チート能力を手に入れ……てた!!
長いので2つに分けましたっ!
「えええええぇえぇぇぇえええぇええええ?!!!」
「うるさっ?!!」
キィィィィンと耳なりがし、とっさに両手で耳をおさえ、叫び声の主を睨む。
バチっとお互いの目が合ったかと思ったらその瞬間、まるで貞◯のように床を這いつくばりながらアーカイブ(仮)が近づいてきた。
あまりにもの気持ちの悪いその動きにギョッとし、思わず足がすくむ。
それを狙ってか狙ってないかは定かではないがチャンスッと言うようにアーカイブ(仮)が俺の足元まですぐさま飛びつき、両足をガシッと掴みながら泣き叫ぶ。
「どぉじでだよぉぉぉおお!!!君、私の力がすごいって言ってたじゃないかぁ!!めちゃくちゃチートやん!!って目をキラキラさせながら言ってたじゃないかぁぁ!!」
うぉぉおおおんっ!と俺の足に顔をスリスリと押しつけながら情けなく声を上げて泣き始めるアーカイブ(仮)にドン引きしながらも、今まで言えなかった不平不満をこの際だからぶちまける。
「どうしてもこうしてもないっ!!もう十分なんだよ!!俺はもう死にたいのっ!!前世の記憶なんていらない!!俺は俺と言う個を終わらせて新しい個として人生を送りたいのっ!!」
「せっかく私の力と君の加護の説明をしたのに力を試さずに還るのかい?!加護を貰うだけもらって用済みになったら捨てるのかい?!最初から私は君にとってただの使い捨ての神にすぎなかったのかい?!!」
「何言ってんだおまえっ!!?」
いや、そもそもはおまえがミスして死んだ俺にお詫びとしてくれた加護だよな?!
変な言いがかりはやめろ!!
謂れのないことを言われて頭が混乱する。俺、そんな酷い事言ってるか??
それに、使い捨てのなんだって??
それはこっちのセリフだ!!
せっかく異世界に転生しても絶対に何かに巻き込まれて、解決したと思ったら世界から排除されるかのようにあっけなく命が終わる。
なので、転生してから今まで寿命で死んだ事は1回もないのだ。
「ふざけんなっ!!俺が使い捨てのコマみたいな扱いされてるんですけど?!!世界の危機を救ったら用無しだと言わんばかりに死ぬんですけど?!!」
「はぁ?!!そんな事、あるはずないじゃないか!!君は私の大事な眷属なんだよ?!」
「け、眷属ぅ?!!!」
新しい単語が出てきて混乱している頭に更に「!?」が増えた。
いつのまにかアーカイブ(仮)の眷属にされてた事に驚きと怒りが湧き上がって来る。
そういえばこうやって目が覚める前、目覚めよ、我が眷属よ〜…っていってた気がするっ…!!
「眷属ってなんだよ!そんなものになった覚えはないぞっ!!!」
「なった覚えがなくても私の加護を受け取った時点で君は私の眷属となったんだよ!加護を受け取ったという事は、眷属になるのを同意したって事と同義だからね?!」
「なんだその詐欺会社がしてそうな手法っ!!」
「ちょっとっ!!詐欺だなんて人聞き…いや、神聞きが悪いっ!!」
「人でも神でもどっちでもええわ!!!」
いつまでも泣いて足にくっついて離れないアーカイブ(仮)を無理やり手で引きはが……引きは……意外に力強いなコイツ……引き剥がす。
ベリッと音がしそうな程、勢いよく引き剥がすことができて、とりあえずホッとひと息つく。
そして本題にはいる。
「とりあえず、もう加護もいらないから死なせてくれない?」
「そんな、君はまだ若いんだ!死ぬのは早いよっ!!」
「何言ってんだよ。はじめて死んだ時の年齢含めて合わせたら157歳の大往生だぞ。もう十分生きたわ。」
16歳で死んで、それから転生を7回繰り返した。1回目は20歳、2回目は22歳、3回目は18歳、4回目は10歳、5回目は28歳、6回目は14歳、そして最後は29歳。
記憶力が無駄に良くなったせいか、死んだ時の年齢を今でも鮮明に思い出せる。
こんなどうでもいいことでも記憶に残るのか…。やっぱこの加護いらないな…、と改めて思う。
事象を書き換える力を使えるとしても使う場面がないし持ってても特にメリットもなさそうだ。
……………デメリットはありそうだけど。
チラリと包帯だらけのアーカイブ(仮)を見る。
顔の左側、頭や、腕、身体にところどころに包帯が巻かれていて、見た目はミイラのお化けだ。
アーカイブ(仮)は禁忌を犯して包帯だらけになったって言っていたな…。
「ところで、なんの禁忌を犯したらそんなボロボロの姿になるんだ?」
いつのまにかいじけてうずくまっているアーカイブ(仮)に疑問を問いかける。
「ん?あぁ、禁忌の話もまだしてなかったっけ??」
よいしょ、と言って立ち上がったアーカイブ(仮)が腕をあげ、手のひらを広げる。
すると、そこから1冊の分厚い本が現れた。
見覚えのある動作にあれ、と思いつつアーカイブ(仮)のやる事を黙って見つめる。
「これは、何の変哲のないとある上位神が作った世界の運命の本だよ!」
ジャーン!といいながらその本を俺の前にもってくる。
そして、パラパラと本をめくる。
全てのページが真っ白で綺麗に文字が並べられている本だ。
特にバグがあるとは思えない。
「よし、ここだっ!!」
ある程度パラパラめくっていると、あるページでめくるのをやめ、指を差し、文字をなぞる。
なぞった文字は空中にうき、そのまま球体となった。
球体の中には貴族?の女の子写っている。
「は?このページ白いけど?バグが発生してるのか??」
「え?してないけど?」
「……はぁ?」
「まぁ、見ててよっ!」
そう言い、ウキウキしながら空中で何やら文字を書き、そして、空白となったページに書いた文字を吸収させた。
すると、球体に写ってる女の子がいきなり叫び出した。
『わ、私、乙女ゲームの悪役令嬢になってるぅ??!!!』
「!?」
女の子がそう叫んだ後、球体は弾けてそのまま空気に溶けるように消えていった。
「と、いうように本来は死ぬ運命を辿る人間の未来を書き換える事が禁忌なんだぁ。」
「……神様の仕業だったのか?」
「?何が??」
知らなかった。悪役令嬢がいきなり前世の記憶を思い出して未来を改変する小説があるけどこれってアーカイブ(仮)の仕業だったのか。
「これがいい感じの嫌がらせになってねぇ〜、世界を造った上位神の驚く顔がこれまたおっもしろいんだよぉ!!気に入った聖女の女の子が害悪になって、害悪のはずの令嬢が逆ハーレムしてる姿をみてオロオロするあの姿……あ、思い出してきたら笑えてきた…っ!クフフ!!」
やはり神様というものは暇なのだろうか。
クフ、クフフ!と気持ち悪い笑い声を上げているアーカイブ(仮)を呆れた目でみる。
「……っぐぁっ………!!」
ジト目でアーカイブを見ていると、いきなり短い悲鳴をあげその場に崩れおちる。
頭を両手でおさえ、目をきつく閉じ、身体を丸め、痛みに耐えるかのように、震えてていた。
「なんだ…?!…っ!!」
かろうじて見える包帯を巻いていない白い肌が、ジワジワと黒く染まる。
白い肌がジワジワと黒く染まるたびに、アーカイブ(仮)の声にならない悲鳴があがる。
数秒か、数分経ったあと、黒い侵食が止まり、痛みも多少止まったのか、アーカイブ(仮)はフラフラと立ち上がり、話を続けた。
「こういう風に、人の生死の書き換えは禁忌なんだぁ…。禁忌を犯したらこんな風に禁忌の印を身体に刻まれる。」
そう言って、黒く染まった腕を俺に見せてきた。
「君も見たように、これがすっごくいたいんだぁ…。だから運命を書き換える時は気をつけてねぇ。」
えへ、と俺を見て笑う。
そして続けて言ってきた。
「少しの運命の書き換えは、禁忌に触れないから大丈夫だよぉ……。例えば、むかつく人間を、石につまづかせる、とかぁ……。」
「お、おぉ、もう説明はいいから休めよ……。」
フラフラと今にも気を失いそうにも関わらず説明を続けようとするアーカイブ(仮)にまたもやドン引きする。
神様ってみんなこんななのか…?
だとしたら嫌すぎるんだが……。
「おや、そうかい…?なら、眷属を続けてくれ…」
「いや、それとこれとは話は別だろ。」
ガーンと、青い顔が更に青くなった気がしたが、俺には関係ない事なのでスルーする。
そんな俺の意思の固さに心が折れたのか、ハァ、と深くため息を吐いた。
「君の主張はわかった。残念だけど、諦めるよ。」
「?!本当かっ?!やっと俺は解放されるのか?!」
「うぅん…。」
何だその不満そうな声は。どっちだよ。
「だけど、お願いっ!!後1回だけっ!あと1回だけ私が選んだ異世界へ行ってくれない?!」
「はっ?!何で?!」
「運命を変えちゃった世界があって…、その世界が今、危機?というか未来がない状態になっちゃってるんだよ。だから、それを解決しに行ってくれないかい??」
「はっ?!どゆこと?!!」
「実はね、あまりにも可哀想な悲運の子がいたから、その子の運命を書き換えちゃったんだよねぇ。
んで、書き換えちゃったのはいいんだけど、その子の元の運命力が強すぎてなかなか死ぬ運命を変えられなくて、今でも世界が同じ時間を繰り返してるって状況なんだぁ。」
「………もっと悲惨な状況になってるじゃねぇかっ!!」
って事は自分が生きてる未来に辿りかない限り、ずっと死に続けるって事か?!!かわいそうがすぎるっ!!
「私も何とかしたいけどねぇ、個人的な理由で運命の書き換えをしたらその世界の運命の本の所有権を失ってバグが起こった時意外、2度と書き換えができなくなるんだよぉ。あっ!君はもちろん書き換える事はできるよぉ!!でも、人の生死の書き換えはもうできないけどねぇ、」
人の生死以外の書き換えは出来るってことか……
「バカなのかな?この神は。」
「お願いっ!!お願いっ!!!この悲運な子を助けてやってくれないかい??この異世界へ行ってくれたら次に会った時、私の眷属から君を外すからっ!!」
両手を顔の前で合わせてお願いっ!!と頭を下げるアーカイブ(仮)に若干、いや、だいぶ呆れつつ、不承不承そのお願いを受け入れることにした。
これで、この異世界転生生活から解放されるなら、と。
「………しょうがない。これで最後だぞ?これが終わったら神様の眷属から外れて俺を死なせてくれよ?!」
「っ!!わかったよっ!!約束するよっありがとうっ!!」
ありがとう、ありがとう、と俺の手を泣きながら握り、アーカイブ(仮)が何かを唱える。
「それじゃ、また、ね。」
何か深みの感じる言い方に感じたが、まぁ、いい。
さっさと悲劇の繰り返しを終わらせて、俺も終わらせるんだ。
そう、視界が暗くなる中、意気込みをし俺の意識はプッツリと消えた。
読んでいただきありがとうございましたっ!




