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ハルに任せてみよう



 フォースドガゼルはその発達した脚が特徴的なモンスターだ。当然、移動も速いものだとは分かっていた。だが、しかしあまりにも速すぎやしないか?



「あいつ、瞬間移動したか?」



 ショウは近くにいたため、移動の瞬間をちゃんと見れなかったらしく、とても困惑していた。だが、さすがに瞬間移動は無いだろ……。



「んなわけあるか。ただただ速く移動しただけだ」


「んー……俄には信じがたいが、まあ、そうなんだろうな」


「本当に分からなかったのか?」


「ああ、絶対攻撃を当てたと思ったのに、いつの間にか消えていた。俺もそこそここのゲームをプレイしてるけど、こんな体験したのは初めてだ」



 ショウはまだ困惑が残りつつも、その目を光らせていた。未知の敵にワクワクしていることが見て取れる。


 ひとまず俺たちは作戦会議に入った。相手が逃げに徹すると、カンナのアビリティ『茨の盾』も使えない。ショウのアビリティはなんだか分からないが、本人曰く、今回には向いてないらしい。ちなみに俺の『空蝉』も相手が避けに徹するとあまり有効打にはならない。


 みんなでどうしようかと唸りを上げていた。その時、名乗りを上げたのがハルだ。



「私が行ってみていい?」


「1人で行くのか?」


「うん。ちょっと考えがあるの」


「俺はいいが……」



 俺はチラッと2人の方を見る。ショウとカンナもハルの意見に賛成するように笑っている。



「俺も全然いいぜ!!」


「カンナもです!」


「満場一致だな。じゃあまずフォースドガゼルを探して、見つけたらハルに任せるよ」


「うん!」



 ということなので、俺たちはまずフォースドガゼルを探しに向かった。それにしてもハルの考えとは一体何なのだろうか。気になる気になる……。





「いた……。しかも2匹だ」



 山の急斜面にフォースドガゼルが2匹。ハルは既に短剣を2本構えている。



「じゃあ行ってくるね」


「ああ、任せた」



 ハルはすーっと息を吸うと、とても速いスピードで走っていった。前までの動きとは段違いだ。まさかコソ練したのか?


 ハルがフォースドガゼルとの距離を詰めていく途中に、向こうもハルの存在に気付いたようだ。まずいな……このままではさっきと同じ展開だ。


 その時、ハルが何かを呟いた。距離があるので聞き取れなかったが、薄らと口元が動くのが見えたのだ。


 すると、ハルが残像を出しながら、さらに速いスピードでフォースドガゼルに斬撃を入れた。今度はフォースドガゼルにしっかり当たっているようだ。


 フォースドガゼルは後ろに飛び退くと、少し前屈みになり、その脚に力を入れ始めた。また逃げようとしているのかもしれない。


 しかし、ハルは冷静に一度短剣を振った。すると、そこに風の斬撃が生まれ、フォースドガゼルめがけて飛んでいった。


 その斬撃がフォースドガゼルに当たると、内部から弾けたように細かい斬撃が飛び出した。その全てがフォースドガゼルに当たり少し怯む。


 ハルはその隙を見逃さず、またフォースドガゼルに近付き、今度は短剣を深々と突き刺した。それにより、フォースドガゼルは動かなくなり、ついには光となって消えた。どうやら見事倒せたようだ。


 だが、まだハルの猛攻は終わらない。今度はもう1匹の方に駆けていき、短剣2本をクロスさせるように振った。


 すると、フォースドガゼルの足元から竜巻が巻き起こり、フォースドガゼルは上空へと飛んでいった。それを見て、俺はなるほどと思った。空中ならばあの脚も使えない。よって逃げられる心配もない。


 ハルは空中のフォースドガゼルの元に飛び上がり、空中ではあり得ないほど斬った。それはもう本当あり得ないほど。


 フォースドガゼルはそのまま息絶えて、光となり消えた。どうやらハルの作戦はうまくいったようだ。


 俺たちはハルの元に駆け寄った。もちろんハルの勝利を祝うために。



「すごいな、ハル!!まさかあんなに強くなってるとは思ってなかったぞ!」



 そう言って俺はハルの肩にポンと手を置いた。すると、ハルはスッとこちらを向き、真顔のまま俺の手を払った。



「ボクに気安く触らないでくれるかな」


「「「……え?」」」


連載31回目です。


今回は割とハルがメインの回になりました。ひとまず彼女の成長を書きたかったので。多分次回もハルをメインにした展開になると思います。


もし面白いと思っていただけたら、応援、評価、ブクマ、よろしくお願いします!また、些細なことでもいいので、感想お待ちしております!

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