「あぁ!!もうっ!!話していてもキリがない!!いいっすか?!これは、アンタの為でもあるんすよ!!!」
「!?……俺の為?」
「そうっすよ!……ロットの坊ちゃんの名誉の為でもあるんすけど……」
「……どう言う事だ?」
言っている意味がまだいまいち理解できずにいる俺を見て、スカドゥエがうーん、と唸るような声を出す。
チラリと俺の姿を見た後、眉間にシワを寄せ、口を方手で覆い、黙り込む。
そして、何分かたった時、何かに迷っていたスカドゥエが意を決したように、よし、と言い、俺に向き合ってから口を開く。
「アンタ、ロットの坊ちゃんがどうして死んだか分からないって言ってたっすよね??」
「え?あ、あぁ。言ったけど……。」
以前、母親と父親に自分が倒れた理由を聞いたが、それとなく話を逸らされたり、流されたりして結局聞かずじまいだった。
でも、それが今回の街に行く、行かないの話に何か関係があるのだろうか?
疑問に思い、首をひねる。
「でも、それと街に行かない理由って何か関係あんの??」
「ありよりのありっすよ。むしろ、これが1番の理由っす。」
「?……スカドゥエが街に行かないのってその街で悪徳商業したからじゃないのか?」
「いや、まぁ、それもあるっすけど……。」
あるんかい。
少し気まずそうに顔を下げて、そしてポソポソと告げる。
「ロットの坊ちゃんが街で起きたあの事故で倒れた事で怒った領主様が責任取れ、と街の住人が2人、処刑されたんすよ。」
「………………………処刑??!!!!」
いきなり出てきた物騒な言葉に度肝を抜かす。
処刑ってあの処刑?!
首チョンパ、体チョンパのやつっ?!!
驚きで体を硬直させている俺など気にせずにスカドゥエはロット君の死んだ事故について話し始めた。
「そう、すべての始まりは、あの時、1人の旅人がアーシ達の店に現れた事から始まったっす。」
「な、なに?その壮大な話が始まるような話し方…。怖いんだけど……!!」
それからスカドゥエは詳しく話してくれた。
ロット君が、死んだ事故の全貌を、その悲劇を。
次回はロット君の死の真相がわかります!笑
読んでいただき、ありがとうございました!!




