ラストスパートでいってみよう
「なあ、ソラ!ちゃんと説明してくれよ!何が分かったんだ?」
「まずこのイベントフィールドには2種類のモンスターがいる。今回のイベントアイテムをドロップするフォースドガゼルとそれによく似た、多分デミフォースドガゼル的な名前のモンスターだ」
「ん?なんでそんなの分かるの?」
「まずアイテム欄を見てくれ。似たようなアイテムが2つあるだろ?名前を確認すると、一つがフォースドソウル、もう一つがデミフォースドソウルだ。しかも数は圧倒的にフォースドソウルの方が多い。これが何を意味するか……」
「なるほど。このフィールドにはデミフォースドガゼルの数がめちゃくちゃ多いのか。しかも姿も似てる。要するに、数多くいる偽物の中から本物をどれだけ多く狩れるかっていうのがこのイベントの本題ってことだな」
「えぇー!それめっちゃ難しくないですか?そもそもその本題に気付けるかどうかが……」
「そのための救済措置はちゃんと用意されてると思う」
「救済措置?」
「1つはおかしなルールだ。『1ダメージでも』ってのは、たとえ見分けがつかなくて逃げられたとしても、誰かが倒せば貰えるようにするためだと思う。それに片っ端から手当たり次第に倒してもアイテムは集めることができるからな」
「なるほどね。じゃあもう一つの救済措置はあの大きいバージョンってこと?」
「そうだ。あいつらの中に模様が違ったり、角が3本しかないやつがいるだろ?大きいのを見比べさせることで違いに気づかせようとしたんだ」
「はぁ〜、そういうことか〜。よく出来てるな、今回のイベント」
「でも、いつものイベントと勝手が違う気もしますね。こんな面倒なイベントは初めてです」
「そうなの?謎解き的な要素もあって楽しいと思うけど……」
「とりあえずその辺は置いといて、今はフォースドガゼルを狙い撃ちで倒しにいくぞ」
「おう!」
「はい!」
「分かった!」
それから俺たちは正しいフォースドガゼルを見極めながらどんどん倒していった。途中、デミを何匹か倒していることに気付いたが、ペナルティ的なものは無いので気にしない。
「おらおらぁ!ファイアーアロー!!」
「ウォーターバースト!」
「エアロストーム!」
フォースドガゼルたちを倒していく中で、俺は新たなスキルをゲットしたので早速使ってみる。
「ランペイジライト!」
光の精霊剣を高々と掲げると、その刀身から様々な方向へと光のレーザーが放たれる。どうやらこのスキルは広範囲殲滅用のスキルみたいなので、今はとても有難いスキルだ。
「ソラ!なんだ、そのスキルは!めっちゃ強えじゃねえか!」
「さっき手に入れたんだ。なかなか使い勝手が良くて助かってるよ」
「なんかソラさんってたまに非常識ですよね」
「何を言うんだ、カンナ。俺はいたって常識人だぞ」
「自覚ない人は否定するんですよ」
「……まじで?」
「はい、まじです」
「……よーし、どんどん倒すぞ〜!」
「あ、現実逃避しましたね」
「あいつって昔からそういうところあるのよね」
「そうなんですか?」
「私と口喧嘩になると絶対私が勝つから、その度に開き直ってたもんね」
「あー、あー、何も聞こえなーーい」
俺は耳に手を何回も当てて、何も聞こえないフリをする。そしてそのままフォースドガゼルを倒しに走った。
「あーあ、行っちゃった。私たちも頑張りましょっか」
「はい!」
それからイベントの終了時間までフォースドガゼルだけを狙って倒し続けた。試しに大きいのを倒してみたが、これがなんとも見かけ倒しで、HPもドロップも通常のフォースドガゼルと変わらなかった。
そしてとうとう……
『これにてイベントは終了です。転送を開始いたします』
聞き慣れた声とともに転送が始まった。今回は前イベントと違ってプレイヤーとの戦いは無かったが、前のイベントよりも疲れた気がする。頭を働かせすぎたのだろうか。
まあ、何はともあれイベントの謎が解けてよかった。つくづく運営の考えていることは分からなくなったけど。
転送が終わってビギンに戻ってから、俺たちはすぐにログアウトした。イベントの感想を話し合うのは明日でもいいだろう。とにかく疲れたのだ。
こうして収集イベントは幕を閉じた。
連載35回目です。
収集イベントが終了しました。今回は少し特殊なイベントの形にしました。それには裏があったり、なかったりします。ただ、イベントの真意についてはもしかしたら、少し改稿するかもしれません。ご了承ください。
次回は妹たちの登場です。
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