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拝啓、くそったれな神様へ  作者: なっなな〜
何度目かの世界
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くそったれな神様へ

小説はじめての初心者です!((〃´▽`〃))

色々とおかしな文があると思いますが、温かい目で見ていただけると嬉しいです!


よろしくお願いします!(p`・ω・´q)★




 あぁ、どこで間違ってしまったのだろう…?




 俺は何処か遠い目をしながらこれから起こるであろう面倒事をどう対処すれば良いか必死に頭を回転させていた。




「賢者ユーティスと勇者達に栄光あれ!!」


「「「賢者ユーティスと勇者達に栄光あれ!!」」」



 国王が王杖を天に掲げ、大きく声をあげた。それに続く様に国民も叫ぶ。




 ワアァァァァァァ!!



 

 大きな歓声が響き渡る。みんな幸せそうでその瞳は正に希望で満ち溢れている。


 それもそうだ。なぜならこの世界の異端分子であり、恐怖と絶望の象徴である魔王が倒されたのだから。


 いやはや、本当に良かった。世界平和万歳。



「だけどなぁ……」



 俺的には全く平和ではないのだ。


 いわばこれは俺の死活問題に関わる。


 あぁ、俺は何て事をしてしまったんだ。


 今更ながら後悔する。やっぱりあの時力を隠しておけば良かった。


 そうすればこんな事にはならなかったのに。


 ハァ、とため息をつく。


 前方には満面の笑みを浮かべる国王がいて、後方には勇者達とその仲間達がいる。


 「いやぁ、本当にユーティスがいてくれて良かった!」


 と、勇者が「賢者」ことユーティス(俺)に言ってきた。

 

 顔が引きつる。勇者のキラキラな笑顔が眩しくて直視できない…!!

 

 その笑顔を見るたびに俺の良心がつき刺さる。


 (ごめんな、俺、本当は魔王を倒すつもりはなかったんだ。というか魔王が倒れたこと事態が予想外だったんだ…)


 そう思いながら俺は今までの事を振り返った。




 ――そう、これは俺がまだ農民だった頃に遡る。




 俺はいつも通りにのどかな農民スローライフの最中だった。


 だがしかし、魔王軍達が突然攻め込んできやがった!


 いきなり命を脅かす奴らがやってきたんだ!のんびりなんかしてられないだろ?だから俺は自分の持ってる能力を最大限に活かして魔王軍を撃退したわけ!


 おかげで村は守れたし、少し畑やら森やらは破壊されたけれどこれから生活していくのには問題はなかった。問題はなかった、が、



 別の問題はあった。



 村の損害はあまりないものの、魔族の侵略によって怪我を負った者や、命を落としかけている者が少なからずいた。


 一応共に日々を過ごした人達が目の前で死んでいくのを見ているだけなんて心苦しい。しかも、俺は命を救う方法を知っている。


 知っているから救わないわけにはいかない。これ以上能力を出したら今までのようにスロー農民ライフが送れないかもしれない。だけど俺自身の能力は魔王軍を退けた事であらかた村民にはバレてるし、今ここで出し惜しみしても意味がない。


 能力についても後でみんなに口止めさせれば良い。それに俺が生まれた村は都会より大分離れてるし、万が一村人が口を滑らせて話したとしてもこんな田舎ペーペーの話なんて都会の人間が素直に聞き入れるわけがない、と甘く考えていた。



 だがその半年後、そいつらは突然やってきた。



 やはり口を滑らせた者がいたらしく、なんとこの村から1万キロ離れた王都まで俺の活躍が伝わったらしい。


 ほんと、口を滑らせたやつを殴りたくなったよ。まぁ、実際殴ったが…


 そんなこんなで俺は拒否権なく生まれ育った村から泣く泣く出る事となった。将来お嫁さんになって欲しかった可愛い幼なじみがいたのに……(泣)


 そこからは俺の快進劇(不本意)が始まった。


 俺が王都へ着いた時にはすでに勇者メンバーは揃っていて、俺は賢者としてメンバーは加えさせられた。


 俺の知恵を貸してやってほしい、村を救ったようにこの国を、世界を救ってくれ、と。


 この時点で俺の歳は14だった。たった14のガキに何を頼んでんだよ!賢者とか荷が重すぎるだろ!


 とか思ったのだが、なってしまったのは仕方ない。


 俺は頑張った。発展の乏しかった国には技術を教え、治療薬の製造が少ない国には薬草の栽培と増殖方法を教授し、魔法が苦手な人達には体術や魔力操作などを指導した。


 結果、ほとんどの国や人たちはなす術なかった魔王軍の侵攻を見事食い止めることができた。よかったね。


 さて、ここまできて疑問に思うだろう。結局俺の能力はなんなのか、と。自慢ではないが俺は普通の人間だ。魔力も普通。特別秀でた部分は何もない。


 だが一つだけ、人とは違う俺だけが持つものがある。


 それは、「前世の記憶」だ。


 俺は今世生まれた記憶とは別に前の前世の記憶を持っている。しかも一つだけではない。その前の生もその前の前の前の…とまぁ数え切れないほどの前世の記憶を持っている。


 これが俺が「賢者」に任命された所以なのだが…


 俺は自分の事を全く「賢者」だとは思ってない。


 いわばこれはズルなのだ。だから俺はきちんと説明した。これを創案したのは別の人物で俺ではない、と。


 なのに周りは俺を賢者様ともてはやし、助言を乞う。ここはどうしたら良いのか、日照りが続いている地域に雨を降らすにはどうしたらいいのだとか、明日は魔物はどこに出るのかだとか…


 正直知るかよそんな事、どうでも良いしどうにもならない。これしか言いようがない。

 

 俺にあるのは自分で見て、聞いて、感じた、膨大な記憶だけ。知らない事は知らないし、未来に起こることなんて予測もできやしないただの一般人だ。


 そもそも俺が賢者だという認識がおかしいのだ。(まぁ、王が俺を賢者へ任命したから賢者と言われるのは仕方ないと言えばしかたないのだが…)俺は覚えている知識を知らない者に教えただけであって、発案したわけではない。


 あくまで情報を提供したにすぎないのだ。


 なのに奴らは俺を崇め奉る。正直やめてほしい。俺はそんな大層な人間じゃないし、ましてや賢者でもないのだ。何度そう言っても理解されない。それどころか、



「いやいや、ご謙遜を…」

 

 や、


「賢者様は聖者でもあるのですね!」



 なんて言ってもっと持ち上げてくる。もう何を言っても俺の言葉は神のお告げみたいに捉えられてしまうのだ。


 それに、俺の最終的な目的は現状維持だ。もしくは魔王の封印。


 魔王を倒す気なんてさらさらなかった。


 だから賢者だなんだと俺を崇め奉る人たちを見ると罪悪感が半端なく俺の心を襲いかかってきた。


 だが、そんな事気にしてもいられない。なんせ俺の今後の生活がかかっているからな。



 そんなこんなしているうちに俺はついに魔王を適度に弱らせ、尚且つギリギリのライン生きられる理想的な魔道具を作り出すことができた。


 あの時は本当に嬉しかった。目の前がキラキラに輝いていたよ。やっとこの長い戦いが終わり、俺の農民スローライフが帰ってくるんだ!と思ってたから。

 

 そして、ついに魔王との決戦の時


 俺の希望はあっけなく絶望に変わった。


 仲間たちが魔王と対峙している時、隙をついて俺は魔王弱体化爆弾を投げた。


 一瞬眩い光が視界を遮り、目を開けた瞬間――


 魔王が消し炭になり、サラサラと地へ還っていた。


 弱体化じゃなくて砂状化してしまっていた。

 

 もうびっくりしたよ?だって俺が作ったのは確かに弱体化爆弾だったし、砂状化してしまう爆弾だとしても魔道具ごときで魔王が倒れるなんて思ってもみなかった。


 ここで、一つ俺は誤算をしていた。


 魔王様は思った以上に繊細なお体をお持ちだった。


 そこで気づいた事なんだが、強かったのは魔王じゃなくてその部下達だった事がわかった。


 こうして俺は意図せず魔王を倒してしまい、勇者達に感謝されまくりながら王都へと帰還を果たした。


 


 ―――そして、現在。




 早朝から始まった凱旋パレードは夕方になった今でも続いている。この熱はまださめそうにない。


 面倒な挨拶を終え、しつこく迫ってくる奴らをなんとか巻き、1人、与えられた自室でのんびりと過ごす。なんやかんや大変な1日だった。


 フゥ、とため息を吐き今までの事を振り返る。


 生まれ故郷から無理矢理連れ出されてはや15年。もうすぐ30歳になる。


 「俺、頑張ったなぁ。」


 慣れない「賢者」なんかやっちゃってさ、


 できればこの後すぐに村へ帰って幼なじみに求婚したい。そして、出来なかったスロー農民ライフを堪能したい。


 だが、その願いはきっと虚しく散ることになるだろう。


 これが俺が持つ力の代償なのか何なのか、何度も転生しているが未だに分からない。


 「あーぁ、今生はこれで終わりかぁ…」


 あまり力が出ない声を振り絞り、か細く呟いた。


 何でかは分からない。分からないがわかるのだ。俺の命がここで終わる事を。


 何度も経験した、大きな出来事や物事が終わる頃に突然俺は呆気なく死んでしまうのだ。その死に方は様々なのだが…


 俺が魔王を殺さずに試行錯誤していた理由がこれだ。だけど何度転生しても上手くいかない。


 魔王を倒さなければ魔王軍との戦いが延長し、俺の寿命?も伸びると思ってたけれどうっかり?殺してしまった…


 いよいよ身体に力が入らなくなってきた。


 (今回は衰弱死といったところか。)



 それから徐々に俺の視界は暗くなり始める。


 意識が遠のく。


 まだかすかに煌びやかなパレードの音が聞こえる。


 それと同時にこの世界に俺がいなくても全く問題ないと言われているようで少し寂しく感じた。


 こういう時、いつも初めて死んだ時を思い出す。


 そして、届きもしない、出せやしない思いを遠く彼方にいるであろうこの状況に追い込んだ元凶に届くように念じる。


 俺をこんな目に合わせた憎き神様に皮肉を込めて




 「なぁ、くそったれな神様、また俺死ぬんだけどこれもミスなのか?」




 なんて


 そんな事を強く思っても当の本人には届きもしないけど。




見てくれてありがとうございました!(*´°`*)

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